玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

樹木の存在

2006年07月09日 | 捨て猫の独り言

 この目で確認できていないが、「成蹊に寄す」 が金子光晴全集第5巻(中央公論社)にあるという。金子は昭和20年頃、50歳を過ぎて吉祥寺に移り住んだ。その詩は11連からなる。それの一部をここに紹介する。 《あのけやきはいい、けやきの落葉したあとの幹や梢が 軽金属の激しさで、青さで、冬の寒空に沈んで、響いている□あそこの階段をのぼり あそこの椅子にかけ、未来を吸取るものは、僕ではない。それは君らだ。□あのけやきはすばらしい。けやきの芽ぶいた幹や梢が 放電する閃きで、紅さで 冬の寒空に弧をえがき、燃え上がる!》

 成蹊学園のけやき並木は、1923年(大正12年)9月1日の死者・行方不明者14万余人が出た関東大震災の翌年に植えられた。今や樹齢80年で、高さが20mになろうかという巨木に育っている。五日市街道沿いの大学正門から大学のキャンパスの外壁に沿って中高正門までの約600mに124本のけやきが7m間隔で立ち並ぶ。武蔵野市の天然記念物、新東京100景、日本の音風景100選に指定されている。もはや公共の物となっている。吉祥寺駅北口から徒歩で25分である。

 管財課から敷地樹木調査図という綴りを貸し出してもらった。縮尺200分の1で平成3年に業者が作成したもの。1本1本の直径や高さが記された樹木調査データ(エクセル)はメールで届いた。調査図(測量地図)綴りの文字は小さすぎて判読不可能である。そのためメールと調査図を対応させることはあきらめた。

 データによれば樹木は154種類で、総本数2727本である。シラカシ(320)、サワラ(293)、ケヤキ(216)、ヒノキ(115)、カイズカイブキ(113)、アカマツ(95)、スダジイ(81)、イロハモミジ(74)、イチョウ(73)、エノキ(72)、キンモクセイ(56)、サザンカ(56)、ミズキ(52)、ハナミズキ(46)、ウメ(45)、コブシ(42)、ヒマラヤスギ(35)、マテバシイ(35)、シュロ(33)、ムクノキ(29)、エゴノキ(28)、ツバキ(28)などである。桜はソメイヨシノ(107)、ヤマザクラ(49)、サクラ(25)、シダレザクラ(19)、サトザクラ(9)、イヌザクラ(5)、ウワミズザクラ(2)の合計216本とある。見事な配置の植栽に先人の静かな情熱と先見性を感じて頭の下がる思いがする。なおクルミは1本とあるが、私は3本存在することを確認している。 

コメント (2)
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