玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

長良川の岸辺で

2006年08月29日 | 捨て猫の独り言

_001_2  そこは岐阜駅から車で10分である。長良川にかかる金華橋の近くにある14階建てのマンションのことだ。この辺りでその高さは際立っている。8月下旬のある日、高校の同窓生が示し合わせてこのマンションの最上階の部屋に続々と集まった。三重と大阪から各1人、東京からは女性1人を含む3人で総勢5名である。大勢の宿泊を受け入れたご夫妻の寛大なお心に感謝した。

 これまで高層階で暮らした経験のない私にとってまる一日ここで過ごした時間は新鮮だった。部屋は最上階の端にあり3方向の壁面にはそれぞれ窓がある。だからここからは殆んどの方角を見渡すことができる。すこし身を乗り出すと金華山の山頂に1956年に復興された岐阜城を小さく見ることができる。翌朝私はその岐阜城の天守からの眺望を楽しんでいる。その時このマンションをすぐ見つけることができた。

 高いところから夜景を眺めていると、無数の灯りの下でそれぞれの生活が営まれているのだという感慨が湧く。外向きでのびやかな気分になることができる。ここでは毎夜それが可能なのだ。この日は絶えず強い流れの風が吹き込んできていた。鈴虫を飼っているという。虫の音の風流なもてなしが嬉しい。鈴虫は毎年のことなのか聞くのを忘れた。

 陽が落ちて全員で鵜飼の見学に出かけた。鵜飼は5月11日から10月15日まで毎晩のように開催されている。宮内庁式部職である長良川の鵜匠は6人で代々世襲だそうだ。拡声器からは雅楽が流れ、燃えさかるかがり火に鵜匠の手縄さばきや鵜が鮎を捕らえる様子を見る。クライマックスは鵜船6隻が一斉に鮎を浅瀬に追い込む 「総がらみ」 である。終わると鵜船は観覧船と異なり私達が見学していた方の岸に着けた。仕事を終えた鵜匠たちに話しかけることができた。鵜の活動について半信半疑であった私達も捕獲された鮎を確認して改めて伝統の芸に脱帽した。暑い暑いと言われる岐阜で涼しくゆったり過ごした。今回参加できなかった同窓の皆さんに対して多少のうしろめたさを感じつつご報告申し上げる。写真は14階から金華山を望む。

 

コメント (2)
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