OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

障害基礎年金の子の加算について

2017-08-20 14:04:41 | 年金

いよいよ社会保険労務士の本試験が近づいてきました。今年は少し時間的な余裕があり事務所の7名の受験生と7回勉強会をしてずいぶん私も勉強になりました。その中で質問がありずいぶん長く納得できない問題があったのですが、一昨日TAC時代の講師室仲間に教えてもらって納得しました。平成23年の国民年金法の択一問題なのですが、スタッフが持ってきた問題は少しアレンジてありました。本試験の問題は以下の通りです。

B.障害基礎年金に係る子の加算は、受給権者が当該受給権を取得した時点において、その者によって生計を維持する18歳に達する日以後最初の3月31日までの間にあるか、20歳未満であって障害等級に該当する障害の状態にある子がなければ、行われない。(H23-5B)

B.×(法33条の2第2項)法改正により、平成23年4月1日から障害基礎年金の受給権を取得した日後に、生計を維持する子を有するに至った場合においても、子の加算が行われることになりました。それまでは、受給権発生時において対象者がいない場合は、その後子が生まれたとしても加算はされませんでした。 

この問題の論点は、障害基礎年金の子の加算は、受給権取得時点で障害状態にあることが要件ではなく、受給権取得後に障害状態になっても加算は行われるということで、平成23年の改正でした。

少し手直ししたスタッフが持ってきた問題は、「障害基礎年金の受給権取得当時19歳の子が障害状態になく、その後20歳に達するまでに障害状態になった場合に、加算が行われる」というもので、18歳年度末以降に障害状態に該当した場合は加算はないのではと考え理解できなかったというわけです。

確かに老齢厚生年金の子の加算については、「加給年金額の対象者でなくなった後に障害の状態になっても、加給年金額の対象者にはならない。したがって、例えば、子が19歳で障害の状態になっても加算の対象とされない」ということになっています。ちなみに厚生年金については、子の障害は「受給権発生の当時から引き続く」ものである必要はないとされています。障害基礎年金は旧法では子の加算は行われておらず平成61年の法改正で加算されるようになったため、厚生年金と受給権取得当時の障害要件が異なっていたようです。

しかし障害者の方を保護する観点から、障害基礎年金の平成23年の改正で、受給権取得当時障害であることという要件が撤廃され、20歳未満であればどの時点で障害状態になっても20歳までは加算されるということになったそうです。

以下が改正時のリーフレットです。

http://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tokureiho/20141209.files/nenkin69-11-01.pdf

平成23年4月から「障害年金加算改善法」の施行により障害年金の配偶者や子の加算制度が改正されました。

これまで(平成23年4月前まで)、障害年金を受ける権利が発生した時点で、加算要件を満たす配偶者や子がいる場合に加算がされていました。
障害年金を受ける権利が発生した後に、結婚や子の出生等により加算要件を満たす場合にも、届出により新たに加算されることになりました。

平成21年に講師を引退して、それ以後も法改正はメンテしていたつもりでしたがやはりこういう細かい改正でまた実務ではほとんど接しないものについては、弱いのを実感しました。

夏休みは雨が多くてちょっと残念でしたが涼しいという意味では助かりました。事務所も連続6連休となり2日出勤してまた週末ということでだいぶゆったりとした時間が過ごせました。少し旅行もして楽しい夏休みでした。

今年は、事務所の受験生と一緒に勉強ができたのがとても楽しかったです(もしかしたらスタッフは迷惑だったかもしれません)。ここ数年忙しくてあまり接することがなかった入社してから年数がまだ短いスタッフとの時間は貴重でした。勉強していると思いだすことも多く、なんとなくまた勉強したくなってしまいました。あとは健闘を祈るのみです。