三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

代替医療(2)

2024年04月14日 | 問題のある考え
 ⑥ 通常医療と代替医療の比較
通常治療は検査や実験の再現などで有効性や安全性が証明されている。
もし医師が無責任なことを言い、効果が証明されていないどころか危険な薬を患者に投与すれば、医師免許を剥奪されるか、裁判の被告席に座ることになる。

また、薬は厳しく規制され、承認されるまで時間も費用もかけている。
ロタウイルスワクチンは、11か国に関わり、7万人の子どもを対象に、3億5千万ドルをかけ、4年を費やした認可前研究をした。
しかし、代替医療は効果があるかはっきりしないし、安全性にも問題がある。

代替医療の診断法にはこんなものがあります。
・バイオレゾナンス 患者の身体から出る電磁放射と電流を電子的に記録することにより、アレルギーからホルモンの乱れまで、あらゆることを診断する。

・虹彩診断法 眼球の虹彩の点はすべて、どれかの器官に対応しており、虹彩の不規則性は、その位置に対応する器官に問題があることを示している。

・キネシオロジー 手で触れて筋肉の強さを調べると内臓の健康状態がわかる。

・ベガ診断 電子的な診断装置でアレルギーからガンまでさまざまな病状を検出できる。

サプリメントは安全性や効果を証明する必要がない。
日本でもアメリカにならってサプリは食品だという前提で、薬事法の規制を受けない。
さらに、政府が規制緩和をすすめて機能性表示食品が認められた。

代替医療やサプリメントがノーチェックでいいわけがない。
どんな療法でも厳しい立証基準が課せられなくてはならない。

代替医療は健康を害するだけでなく、食い物にされて金を失う恐れがある。
なぜなら、保険が適用されないので一回の治療費が高額で、しかも何回も治療を受けなければならない。
しかも、高いサプリを大量に長期間飲み続け、効果のない健康器具を買わされる。
安くて安全、効果がある通常医療のほうが代替医療よりすぐれている。

 ⑦ なぜ代替医療にはまるのか
アメリカ人の50%は何らかの形で代替医療を利用し、ビタミンやサプリメントを摂り、10%は子供にも使わせている。

・現代医療や医師への不信
代替医療を使うきっかけの一つは通常医療への失望である。
患者は理解と共感を示してくれることを求めている。

ところが、通常医療の医者は患者のために時間を割いてくれず、冷淡で尊大で、思いやりや共感を感じない。
患者は自分が人間ではなく数字として扱われているような気分になる。

代替医療の治療師は一人の人間として患者を気づかい、時間をかけて親切に話を聞き、心を安らがせてくれる。
人からの指示や規制を不快に思う患者は、自分の健康は自分で管理できるし、医者にいちいち指示される必要はないと考える。
その一方、代替医療の治療師が、いつ何を食べ、どういう運動をし、シャンプーや洗剤は何を利用するか、料理の作り方、病気の対処の仕方まで具体的に正しいやり方をはっきり教えてくれることを喜ぶ。

代替医療の治療師は高額の料金を請求するので、一人の患者に時間をかけることができるが、通常医療の場合は一人の患者に長時間を費やすことが難しいことは考慮しない。

・有名人が代替医療を勧めるから
研究者(ノーベル賞受賞者もいる)、医師、俳優、歌手、政治家、スポーツ選手などが代替医療を持ち上げている。
チャールズ国王もその一人。

どこの国でもテレビや雑誌などのメディアは代替医療に肯定的で、好意的に取り上げる。
代替医療が新聞や雑誌に取り上げられると、科学的根拠とは真っ向から対立する内容になっていることが多い。
オプラ・ウィンフリーたち人気司会者が自分の番組で代替医療の宣伝をしている。
代替医療の治療者をテレビに登場させ、デタラメを言わせる。
その場合、通常医療の専門家を立ち会わせない。

積極的に代替医療を勧める研究者、医師もいます。
メフメット・オズはコロンビア大学医療センター心臓血管外科学の正教授で、年間250の手術を執刀し、400以上の論文と専門書の項目を書いた。
『タイム』の最も影響力のある100人、世界経済フォーラムの次世代グローバルリーダーなどに選ばれている。
メフメット・オズは自分の番組で、自然療法、ホメオパシー、鍼治療、手当療法、信仰療法、カイロプラクティックから死者との対話まで、多岐にわたる代替医療を勧めている。

ノーベル化学賞と平和賞を受賞したライナス・ポーリングは、インチキ科学者の助言によってビタミンで風邪を予防すると信じ、さらには大量のビタミンとサプリの摂取でどんな病気も治せると説くようになった。

代替医療に対して何もしない研究者が多い。
なぜなら代替医療の検証は手間暇かかるわりに評価されないから。

アメリカの6000の病院に対して行われた調査では、42%が何らかの代替医療を提供していた。
一般医の半数が患者を代替医療のセラピストに差し向ける。
患者が健康食品や代替療法コーナーで売られている薬を試したいと患者に言われたら、多くの医師は肯定的な反応をする。

イギリスには代替医療で学位を授与する大学が16校ある。

・人間の弱い心につけ込む
本人や家族が病気になって心が弱り、治るなら何だってお金を払おうと思った人は、科学的に検証されていない話に騙されてしまいがち。

1990年代後半、自閉症にセクレチンが効果があると言い出す人がいてブームになった。
ところが、検証の結果、セクレチンは自閉症にプラセボ以上の効果がないことが明らかになった。
セクレチンを処方された子供の親も、生理食塩水を処方された子供の親も、ほとんどが子供は進歩を見せたと評価した。
つまり、親たちは結果が出てほしいと願うあまり、生理的食塩水でもセクレチンでも子供が進歩を見せたと確信したわけだ。
親たちはセクレチンと生理食塩水の結果は変わらなかったことを告げられたが、69%が引き続き薬を使いたいと答えた。

効果がないとわかった薬のために何百マイルも旅して何千ドルも払いたいと希望した。親はそのくらい切実なのだ。(略)親たちは自宅を担保に入れてローンをして、老後資金を解約して、偽りであっても希望を約束してくれる人を探す。
親の愛を利用してその生涯の蓄えをむしり取る開業医療者ほど下劣なものはない。

患者や家族の弱い心につけ込んでだますことは犯罪だと思います。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする