4月26日(土)、久しぶりに皇居三の丸尚蔵館に行ってきました。
皇居三の丸尚蔵館に行くのは、昨年8月末以来ですから約8か月ぶり。
前回は、館内を歩いていたら、秋篠宮皇嗣殿下ご夫妻に遭遇してアワワ…となりましたが、今回はそんなこともなく、心穏やか
に鑑賞できました
今回観てきたのは「百花ひらく 花々をめぐる美」展。
公式サイトによると、
四季おりおりに咲く花々。その姿や色に人は心和ませ、美を見出してきました。
なかでも四季の明瞭な日本においては、季節を彩る花々は芸術の主要モチーフとして、古来さまざまに造形化されてきました。
本展では、花を題材とした11世紀から現代にいたる絵画・工芸・書跡45件をご紹介、 心浮き立つ春の季節に、作品に込められた花々の美とかたちをご覧いただきます。
というもので、私一番のお目当ては、大好き
な 並河靖之「七宝四季花鳥図花瓶」。
これまであちこちの展覧会(東京国立博物館、東京都庭園美術館、秋田県立近代美術館など) で何度も実物を拝見してきた作品ですが、出展目録にその名前を見つけて、再会の喜びはもちろんのこと、皇居三の丸尚蔵館の展覧会ならば、写真撮影できるだろ
というゲスな考えが…
予約した時刻をちょいと過ぎたタイミングで入館しますと、最初に展示されていたのが、
いつもながら、なんと美しいことか…
七宝というのは、木地の上に「境界」となる金属の細いリボンを植えつけて、リボンに囲まれた部分にガラス質の釉薬を入れ、焼き上げたもの。
金属リボンを使わない「無線七宝」というものもありますが、並河さんの七宝は金属で境界を作るもので、「七宝四季花鳥図花瓶」は金を使っています。
その金リボンの厚さ(=境界の幅)は、筆で描いたかのように、太いところがあるかと思えば、めちゃくちゃ細い部分もあって、変幻自在といった感じ。
「七宝四季花鳥図花瓶」を観る人たちが話したり漏らす感想(=感嘆)が、推しの私としては「そうだろう、そうだろう」と思うものばかりで、これだけで皇居三の丸尚蔵館にやって来た甲斐があったというもの
それはともかく、私は、前面(に展示されることが多い)の桜よりも、裏面の青紅葉が大好きです
絶妙な色づかいが、陶器の表面(曲面)に奥行きを持たせて立体的に見せてくれて、明治初期のVR技術が炸裂 といった感じ
加えて、観る角度によって、金線が輝いて、ありゃぁ~ なんです
こんな「七宝四季花鳥図花瓶」は、今年3月、国の重要文化財に指定されることが決まったそうです。
とても喜ばしいことですが、個人的には、「重要文化財」を飛び越えて「国宝
」指定でも良いのではないと思っているわけで…
この作品は、日本画や浮世絵版画とは比べものにならないほど「安定」した七宝ですから、今後もいろいろな機会に公開されるはず。
まだご覧になったことの方には、是非、現物を見ていただきたいものです
写真では判らない素晴らしさが見えてくると思います
展覧会の最初の展示作品からこれほど熱をもって書いてしまって、これからどうする
この「花ひらく 花々をめぐる美」展の目玉は、会期中、前後期 2幅づつ計4点が出陳される伊藤若冲「動植彩絵」であるというのは、大方の受け止め方なのだろうと思います。
実際、素晴らしいし、観客も群れていました。
この日、私が拝見したのは、「薔薇小禽図」と、
ちなみに、前期に展示されていたのは「桃花小禽図」と「牡丹小禽図」だったらしい。
この国宝「動植彩絵」は、伊藤若冲が相国寺に寄進したもので、それがなぜ皇居三の丸尚蔵館の所蔵になったのか…。ご存知の方もいらっしゃるでしょうが、宮内庁三の丸尚蔵館(当時)による図録「動植彩絵-若冲、描写の妙技」
から引用しますと、
明治時代初めの廃仏毀釈によって、大寺の相国寺も窮乏し、このままでは寺の什宝類さえも売り払わねばならない危機に直面したため、相国寺では皇室の保護をもって寺院、及びこの「動植彩絵」30幅を護るため、明治22年(1889)、皇室に献上されました。献上後は御物として保管され、混乱の時期にも散逸することなく、今日まで伝わってきました。
という次第。
東京国立博物館の法隆寺宝物館と同様、廃仏毀釈が理由だったわけですな
かなり短めの記事ですが、きょうはブログの過去記事のハードコピー化作業で頭とPCを使い過ぎたのか、かなり疲れてしまいましたので、その他の作品の話は「後編」で書きます。
つづき:2025/04/30 8か月ぶりの皇居三の丸尚蔵館 後編
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