三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

L・フェスティンガー他『予言がはずれるとき』(2)

2007年09月14日 | 問題のある考え
ぜひね、全国の人ね、あの弁護団に対してもし許せないって思うんだったら、一斉に弁護士会に対して懲戒請求かけてもらいたいんですよ。


橋下徹弁護士が「たかじんのそこまで言って委員会」で、光市母子殺害事件の弁護団への懲戒処分を弁護士会に申し立てるよう呼び掛けたことに対して、弁護士数人が損害賠償を求めて提訴するそうだ。(橋下徹は懲戒処分された)
橋下徹の言っていることはあまりにもひどい。(他の出演者も似たり寄ったりだが)

懲戒請求を1万,2万とか10万人とか、この番組見てる人が、一斉に弁護士会に行って懲戒請求かけてくださったらですね、弁護士会のほうとしても処分出さないわけにはいかないですよ。

橋下徹によるこの予言が当たるかどうか、今のところまだわからない。(懲戒処分はなされなかった)

ところが、橋下弁護士は自分のブログでこのように書いている。

今回の弁護団の主張が荒唐無稽であること、あまりにもふざけた内容であること、この点については批判はしません。

弁護団の主張を批判しないなんて、テレビでの発言と違うではないか。

では、弁護団はなにゆえ懲戒事由にあたると主張するのか。

一言で言えば、説明義務違反、被害者に対して、国民に対してのね。
一審・二審で全く主張していなかった、新たな主張をなぜ差し戻し審で主張することになったのか。
第一に被害者への、そして第二に裁判制度という制度の享受者である国民への説明を怠っている。


しかしながら、橋下弁護士を提訴した弁護士の広報担当をしている弁護士は、橋下徹の主張を否定する。

『懲戒請求』は刑事事件で言えば、告訴・告発に当たるものです。だから、数の問題ではないし、しかも報道を根拠にして、署名活動のように懲戒請求することを扇動することは理解に苦しみます。

https://news.livedoor.com/article/detail/3293850/
多くの人は懲戒請求とは署名運動のようなものと理解しているらしいが、それは間違い。

おまけに橋下弁護士はこんな言い訳を言っている。

自身は懲戒処分請求していないことを問われると「時間と労力がかかる。弁護士である僕というより大多数の国民がどう思うかが非常に重要」と述べた。

あまりにもいい加減ではないか。

橋下弁護士は懲戒請求には「時間と労力がかかる」と説明したのだろうか。
ところが、ネットでは橋下弁護士を擁護する声をよく耳にする。
たとえば「たかじんのそこまでいって委員会大会議室」の「橋下弁護士が光市母子殺害事件弁護士から提訴」というスレッドに、こうしたコメントがある。

「99パーセントの弁護士が橋下さんに反対とのこと、だからこそ私たちが橋下さんを応援したいですね」
「橋下さんに反対する弁護士さんは懲戒請求は簡単にしてはならないと、脅しているようにも取れるご意見を述べられてます」
「弁護士さんを相手に一般のものが言うのなんですが…「非常識」なのでしょうか?非常識です」
「国民は黙っていろという事になってしまいます」
「弁護士とは普通の人間ではできない職業だと思いました」
「日本の法曹界にはほとほとあきれ返ります」。


橋下弁護士が自分では懲戒請求を出していないことに対しての弁護。

「橋下弁護士本人が懲戒請求を出していない件について、批判があるようです。
橋下弁護士本人が懲戒請求を出していたら、それこそ『煽動した』といわれても仕方がなくなるのではないでしょうか?」
「橋下弁護士が実際には懲戒請求を出していないからこそ、自主的なものとできるのであって、もし橋下弁護士が自分が懲戒請求を出した後にそれを強化すべく派手に宣伝したとすれば余計非難を浴びたのではないでしょうか」

橋下弁護士自身は「時間と労力がかかる」から懲戒請求をしなかったと言っているにもかかわらず、である。
なぜ怒らないのか不思議である。

「脅している」「黙っていろということか」と感情むき出しで反発して、「非常識」「一般人の感覚と違う」と非難し、聞き入れない。
インチキ宗教の教祖をあくまでも信じようとする信者のようではないか。

橋下弁護士の主張はおかしいと、江川紹子はこのように論じている。

現弁護団が弁護人として活動を始めたのは最高裁の段階からで、彼らが「主張を変えた」わけではない。会見を見ればわかるように、弁護団は1、2審の弁護人について「被告人から十分に事実を聞き出していない」として、批判をしている。
 刑事事件では、弁護人が代わって新たな視点で証拠を見直した結果、主張が変わったり、まったく違う弁護方針をとる、ということは決して珍しくない。以前の弁護人とは違う主張をしてはならない、というのでは、裁判を三審制にしている意味も半減してしまう。

http://www.egawashoko.com/c006/000235.html

「弁護団は差し戻し審で新しい主張を始めた」わけではないと、弁護団は記者会見で説明しているし、今枝仁弁護士はあるブログのコメント欄に書いている。
http://t-m-lawyer.cocolog-nifty.com/blog/2007/09/post_8ff1.html

しかし、弁護団を許せないと思い込んでいる人たちにとって、橋下弁護士の予言が誤りだと認めることは困難だろう。
「認知的不協和の理論」に従うならば、橋下信者は橋下弁護士の正しさを主張することで同じ信念を持つ人を増やそうとするだろう。

懲戒請求は3日の段階で3900件、それがさらに「7日昼までに10弁護士会、4022件に達した」そうだ。
懲戒請求をする人はまだ増えるだろうと私は予言します。

それはともかく、テレビに出ている弁護士は、弁護士としての仕事をする時間があるのかと気になる。
テレビに出演するとなると、打ち合わせなどを含めたら何時間も拘束されるだろう。
法律家としての発言を求められているのだから、判例などを調べる必要があるだろう。
レギュラー番組を持つとなると、かなりの時間を費やさなくてはならない。

橋下弁護士の8月のスケジュールを見ると、毎日のようにテレビ、ラジオに出演している。
本業をする時間があるのかと不思議になる。
弁護士という仕事はヒマとは思えないのだが。

(追記1)
続きを書きました。
https://blog.goo.ne.jp/a1214/s/%E5%B0%8F%E6%9E%97%E7%94%B1%E7%BE%8E

(追記2)
その後、橋下徹は大阪府知事、大阪市長になった。
政治家は辞めたが、今も影響力を持っている。

コメント (5)
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