OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

始末書を提出してこない場合について

2014-10-05 22:17:12 | 労務管理

懲戒処分における始末書の提出の意味合いは、職場の秩序を乱したことに対する謝罪や反省を表明するところにあります。


現実的には始末書の提出は簡単に決定というわけにはいかないものです。懲戒処分をされることは労働者にとって大きなことですし企業も慎重になります。懲罰委員会などの手続きを経て、懲戒処分をするということになれば就業規則の規定を根拠に「始末書のみをけん責として提出」させる場合もありますし、また「減給処分や出勤停止処分であっても併せて始末書の提出」を求める場合が多いです。


懲戒処分をするかどうか企業は迷う場合があることをよく見ますが、やはり企業秩序を乱す行為があった場合等に都度始末書を提出させるということは大事なことのように思います。確かに本人には大きなことですが、企業が始末書の提出を求めてくるくらい重大な案件とみているとも感じるでしょうし、企業秩序を乱すようなことが何度も重なってくれば更に重い処分になっていくことになりますが、それまで「まあまあ」と流してしまっている場合で、いきなり重い処分をするのではなく当初から企業側の姿勢を見せておく必要があり、その積み重ねが濫用とは言えないということに繋がると考えるからです。


懲戒処分により提出を命じたにもかかわらず労働者が始末書を提出してこない場合に、始末書を提出しないことについてさらに懲戒処分をすることができるかということなのですが、これはできないとされる判例が多いようです(福知山信用金庫事件・大阪高裁昭53.10.27判決)。


謝罪や反省を表明するものである始末書の提出は、個人の内心の自由の観点から強制するべきものではないこと。また始末書提出の命令は懲戒処分を行うための命令であって、労務提供に関して行われる業務命令ではないという考え方から、始末書を提出しないことについての懲戒処分はできないと考えておく方が良いようです。


その場合企業はどう対応すればよいかということですが、事実経過の報告を求める顛末書については、業務に関するものとして提出を命じることができるとされています(淀川製鋼所事件・大阪地裁昭45.4.17判決)。懲戒処分を行う場合特に大事なのが正確な事実確認です。曖昧な把握でとどめず正確に事実を把握することで懲戒処分の妥当性が確保されることになります。始末書の提出がなければ顛末書の提出は必須だと考えます。


最近ちょっと怒りっぽくないですか。カルシウムが足りてないんじゃないですか?と支部の後輩に言われドッと笑われてしまいました。確かに忙しくしている中でカリカリしていることが多いかもしれません。反省して少し穏やかな心を持つようにしようと思います。


しかし昨日の街頭相談の際ののぼり等の荷物の搬入の時は頭にきました。今渋谷駅のロータリーはかなり前から工事でごちゃごちゃの状況なのです。その中でどこに車をつけて搬入すればよいか2回ほどHPを見て研究したのですが、一般車がどこまで入れるのか分かるものはありませんでした。「一般車が入れるかどうかちょっと心配だな」とは思っていたのですが当日するすると入っていけたので、支部の皆が待っているところに車を付けたところ6人ほどのT急の警備の人たちに取り囲まれ「なんで入ってきたんだ」「切符を切るぞ」「早く出ていけ」といきなりすごい剣幕で怒鳴られました。そこで「そういう言い方はないんじゃないですか!」と怒ったわけです。最初から進入禁止とされているのにもかかわらず進入したのであれば仕方がありません。しかしそんな表示はほとんど見えないところにあるだけで、するすると進入を許しておく状況を作っておきながらいきなりそれはないんじゃないかと思いました。懲戒処分だってまずは禁止事項や遵守事項を明確に示してそれに違反して初めて検討されるわけです。不条理なことの多い世の中ですが冷静に対応できるよう日々修行です。