バイオリンを習ってはや6年半。
子供の結婚式に弾けたらと思っていたが、下手なままで終わることになりました。
先生のバイオリンに比べて、私のバイオリンの音は明らかに悪い。
値段が高いバイオリンならそれなりの音が出るのかと、先生に尋ねたら、高いバイオリンを買ったからといっていい音が出るものではないそうだ。
バイオリンからいい音を出すためにはそれなりの腕がなければならず、仮に私がストラディバリウスを弾いても、今のバイオリンと大して変わらない音しか出ないそうだ。
また、音の違いを聞き分けることもたいていの人はできないとのこと。
大きなホールでならともかく、ストラディバリウスを練習室のような狭いところで弾いても、普通のバイオリンの音との違いは専門家でもなかなかわからないだろうとのこと。
これはわかる。
料理にしても、うまいかまずいか、私にはよくわからないから。
音を出すこと、音を聞くこと、どちらも楽器の善し悪しではなく、自分の問題だというわけで、なにやら法話に使えそうな話だと思った。
人と話していて、すぐに法話のタネにならないかと考えてしまうのは、坊さんの悪習です。
で、やめる記念として、コンサートに出ることにした。
といっても、独演ではなく、総勢39名の大オーケストラだから、私が間違おうとどうしようと、皆さんに迷惑をかけることもないし、恥をかくこともない(はず)。
私はリズムのパートだし、簡単だと思ってました。
ところが、練習に参加してみると、いつの間にか演奏が始まり、うわっと思い、今どこなんだと楽譜を見ながら呆然としているうちに終わってしまった。
唖然とした。
これではならじと気を引き締め、次こそはと集中するが、ふっと油断してよそを見ると、もうダメ。
人の音を聞こうと思えばミスってしまうし、間違えないようにしようと思えば、まわりの音は聞こえない。
私にはリズム感覚がないことはよく承知しているし、心理テストでは協調性その他が最低点だから、こんなもんかとも思うが、やはり情けない。
本番では途中で間違ったけど、まあなんとか皆さんに合わせて終わることができました。
音楽の世界を少しだけのぞいた気分がして、悪くないもんです。
私は音楽の世界の住人になることはできなかったけど、それでもやっぱり音楽の世界には憧れてしまいます。
バイオリンは私には合っていないから上達しない、今度は別の楽器を習いたい、と家族に言ったら、このバカがまた、という顔をされました。
私としてはチェロかサックスがいいのではと考えています。
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