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社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

60時間超時間外5割増し

2022-10-10 23:24:29 | 労働基準法

来年(2023年)4月から、中小企業においても時間外労働が60時間を超えた場合の賃金の法定の割増率が従来の25%から50%に引き上げられます。大企業は2010年4月から施行されたものであり実に13年後中小企業にも施行されることになりました。

この60時間という数字は、おそらく時間外労働を特別条項を利用したとしても60時間程度に抑えるべし、という考えからの数字ではないかと考えており、うちの事務所は特別条項の時間外労働の上限を60時間にしました(その後36協定の月の時間外労働の上限には休日労働も含むこととなり、事務所の休日労働ほぼゼロなのですが休日労働分も加味した数字にはなっています)。ここにきて来年の春ということで、対応を考えたいという顧問先企業のご相談も出てきました。

手順としては、まず労働時間のカウントの方法が適切なのか検証してみることが必要です。例えば完全に自由行動できる時間であれば労働時間として評価しないですし、会社に全員で集合してから現場に向かうのと、自宅から個々人が直接現場に向かうのであると、移動時間とするか通勤時間とするか、これによりずいぶん時間数が変わってくると思います。日本はどうしても団体主義というか団体行動が多く、これがこれまで仕事上団結力となって効果を発揮してきたのですが、やはりそれが無駄な拘束時間=労働時間になっている面もあるのかなと感じます。

次に、フレックスタイムや変形労働時間制がマッチしないかを検証します。なかなか現状がぴったりくるのは難しいですから、採用できそうな変形労働時間制に合わせてこれまでの働き方を見直すことになります。この法律上の規定に合わせた働き方の設計し直しも結構重要だと思います。

その上での方法として時間外労働が60時間以上になる場合にコストを抑えるために「代替休暇」の付与があります。これは今のところ採用した企業が周りでは見当たらないのですが、過去の就労条件総合調査を見ると大企業の17%(平成26年)が制度ありとしているようです。この代替休暇は算定方法が示されており、TACで講師をしている時代から説明が難しいなと感じていましたが、以下のリーフ2ページ目に具体的な計算例があり、比較的わかりやすいと思いました。

要するに60時間を超えた時間数に5割と2割5分の差である0.25を換算率として乗じることにより代替休暇として取得させる時間数を算出するということなのです。

https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/dl/091214-1_03.pdf

まだまだ導入企業は少なく、その原因は管理が大変と想像できますが、コストを重視するのであれば検討の余地はあると思います。

なんだか急に寒くなりました。秋冬物に衣替えするのはいつも11月のはじめと思っていたので我慢しています。ただ首に巻く巻物はいつも持って出かけることにしました。まだ明日から暑さが戻るとも天気予報で言っているので、急な雨も含めて天候不順は続きそうですね。

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