三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

テレンス・ハインズ『超科学をきる PartⅡ』

2005年06月23日 | 問題のある考え

テレンス・ハインズ『超科学をきる PartⅡ』に、アメリカ政府は国民にUFOが実在する証拠を隠している、UFOを目撃したり、UFOの真実を知ってしまった者のところには、恐ろしい黒服の男(MIB)がやってくる、という政府の陰謀説が紹介されている。
『MIB(メン・イン・ブラック)』の元ネタはこれなのかと、おそまきながら知りました。

宇宙人に誘拐されて、検査され、中には宇宙人とセックスをさせられた、と主張する人についても書かれている。
彼らは宇宙人に誘拐されたことを忘れていたのだが、催眠術によって思い出したのだそうだ。
宇宙人が記憶を消していたということです。
そういえば『MIB』にも、記憶(宇宙人についてのだけ)を消す機械が出てきた。

『MIB』は荒唐無稽だと言ってけなす人はいないと思うが、なぜかジョセフ・ルーベン『フォーガットン』という映画、ネットでは「ぶっとんでいる」とか「ありえない」とボロクソにけなされている。

どれだけ馬鹿らしいのか見に行きました。

子供を亡くした主人公の周辺に起こる奇怪な事件が、実は宇宙人の陰謀だったという展開になって、「そんな馬鹿な」と言いたくなる。

しかし、すべては主人公の妄想じゃないかとも思われる。
そう考えると、つじつまの合わないところがあるのだが、それも妄想だからと納得できる。
ま、妄想だと勘違いをした私の妄想かもしれないが。

テレンス・ハインズ『超科学をきる PartⅡ』には、信仰療法に対する批判も書かれている。

「奇跡の集会」にいあわせた観衆は数千人。
「ガンが治ります」という叫び声をあげると、ガンの末期で、歩くとひどい痛みをおぼえる婦人は、たどたどしい足どりで舞台にのぼり、舞台の上で走り出した。
もちろん病気が治ったわけではなくて、その場の雰囲気で治ったような気がし、痛みを感じなくなっただけである。
この婦人は翌朝には激痛で目覚めた。
無理をして歩いたために、背骨が折れてしまったのである。

しかし、数千人の観衆は奇跡を見たと信じてしまう。

というか、観衆は奇跡を見るために集まったのだから、どんなトリックが使われていても、奇跡が起きたと思い込んでしまうのである。

ハインズは「信仰療法士は人を殺している」と言う。

「本当は治っていないのに治してもらったと確信してしまうため、患者は正規の治療をやめてしまうからだ」
中には、観衆に向かって「医者からもらった薬を捨ててしまえ」と扇動することもあるという。
あるいは、どんなにひどい症状でも、医者に連れていってはいけない、とさとす信仰療法士がいる。

『超科学をきる』の日本語版は抄訳で、日本では宇宙人や信仰療法などについての問題があまりないので省略したそうだが、完訳を願う声があり、訳し残された部分が『PartⅡ』として出版された。

なるほど、この本で紹介されるような信仰療法は日本で行われてないのか、と私もつい思ってしまったが、いえいえ、そんなことはありません。

ある人がGLAの講演会に、友だちに誘われて行ってきたと言われた。

車イスの人が大勢いたそうだ。
おそらくそうした人たちは病気が治ることを期待して行ったのだろう。
知り合いも膝が悪いので、ひょっとして、という気持ちがあったと思うが、言うまでもなく、膝の痛みは変わりない。
会費は3000円。
高橋佳子の話は何のことやらさっぱりわからなかったそうだ。

手かざしも信仰治療。

あの手の教団は、医者に行くな、薬は毒だ、などと言ってるし。
日本でも信仰療法は盛んであります。

ところが、『超科学をきる』のように、教団の名前をはっきりとあげて信仰療法を正面から批判する本は、おそらく日本ではあまりないのではなかろうか。

それはクレームがつくのが怖いからだろうが、しかし命に関わる問題である。
信仰療法を行う宗教に対して、バカ、カバ、チンドン屋、とののしってもいいように思う。

コメント
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