福島県を震源とした大きな地震が頻発しています。
福島第一原発の4月11日の地震後のウォール・ストリート・ジャーナル日本版の記事を貼り付けます。
(この記事には載っていませんが、度重なる余震で東海村の原発も気になります。とりあえず問題はないようですが。)
http://jp.wsj.com/Japan/node_220678
【東京】4月11日に発生した東日本大震災の余震で、福島第1原発では電力供給と注水が一時停止するなど、脆弱(ぜいじゃく)さが目立った。
原子炉6基のうち3基で注水が50分停止した。当局者らによると、これによって安全上の大きな問題が新たに発生した様子はないという。
同原発の原子炉には、電源が喪失した場合に冷却のための注水を続けるため、ディーゼル発電機と非常用消防ポンプという二重のバックアップ機能があるが、手動で作動させなくてはならない。11日は津波警報を受けて作業員全員が退避したため、この点が問題となった。
名古屋大学工学研究科の井口哲夫教授は、停止した注水は早急に再開する必要があると述べた。停止が長引けば、なんとか保たれている小康状態が簡単に崩れてしまうという。
先の地震や津波でバックアップの冷却システムが機能不全になった教訓にもかかわらず、同原発の仮の冷却システムも大きな地震や津波への備えができていなかったと当局者は認めている。
原子力安全・保安院の西山英彦審議官は「電源車や予備のポンプを用意している」と述べた。「ただ、建物自体への大きな津波については、そこまで対応していない」といい、「構造については(そのような対応は)取りようもない」としている。
東京電力の広報担当者は、こうした一時的な機能に津波対策を施すことは現時点ではできないと述べた。電源喪失の影響を最小限に抑えるため、津波が去ったとみられる時間に作業員何人かを現場に戻し冷却機能の回復を点検させた。正式にはまだ津波警報が解除されていなかったため、波を監視する人員も配置したという。
放射線の影響で恒久的な冷却システムを設置できずにいるため、同社は問題拡大を防ぐために不安定な仮の設備に頼っている。炉心の溶融や最悪では水素爆発を引き起こす過熱を防ぐため、少量の水を注入している。
井口教授によると、特に1号機は11日のように水の供給が止まると燃料が燃え上がるリスクが高い。燃料棒の3分の2が損傷している同機は特に炉内の温度や圧力が高い。
東電によると、同機の爆発をふせぐための窒素注入は余震で中断した。4~6号機への電源供給には影響がなかったという。
11日の余震後、東北電力管内で22万戸が停電となっている。福島県いわき市では住宅3棟が土砂崩れに巻き込まれ、2人が死亡した。
東電の清水正孝社長はこの日、謝罪のため福島県を訪れたが、佐藤雄平知事への面会要請は拒否された。
福島第1原発では、低レベル汚染水用の貯蔵施設を空にする作業がほぼ完了し、冷却装置復旧のためにくみ出す高濃度汚染水をためるスペースができた。低レベル汚染水の放出は1万トンを超えた。東電は、水素爆発で原発内に散乱したがれきを無人ショベルカーなどで撤去し始めたことを明らかにしている。
7日深夜の余震では、東北電力女川原発(宮城県)の冷却が最大1時間20分止まった。当局によると、原子炉は3月11日の地震後に安全に運転を停止しており、一時的な冷却停止は炉内温度上昇といった大きな問題にはつながらなかったという。
東北地方では電力供給が簡単に中断してしまう状態にある。火力発電所や原発の多くが震災で停止しており、電力網に大きな負荷がかかっている。
記者: Yuka Hayashi and Mitsuru Obe