三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

死刑囚の権利保護

2015年05月17日 | 死刑

死刑囚の権利保護、強く要請する決議 国連人権理事会
 国連人権理事会はスイス・ジュネーブで26日、死刑廃止に向け、死刑制度が残る国に死刑囚の権利保護などを強く要請する決議案を、賛成29、反対10、棄権8で採択した。(略)朝日新聞 2014年6月26日

2014年7月15日から16日にわたって、国連自由権規約(市民的及び政治的権利に関する国際規約)における人権状況を審査する自由権規約委員会による日本審査がジュネーブで行われ、以下のことなどが懸念されています。
・死刑確定者が執行までに最長で40年も昼夜間単独室に収容されていること
・死刑確定者もその家族も執行日を事前に通知されないこと
・死刑確定者と弁護士との秘密交通権が保障されていないこと
・執行に直面する人々が「心神喪失の状態にある」か否かを判断するための精神鑑定が独立したものでないこと
・再審あるいは恩赦の請求が刑の執行を延期する効果を持たず,実効的でないこと
・死刑が,袴田巌の事件を含め,自白強要の結果として様々な機会で科されていること

「FORUM90 vol.141」によると、日本政府審査において日本政府は、死刑囚のみの監房はなく、窓もあり、新鮮な空気に自然光の入る、清潔な独房であるという写真を示して反論したそうです。

ところが、新獄舎が完成した大阪拘置所では、「死刑確定者の収容体制が,残虐,非人道的又は品位を傷付ける取扱い又は刑罰にならないよう保障すること」はなされていないように感じます。
最新の警備システムで管理され、死刑囚は職員との会話も壁に取り付けられたマイクでインターホン越しにする。
刑務官とさえ顔を合わせて話せない。
向かいの居室内は見えぬようガラスで遮蔽されており、外向きの窓は全面目隠し、天候もわからない。
水道の蛇口はなく、洗面台に埋め込まれた出口からボタンを押すと15秒ほど水圧の弱い水が出る。
食事を出し入れする小窓も、廊下から閉められ、房内は密閉状態。

かつて大阪拘置所では死刑囚の俳句の会があり、福岡拘置所では死刑囚のソフトボールチームがありました。
昭和50年以前の東京拘置所の運動場には、死刑囚が花を植えたり、刑務官が朝顔を育てているスペースがあり、レンギョウ、あじさい、ダリアが咲いていたが、保安上の理由から刈り取られてしまったそうです。

自然や人間との関わりを断ち切ろうとしているわけで、「非人道的」だと思います。
死刑囚はそれだけのことをしたのだから苦しむのは当然だ、死刑囚の権利なんて、と感じる人がいるでしょうが、そうした感覚は中国やサウジアラビアのような国民の人権すら認めない国と一緒なわけです。

「拷問あるいは不当な処遇によって得られた自白が証拠として援用されないことを確保すること」ですが、裁判員経験者である田口真義さんは「裁判員裁判は冤罪を防げるか」で、裁判員裁判に冤罪が存在する要因として3つあげています。
1 不全な判断材料
2 感情による評議の傾向
3 世論の形成及び圧力

「不全な判断材料」というのは、証拠が足りない、あるいはあるはずの証拠がないということ。
そして、証人のあり方は、証人尋問で行われる検察官との主尋問は演劇じみている。
公判前整理手続にも問題があり、非公開なので、裁判員にはまったく知らされない。
裁判員に負担にならないようにというので、公判前整理手続の期間がどんどん延びている。

「感情による評議の傾向」とは、劇場型の法廷が展開されるということ。
一番の問題は被害者等参加制度で、裁判員に与える影響は無視できない。
被害者の声が大きくなればなるほど、それに傾いていく。

「世論の形成及び圧力」とは、同調圧力に左右されるということ。
評議室のなかでも、人がそういうのなら自分もと、手を上げてしまう傾向がある。
そして、マスコミの報道次第で裁判員の事件の受けとめ方が違ってくる。
裁判官も世間を大変気にしている。
この要因を是正するためにまずできるのは取調の可視化である。

鹿児島県議選を巡る選挙違反事件(志布志事件)で無罪が確定した元被告ら17人が、損害賠償を求めた訴訟で、鹿児島地裁は国と県に賠償を命じる判決を出しています。
全面可視化をしていればこんな冤罪事件は起きないはずなのに、どうして検察や警察はいやがるのかと思います。

コメント (3)
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