三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

柿田睦夫『霊・因縁・たたり』

2006年01月31日 | 問題のある考え

柿田睦夫『霊・因縁・たたり』は、霊とか因縁とか言って脅す宗教がどういう手法を使ってだましているか、具体的に書かれている。
やり玉に挙げているのは、統一協会、本覚寺(明覚寺)、コスモメイト、阿含宗、細木数子などで、本覚寺や統一協会がしている霊感商法のマニュアルが紹介されている。
細木数子の本を出している出版社が『霊・因縁・たたり』を文庫化してくれたら、細木数子の宣伝をした罪の償いになると思います。

面白いのが、霊感商法は「女系だから気がかりだ」「女系家族では男は早死にします」と脅すこと。
どうして女系だとダメなのか、ちゃんと説明できる人はいないと思うが、それでも「女系だ」と脅されると、「やっぱり」と思う人が多いわけだ。
男系天皇論の主張が根強いことに納得。

『霊・因縁・たたり』よると、「手かざし(浄霊)」には二つの系統がある。

・世界救世教系 手のひらからでた霊光が相手に伝わり、あらゆる不幸の根本原因となる霊の曇りを解消する。それにより浄化作用がすすみ、病気や不幸、災難を解消する。そうして、この世から貧病争をなくし、地上天国を建設する。
・真光系 貧病争などの不幸は憑依霊の霊障だから、手かざし(真光の業)をほどこすことで、なぜとりついたのかが解明し、悪霊を鎮める。

どちらも、「あらゆる不幸の根本原因となる霊の曇り」や「貧病争などの不幸は憑依霊の霊障」が証明されるはずはないが、科学的だと主張している。

手かざしによって病気を治す人たちだって病気にならないはずはないのに。

『イソップ寓話集』にこんな話が載っている。

女魔法使
魔法使の女が神様の怒りを解く呪文やお祓いを売り物にして、またそれがよく当たり、それで相当なお金をためこんでいた。ところが、人々はこの女を宗教の改革を企てる者だとして告発し、裁判を受けさせ、罪状を挙げて死刑判決を下した。女が裁判所から引き出されるのを見た者が言うには、
「おい、お前は神様の怒りを遠ざけると公言するくせに、どうして人間の説得ができなかったんだ」
大それたことを約束しながら、普通のことが出来ずに襤褸を出す詐欺女にこの話は適用できる。。


もう一つ。

占い師
占い師が広場に陣取って、見料を稼いでいた。突然一人の男がやって来て、占い師の家の戸が破られ、中のものがみな持ち出されていた、と告げたので、大いに慌てて、跳び上がり嘆き声を発すると、事件を確かめるために駆けて行った。居合わせた一人がこれを見て言うには、
「やい、お前は他人のことはとうから分かると吹聴するくせに、自分のことは占ってみなかったのか」
自分の生活を満足に律せないくせに、赤の他人のことで気をまわす連中に、この話は適用できる。

あまり人間は進歩していないんだと思いました。

『霊・因縁・たたり』に真光の教えが引用されています。

ご家庭の幸福は正しい先祖供養から
心霊科学の発達に伴い、人間の体は、肉体だけでなく、その裏に幽体、さらに霊体、そして、それらを支える魂で構成されています。人間の死とは、魂・霊体・幽体が肉体から離れたことを意味します。そして、肉体が食物をとって維持してゆくように、霊体・幽体も食物の気を吸って維持している、というところまでわかってきています。
人種、地域によって霊界の法則は多少違っていますが、アジアの場合、私たちの身近にある位牌や仏壇が特に重要視されています。霊界の法則は、この世のしきたりに比べると格段に厳しく、位牌・仏壇をとおしてでないと、子孫との交流や食事の供養を受けることができないのです。そこで、仏壇も位牌もなく日々の供養をしていない子孫ですと、そのご先祖たちは食事がいただけないために飢餓に陥り、子孫の体に憑いて〝注意信号〟を送ってきます。これを、私たちはご先祖の〝戒告〟と呼んでいます。
たとえば、頭痛などは〝目の上の方に注意しなさい〟という意味です。また、胃腸病や家庭の大黒柱の失業などは〝先祖も食事がとれていない〟ということなのです。これは、ご先祖として子孫に苦しさをわかったもらうために行うことなのですが、何も知らない子孫は、それを不幸現象と感じるわけです。もちろん、不幸現象のすべてがご先祖の〝戒告〟によるものではありませんが、霊的なものが原因になっていることも非常に多いのです。
守護霊とは、私たちを背後から守り導いてくださっている霊界の指導者のことです。自動車にはねられても、かすり傷くらいで済んだり、予約していたホテルに急な用事のため宿泊できなくなったところ、そのホテルが大火になり、焼死をまぬがれたなどは、守護霊の守護と導きのおかげなのです。
人生において、より高く強い守護霊に導かれることほど安心なことはありません。そして、守護霊はほとんどの場合、ご先祖の霊から選ばれて、私たち子孫を守ってくださっているのです。私たちが正しい先祖供養をしますと、ご先祖の一人でもある守護霊もより守護力がつき、安心して私たち子孫を導くことができるわけです。したがって、正しい先祖供養をするということは、ご先祖への感謝の面、ご先祖の〝戒告〟を受けないという現実的な面、さらに守護霊の霊力を強くしてもらう面からも、大変重要なのです。(崇教真光「陽光ライフ」より)



なぜ自分はこんなに苦しみが多いのだろう?なぜ自分には、病・貧・争・災が絶えないのだろう?あなたはこういう疑問を持ったことはありませんか。これらの不幸現象は実は霊魂の暗躍の結果です。私達のまわりには、あの世に往っても成仏できない先祖の霊や怨み憎しみなどに執着しつづけている霊魂が群がっています。そして、その霊魂が肉体に侵入(憑依)して、私達を自由に操り、苦しみ悩ませているのです。
人間の八〇%はさまざまな理由で侵入してくる霊魂にとり憑かれており、世間にみる不幸のほとんどはその霊魂によって引き起こされております。このような目に見えない世界のことを、一般には〝因縁〟といい、この因縁を切ることは非常に難しいとされてきました。しかし諦める必要はありません。奇跡の霊術〝真光の業〟によってあらゆる悩みに〝奇跡の救い〟がもたらされます。真光の業(手かざし)は人間にとり憑いて成仏できない霊を救い、不幸現象の原因を取り除き、運命を好転させます。(世界真光文明教団「奇跡の世界」)


真光の教えが明覚寺の霊視商法とならべて引用してあるのだから、真光は霊が災いをもたらしていると脅し、手かざしで幸せになれますよとアメを与えていると、柿田睦夫氏は考えているのでしょう。

(追記)
こうした脅しとアメは既成教団でもしてることです。
京都仏教会HPに、「[宗教ガイドライン]に対する見解 日本弁護士連合会意見書「反社会的な宗教活動にかかわる消費者被害等救済の指針」の問題点」という文章があります。
それを読むと、既成仏教教団の主張は霊感商法をやっているとこと基本的に同じだと思います。
http://blog.goo.ne.jp/a1214/e/e59a76eaf968a4d8e87bf16ba8bea1de

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