今、世界ではCO2排出権取引が大きなビジネスになっています。
昨日の新聞にも、日本がハンガリーから排出権を購入することになったという記事が載っていました。
これは、地球温暖化防止のために始まったビジネスではありますが、私にはどうしても環境を利用したビジネスゲームにしか見えないのです。
地球温暖化と共に、私達が直面している問題-資源不足、オイル価格高騰。
来月から日本でのガソリン価格がリッター155円になるといって騒がれています。ガソリン価格が上がると言うことは、物価の上昇にもつながるので、確かに由々しき問題なのは確かでしょう。しかし、価格だけを見ると、日本のガソリン価格は先進国の中では特別高いものではありません。
西欧諸国やお隣韓国などは、日本の1.4倍くらいではないかと思います。産油国や東欧などでは日本より安い国ももちろんあります。世界最大のガソリン消費国アメリカはというと日本の半値で、意外に高いのはトルコで日本の1.6倍位。
高い国というのは、ガソリン税の比率が高いわけですが、環境面や限りある資源を考えるなら、メリットもあるでしょう。
また、ガソリン価格のように他に多大な影響を与えることなくできる貢献もあります。
たとえば、シンガポールでは不必要な車を走らせないような規制をあの手この手でしてきています。たとえば、1989年までですが、この国では通勤時間などに中心街に乗用車で入るとき買わなければならなかったクーポンが、運転手を含む4人の乗車で免除されたりしていました(節約の為、ヒッチハイカーが横行して新しい問題になったため、この制度は廃止されました)。
これは単純に交通渋滞を避けるために作られた制度でしたが、同時にガソリン節約、環境に優しいという面もありました。
現在は、タクシーを利用する際、乗客が定員から少なくなるほど割り増し料金が払わされたりします。車にかかる税金自体も非常に高いので、車は贅沢品でもあります。
シンガポールのこれらの制度は、国が小さくて、公用交通機関が整備されているからできるという面があるので、一概に他の国で導入するわけにはいきません。
イギリスのある村でも、村の中の自給自足を促進することで、物流の為の輸送を減らそうとする試みもあるようです。
環境面や限りある資源を本気で考えるなら、『なるべく燃料を使わないようにする』というのが原点で、それには大企業や国だけのCo2排出権取引や、燃料価格による歯止めより、それぞれの地域にあった取り組みの方が効果的であると思います。
そして新エネルギー開発や省エネ技術も良いですが、まず現状の見直しが必要な気がします。