三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

光市母子殺人事件の最高裁判決について

2006年06月22日 | 死刑

6月21日付の中国新聞に、光市母子殺人事件の最高裁判決について、4人の識者談話が載っている。
前田雅英首都大教授は肯定的、交通事故で息子さんを亡くされた片山徒有さん、多田元弁護士、岩井宜子専修大教授の3人は批判的な談話である。
批判的といってもそれぞれ批判の程度が違うから、バランスがとれていると思う。

前田雅英首都大教授

犯行の悪質さと対比してもバランスが取れている。


岩井宜子専修大教授

少年法の精神に照らした場合、二審破棄が妥当だったのかという疑問は残る。被害者や遺族の感情に配慮する社会的意識の変化や、少年に対しても死刑を適用すべきだという風潮が反映されたのだろう。


多田元弁護士

最高裁判決は遺族と同レベルの情緒的な見方しかしておらず、背景を理解する観点に立っていない。被告のふざけたように見える態度は未熟さの表れで、だからこそ育て直す必要がある。(略)犯罪の結果のみを重視して矯正教育を不可能にするならば、本来の刑事政策としての犯罪防止に役立たない。


少年院でのグループワークに加わっている片山徒有さん

彼ら(少年院に入っている少年)が変わるのが手に取るように分かる。今回の被告も表現能力は幼いが、社会復帰は不可能ではないと思う。その意味で、更生可能性を重視した一、二審判決は誤っていないだろう。


テレビのニュースでは判決に対して賛同するコメントはあっても、こうした批判的な意見は聞かれなかったように思う。

新聞の片隅の記事を読む人はさほどいないが、テレビは百万人単位である。
なんでも「報道ステーション」は1千万人が見ているそうだ。
テレビの影響力はものすごいものなのである。
これからの判例となるかもしれない判決だけに、賛否両論を取り上げるべきだったと思う。

テレビ局の人4人(それぞれ別の局の人)と会ったおりに、「安田、足立両弁護士に対するバッシングは絶対おかしい、マスコミの責任だ」と言ったら、4人とも「その通りだ」と同意した。
ローカル局の記者は「私も叩いた一人だ」と言って、足立弁護士は金にもならない事件の弁護を引き受けている立派な弁護士だと知っていながら、キー局からの依頼で足立さんを取材した際に咎め立てしたと話してくれた。

みんな、バッシングは間違いだとわかっていながら、バッシング報道をするわけだから、まあ、マスコミもいい加減なものです。
こうして加害者憎しの世論が作られていくのだろう。

コメント (2)
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