10月と11月に有期契約社員の就業規則の自主点検と無期転換後の労働条件についてのセミナーをセットで顧問先企業のグループ会社向けに行いました。特に無期転換後の労働条件については、特に具体的な通達も出てない中で法律・通達などを頭の中で整理しながら準備した結果だいぶ自分なりの考えを持つことができたような気がします。
ポイントとしては、①無期転換後の労働条件を、従前より向上させること、または低下させることは可能か②無期転換後の処遇として限定社員を導入する場合どのような方法やメリット等があるか、というところが中心なのですが、②の限定社員は、平成26年7月に発表された「多様な正社員」の普及・拡大のための有識者懇談会報告書に類型が示されています。
①勤務地限定正社員
1.育児や介護の事情で転勤が難しい者などについて、就業機会の付与と継続を可能とする。
2.有期契約労働者の多い業種において、改正労働契約法に基づく有期契約労働者からの無期転換の受皿として活用できる。
3.安定雇用の下で技能の蓄積・承継が必要な生産現場における非正規雇用からの転換の受皿として、また、多店舗経営するサービス業における地域のニーズにあったサービスの提供や顧客の確保のために、それぞれ活用できる。
②職務限定正社員
1.金融、ITなどで特定の職能について高度専門的なキャリア形成が必要な職務において、プロフェッショナルとしてキャリア展開していく働き方として活用できる。必ずしも長期雇用を前提としていない。
2.資格が必要とされる職務、同一の企業内で他の職務と明確に区別できる職務で活用できる。
3.高度な専門性を伴わない職務に限定する場合、職務の範囲に一定の幅を持たせた方が円滑な事業運営に資する。
③勤務時間限定正社員
1. 育児や介護の事情で長時間労働が難しい者などについて、就業機会の付与と継続を可能とする。
2.労働者がキャリア・アップに必要な能力を習得する際に、自己啓発のための時間を確保できる働き方として活用できる。
3.勤務時間限定の働き方の前提として、職場内の適切な業務配分、長時間労働を前提としない職場づくりの取組が必要である。
③の時間限定(正)社員は、これまであまり念頭になかったのですが、考えてみると有期契約時代に短時間で働いている場合、無期転換後も時間限定社員として働いてもらうという設定は必要に思いました。
10月・11月と支部や東京会の事業や行事にかなり追われましたが今日の東京会の管外研修で一段落。セミナーも年明けまではないので準備を気にせず、やっと少し落ち着いて色々なことを考えられる時間がとれそうです。12月は職務分析とパワハラ研修またお見積りを出している労務監査など事務所で新たに取り組む課題を含めとても業務内容がバラエティーに富む予定で楽しみです。