桜の開花が年毎に早まる傾向にあります。原因は第一に地球温暖化(温室効果ガスの過剰)で、第二にヒートアイランド現象(都市化に伴う環境の変化)が考えられるそうです。今年の本州での開花一番乗りは福岡の13日でした。これは平年より11日も早くなっています。続いて熊本が16日で鹿児島は19日でした。なぜ鹿児島よりも福岡や熊本が早いのか疑問が残ります。
気象庁の解説はつぎのとおりです。《桜は夏に翌春咲く花のもとになる花芽を形成し休眠に入ります。花芽は冬の低温に一定期間さらされると休眠から覚めます。これを休眠打破といいます。花芽は休眠打破のあと温度の上昇とともに成長し開花します》
冬の低温がなければ休眠打破ができません。温暖化で桜が開花できないこともあり得るということです。暖冬の鹿児島の桜は休眠打破で福岡の桜に遅れをとりました。自然界の神秘的な仕組みです。「春は花、夏ほととぎす、秋は月、冬雪さえてすずしかりけり」 深読みすれば、この歌の結句はこれまでと違った意味合いで感受することもできます。
大別すると西日本は照葉樹林帯で東日本は落葉広葉樹林帯だそうです。新緑や紅葉の季節にも変ることのない黒い森の近くで育った者にとって、おおよそ西日本では桜は貴重な落葉樹といえます。植物は移動することができません。気候変動の影響をまともに受けることになります。温暖化で九州ではソメイヨシノが開花しないという事態にならないとも限りません。またヒートアイランド現象によって桜前線は南からでなく、都市部からということも現実味を帯びてきたような気がします。