玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

*よく仕込まれたもの

2007年04月23日 | 捨て猫の独り言

 これまでもそうであったが、自分は行き当たりばったりに生きているのだということを、最近ことさら強く感じるようになってきている。そしてそれは外からの働きかけによる場合の方が多い。職場の知人に復元酒というものをいただいた。その小瓶のラベルによると江戸時代の文献をもとに島根の酒造好適米五百万石を原料米に出雲杜氏の吉岡光雄が復元したものであり、どうぞ江戸時代の食文化をお楽しみ下さいとある。松江市にある李白酒造が出荷したものである。

 この登録商標にある 「李白」 は8世紀の唐文化の爛熟期に生まれ中国最高の詩人として杜甫と並び称せられ詩仙または酒仙と呼ばれる。一説に酒に酔って水中の月を捕えようとして溺死したという。さて復元された江戸時代の酒は酸味があり、黄褐色を呈している。ぐびぐびと喉を通る。貴重な液体をありがたくありがたくいただく。それは紹興酒に似ているが、なにやら紹興酒よりも澄み切った味と言えようか。

 これまた職場の別の知人に 「立川志の輔」 独演会のチケットをいただいた。男二人で行くつもりだったが、自分は義母の葬儀で行けなくなったから代わりに行けと言う。そして私が先の復元酒を味わいながら飲んだのは、この独演会に出かける前であった。開演は金曜日の夜の6時半だ。会場で隣に座った男はもちろん私の知人でもある。帰り際に聞いたところによれば、その男も日本酒を二合をほど入れてきたという。落語を聞くには連れのある方がいい。

 志の輔も取り上げていたがこの大ホールは落語をやるには広すぎる。2階席のお客などは気の毒だ。それでは中ホールで三回の公演をやるかといわれたら大ホールで一回で良いと言うだろうと正直だ。面白くないからもう落語を聞きに行かぬとなればこっちは他の地方に出かけるまでのことと笑わせる。欧米のトークショウと落語の違いを強調していた。落語には情があるという。喉の擦れが気になったりしたが、師匠の立川談志の影を色濃く感じた。芸の道とはかくのごとくに伝承されていくものだ。さすが真打である。テレビ番組ためしてガッテンとは異質の圧倒的な迫力で時の経つのを忘れさせてくれた。

コメント (1)
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