女性失明事件の加害者に「目には目を」の刑執行へ イラン
イランの裁判所で、女性の顔に酸をかけて失明させたとして有罪となった加害者が、イスラム法の「目には目を、歯には歯を」の原則に従い、同じ方法で失明させる刑罰を受けることが確定した。女性の弁護士によれば、数週間以内に執行される見通しだ。
被害を受けたのはアメネ・バハラミさん(31)。2002年、大学で電子工学を学んでいた24歳の時、同じ大学に通う当時19歳のマジド・モバヘディ受刑者に出会った。モバヘディ受刑者はバハラミさんに近づこうとしたが、拒否されるといやがらせを繰り返し、「結婚を承諾しなければ殺す」などと脅迫した。
2004年11月、勤務先の会社から帰宅しようとバス停へ向かっていたバハラミさんを同受刑者が襲い、顔に酸を浴びせた。バハラミさんは重傷を負って視力を失った。同受刑者は2週間後に自首して犯行を自供。2005年に有罪を言い渡され、以来収監されている。バハラミさんの弁護士によると、同受刑者に反省の色はみられず、「愛しているからやった」などと話しているという。
イランでは通常、被害者が加害者に「血の代償」と呼ばれる賠償金の支払いを求めることができるが、バハラミさんはその代わりに、モバヘディ受刑者の目に酸をかけて失明させる刑罰を要求。昨年末に地裁がこれを認める判決を下し、同受刑者が控訴していたが、高裁が今月、棄却を決めた。
一部の人権団体などからは「残酷すぎる」と批判の声が上がっているが、バハラミさんは「復しゅうが目的ではない。今後同じ思いをする人がないようにとの願いから決めたこと」と説明している。(2月20日)
うげげ、いくら何でもこんな刑罰に賛成する人なんていないと思ったら、ネットでは賛否半ばするようである。
肯定的なもの。
「被害者からすると当然の報い」
「やはりここまでしないと人は過ちを犯してしまうんでしょうね」
「これはものすごい抑制力になるんじゃないのかな」
「いかに日本の刑罰が軽いものか考えさせられます」
「いいですねぇ(^-^)。やっぱり加害者の人権より被害者のことを考えないと」
「こういうの、ありだと思いますッ!」
否定的なもの。
「なんと原始的な刑罰だ」
「公的な裁判で失明させるというのは残酷と言うのもわかる気がする」
「罰といっても、ここまでやるか。。。。」
「いくらなんでも国家がこんな野蛮なこと許すのか 信じられない」
どちらでもないもの。
「良いとも悪いとも言えん」
「これも宗教から来るその国や地域の文化でしょうから、特にああのこうのはありません」
トンチンカンなもの。
「何かこの女性にはフェミニズムに類似の独善的な意識が感じられる」
人権嫌いの人たちはこんなことを言っている。
「加害者に同じ刑罰を加えることが何故!残酷なのだろうか? 抗議した一部の人権団体ってのの良識ってか常識を疑う」
この人の良識を疑う私の常識がおかしいのかと不安になる。
「この「血の代償制度」も間違ってはいないと思います。
人権団体が「やりすぎではないか」と言っていますが、失明させられた方から考えるとでは「やりすぎないとはどういうことか」と思って当然だと思います。
国によって法律も考えも民族も違いますからこれを日本に導入、という訳にはいかないと思いますが、今の制度をかえる余地はかなりあるとおもいます」
「血の代償」というのは報復ではなく、賠償金のことだと書いてあるんですけど。
「人権団体ってなに?残酷過ぎるって普通に生活しているのに光を奪われた彼女の方がどれだけ残酷か。私はこの刑に賛同しますよ。しかもこの加害者は反省していないわけだし。日本の司法なんて甘過ぎます」
この記事へのコメントは「すごいし、素晴らしですねー」というようなものがほとんど。
日本でもこういう刑罰を導入すべきだと本気で思っているのだろうか。
あるブログに
「でも、これ、普通に考えたら刑を執行した人のほうがPTSDになりそうですよ」
と書いてあるように、賛成する人は執行人のことを考えていない。
じゃ、あなたは加害者をベッドか椅子に縛りつけ、暴れる加害者を押さえ込み、大声を上げている加害者が必死でつむっている目をこじあけて酸を注ぐことができるのかとお聞きしたい。
↑のブログでは続けて
「これじゃこの刑が執行されたあと、おそらくこの被害者の方が生きづらくなると思いますよ。
もちろん理解して下さる方もいらっしゃるかもしれませんが、中には”恐ろしい人だ”と思う人もいると思います。
正直、私の友達でこれをやったコがいたら、友達を止めるまでにはいかないにしても、ちょっと引きますね・・・・」
とあるが、そんな人がいたらたしかにちょっとねと思う。
↓のブログは
「これなら、子供を殺された被害者遺族は、加害者の命より、同じ苦しみを味わえと、子供が赤子でも手にかけるのが許されるのかな?
加害者の人権より被害者のことを考えろと言うなら、こうなるよね。
誤って車で親子を轢いて殺してしまったとして、目には目を、と、運転した人とその子供を、車で轢き殺すのかな?」
とあって、これもまともな意見だと思うのだが、批判的なコメントに「スミマセン」と謝っているのは不思議である。
被害者は「復しゅうが目的ではない。今後同じ思いをする人がないようにとの願いから決めたこと」と、復讐ではなく犯罪抑止のためなんだと言っているが、↓のブログが
「僕がちょっと気になったのは、犯人が自首しているという事。こういう判決が出ると、罪を犯した者は今後自首などしないと思うけど・・・」
と指摘するように、厳罰では犯罪抑止にはならないと思う。
そして、このブログでは死刑に論及している。
「ただ、このニュースだけを見て、日本人がイラン人は残酷だという事はできないと思う。
イラン人から、日本には死刑制度があるじゃないかと言われれば、我々は何と反論できるだろうか? 目など体の一部どころか、人の生命まで奪ってるじゃないかと言われればその通りだ」
まことにもっともな意見である。
聖書に「目には目を歯には歯を」という言葉がある。
イスラム法ではどういう解釈がされているのか知らないが、ある牧師さんの話だと、復讐を禁じて報復の拡大を防ぐという意味なんだそうだ。
またあるクリスチャンに聞くと、新約聖書には「目には目を」につづけて「だれかがあなたの右の頬を打つなら、左の頬をも向けなさい」とあり、さらに「敵を愛し、自分を迫害する者のために祈りなさい」とイエスは言っている。
本田哲郎神父は、愛するとは相手の人を尊重して、大切にすることだと言われている。
こんな残酷で非人間的な刑罰を肯定する人は、当事者ではないからこそ、ノー天気に報復を美化できるんだろうと思う。