玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

伊那谷の独居人

2006年01月21日 | 捨て猫の独り言
 私は2人の独居人を知っている。そしてこのたびの私の3ヵ月半の独居経験をふまえながら独居の効用について考えている。信州の伊那谷に新米のタオイストと自称する80歳の男が一人暮らしをしている。その男加島祥造(かじましょうぞう)著の 「タオにつながる」 を読んだ。それによると 「タオ」 は中国語で 「道」 の意。TaoはZENと同じに世界語になっている。このTaoから 「タオ」 のカナ書きができて老子の思想を指す。そこで辞書で老子をひいてみた。「老子」 は 「道徳経」 ともいい、道学の諸思想を収めた箴言(しんげん)集で宇宙の本体としての道と無為自然の教えを説くとある。

 「無為自然」 は高校生のころに聞いた記憶がある。しかし自分でその意味を掘りさげて考えたことはなかった。自分で考える習慣がないとダメなのだと思う。加島氏はそれを噛み砕いて教えてくれる。彼の特徴はバランス感覚だと私は睨んだ。この本の中で私が共感した二つのテーマをつぎにとりあげてみる。

 躁勝寒、静勝熱、清静為天下正。加島訳によると寒さは熱狂すれば直る。熱狂に勝つのは静けさなのさ。実に清々しい静けさだけがこの世の狂いを直すのだよ。さらに彼は発言する。時代の根底にある不安を治めるには、世の中の政治に頼るだけじゃなくて自分個人をそちらの方向に転じない限り無理なんです。すなわち 「個々の人」 の心にあるくるいや乱れや不安を正すには、自分自身が静かな気持ちにならなければダメなんですね。

 「孤独」 について考えてみようか。人生のなかで孤立することは好ましくないし、避けたいことですよね。独立は人生において積極的でむしろ明るい言葉ですよね。老子のいうように、まず自分がタオにつながる命を大事にすれば、弧の淋しさじゃなくて独の喜ばしさを覚えるようになる。人と一緒でもいいし独りでもいいんだ。年を加えた人のライフって若いときに思っていたよりもずっと楽しいものなのだ。

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