本棚に、ほぼ30年前に発行されたカタカナ語辞典が残されていた。そのむかし、長男が小平市主催の成人式で贈呈されたもののようだ。その辞典にはCDはあったがDVDの項目はなかった。ましてやSNSなんてあるはずもない。近ごろ新聞を読んでいると、気になるカタカナ語に出会うことが多くなった。
「アダルトチルドレン」という言葉を私は誤解していたようだ。そもそもがアメリカでアルコール依存症の関わりの中で生まれた言葉だという。adult children of alcoholics (ACOA) 親がアルコール依存症の家庭で育って成人した人の意味だ。そこから派生して、親の虐待などの機能不全家族で育ち、ひろく「生きずらさ」を抱えた人も指すようになっていった。of dysfunctional family (ACOD)。
つぎは「シンギュラリティ」。数学では反比例のy=1/xの式でX=o のとき式は無限大、ブラックホールの中心部を表そうとすると密度が無限大というように数値が不連続に変わる点。そして近年ではアメリカの人工知能の研究者であるレイ・カーツワイルが提唱した人工知能が人類の知能を越える転換点としての「技術的特異点」が注目されていて、それは2045年頃に到来するとの説が有力という。
「キャンセルカルチャー」は全くの初耳だ。米国が発端で、本来、公民権運動における抗議の申し立ては、「あなたの言動は、背景が違う人には不愉快に感じられる」と言った注意し合うことが主眼だった。その後に現在のネット社会で、有名人の現在や過去のスキャンダルを探してさらす「つるし上げ運動」が起き、「キャンセルカルチャー」と呼ばれる現象が出てきた。その行きすぎを批判する言葉だ。