玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

*桜餅とエナガ

2016年05月02日 | 玉川上水の四季

 清明の季節に桜餅を包む葉に興味を持った。桜餅の香りはクマリンという成分によるものだという。クマリンは生の葉にはなく塩漬けにすることで初めて生まれる。オオシマザクラの葉を小金井公園で採取し、近くの小平市中央公園でヤマザクラとソメイヨシノの葉を採取して塩水の入った小鉢に漬けてささやかな実験を行った。

 どの三つの葉も香りを出していることを確認した。そのまま放置していたらそのうち香らなくなった。現在桜餅に使われているのはオオシマザクラの葉である。江戸時代に使われていたヤマザクラより葉が大きく、クマリンが多く放出されるからだ。「桜葉漬け」は全国の7割が伊豆半島の西南部にある松崎町で生産されている。樽に塩漬けにし半年ほど寝かして真空パックする。

 エナガは尾の長い白っぽい小鳥である。私とエナガの出会いは十数羽の巣立ちしたばかりの雛が一本の枝に体を寄せ合っている写真を見たことに始まる。今年もその写真がギャラリーの穀雨の展示の中にある。そのつぎは巣立った後の巣を鈴木さんが手に入れてきて、実物を私たちに見せてくれたことだ。袋形の巣の外側はウメキゴケを貼り付けて完全防水し、内部にはたくさんの羽毛を敷きつめる。

  

 そして24日の穀雨の観察会で、ついに巣立ったばかりの雛を目撃することになった。この日は雨上がりの予報がずれて観察会は開催が危ぶまれた。出かけてみると主宰者である鈴木さんの姿も見えない。そのうち下流の方でカラスがエナガの巣を襲っているとあわただしい知らせがある。少ない参加者はあわてて現場に向う。巣から一羽ずつ飛び立った雛が草むらのあちらこちらにうずくまっている。上空では一羽のカラスとエナガの二羽の親鳥が飛び交っていた。最初の鈴木さんの挨拶や定番のキンラン見学もない異例の観察会となった。

 

コメント (1)
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