玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

*信州追分

2011年12月19日 | 捨て猫の独り言

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 先月末に近くを見るための手頃な価格の老眼鏡を手に入れた。これまでの遠近両用眼鏡と老眼鏡との2個を使い分けて生活することになった。新しい老眼鏡を使っている最中にふと目を上げると周囲の景色はぼんやりとしか見えないので慌てる。いつも眼鏡を鼻先にかけ顎をひいて上目づかいにじろりとこちらを見る。以前よくあちこちで見かけていたそんな仕草が見られなくなったのは遠近両用メガネの普及によるものだと気付いた。眼科医は老眼鏡をしてさらに拡大鏡を右手に読書する人もいますと笑いながら話していた。

 今月の7日に信州追分にドライブした。追分で独居生活をしている私より7歳上の方を、私より5歳上の方の運転で訪ねることになった。心苦しいことに若輩の私はだいぶ前に運転を放棄している。3人はかつての同僚で、以前からの約束を果たすためだった。川越で関越自動車道にのり上信越自動車道の佐久平でおりた。途中の横川で昼食用の釜めし弁当を手に入れる。追分の独居人は筋肉が委縮する難病のため歩行が不自由だと聞いていた。しかも彼の奥方はハンガリーで自活していて、たまに日本に帰国するという家族の形態が永く続いている。

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 5年ほど前に建てられた別荘風の家屋の位置は海抜千メートルという。旧交を温めて一泊し、男3人の朝食時にヘルパーさんの訪問があった。車椅子でなく、上体を預ける歩行機での室内生活である。驚くべきことに庭先に止めてある特殊自動車で病院玄関先まで単独運転でたどり着けるという。私は運転を放棄したというのになんということだろう。この朝も外は視界10mほどの濃い霧だった。帰途は逆方向であるが上田まで足を延ばし無言館を訪れることにした。無言館への道を下るにしたがい霧は晴れて視界は良好になった。

 つぎのはがきが届いた。「年の瀬も押し迫って参りました。寒い日が続きますが、ご機嫌如何ですか。(・・・な~んちゃって) 先日は〇〇大兄とご一緒に遠路遥々当地=信濃追分までおいで下さいまして、お陰様で楽しい嬉しい時間を過ごすことが出来ました。また此度は記念の写真をご恵送賜り本当に有難うございました。僕は歩行困難になったお陰で、いわば一日中陽当たりの良い部屋で、寝そべったり、居眠りしたり、考えようによっては、長年望んでいた理想の生活をしているようで、そう思えば明るい気分、ハッピーな気分になります。木の芽どき、若葉萌え出る頃また夏の暑いとき、青葉の頃、秋の紅葉の頃どうぞお遊びにいらして下さいね」(写真は日展会場にて)

コメント
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