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OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

労使合意に基づく申出による短時間労働者の適用について

2017-08-06 20:40:35 | 社会保険

平成29年4月1日から、厚生年金保険の被保険者数が常時500人以下の企業に勤務する短時間労働者についても、「労使合意に基づき申出」をすることにより、短時間労働者として被保険者の資格取得をすることができるようになっています。

そもそも、平成28年10月からの健保・厚年の適用拡大の対象は、被保険者数が常時500人以下の事業所に勤務する、①週所定労働時間が20時間以上であり、②雇用期間が1年以上見込まれ、③賃金の月額が8.8万円以上である、④学生ではないものとされました。

今回500人以下にも適用できるという適用拡大を申し出る企業はどのような企業かというと、例えば500人以下のグループ企業にも適用することによりグループ内全ての企業に社会保険に適用できれば、グループ内の転籍があったとしても社会保険の適用に差がない扱いができる、などのケースがあります。

それにしても、今回の適用拡大でも対象にはならなかった所定労働時間が20時間未満のパート・アルバイトについては、今後も健保・厚年の適用はないのかという点ですが、これについては検討の余地があり、厚生労働省も考えているのではないかと思います。20時間という線引きの根拠が希薄であることと、やはり保険料は収入があれば負担すべきではないかという保険原理の観点からそのような気がしています。

健保・厚年の被保険者の範囲に入らない人たちについては、国民健康保険と国民年金でカバーされる層と健康保険の被扶養者であり第3号被保険者であるという層の2種類の層が存在します。健康保険の被扶養者で第3号被保険者である人たちは、一般的にはサラリーマンの夫がいる妻ということになり、保険料は納付しません。サラリーマンの夫がいる妻が社会保険の適用事業で20時間未満働きながら国民健康保険と国民年金の第1号被保険者になることは想定が難しく、一般的には第3号被保険者になるであろうということになります。

かたや国民健康保険と国民年金の第1号被保険者である人たちは、自営業で働く場合か、夫が自営業である場合ということになるかと思います。働いていようがいまいが国民年金の保険料16,490円(平成29年度)を納めます。この額を毎月支払いながら第3号被保険者と同じ給付しか受けられないということは公平性に欠けるということは以前から言われています。

また、20時間以上働いている適用拡大で短時間労働者として被保険者になった人の厚生年金保険料は、一番低い標準報酬額93,000円未満(88,000)の保険料は16000.16円で被保険者負担分は8000.6円です。自営業の国民年金保険料の16,490円に比較して半分の額の保険料で給付は上乗せがあるということになりますので、こちらも公平性に欠けるということになります。

第3号被保険者だけではなく適用拡大で被保険者になった場合も、サラリーマン世帯は自営業世帯に比べると有利であると感じます。

暑い毎日でいよいよ夏本番といった感じですね。最近勉強気分旺盛なのですが、タイミングよく法律勉強会に声をかけて頂きました。大学の先生や企業の人事担当者、若手ホープの社労士と労働基準監督官の経歴を持っている社労士と多彩な参加者が集まり、勉強会が終わっても主催していただいた社労士の先生の事務所のビルの1階にあるお店のテラス席でおいしいものを頂きながらいろいろな情報交換をして非常に楽しかったです。そういう機会は本当に大切だと思いました。実務家の社労士は法律的なものの見方を示されるととても新鮮に感じます。幅広い人材との意見交換の場を自分でも作れるとよいなあと思います。

来週は事務所が夏休みを頂きますので旅行に行ってきますのでブログも夏休みとさせて頂きます。皆様も、良い夏休みをお過ごしください。


同一の疾病の判断について

2017-02-05 15:28:27 | 社会保険

先日就業規則のリーガルチェックをしていたところ、休職期間の通算規定の部分で気になる表現がありました。一定の休職期間をとり復職した後どの程度勤務したら再度休職を認めるかという部分は、会社が決めることができます。例えば休職期間が終了して職場復帰をしたあと「3カ月以内に再度の休職をする場合」は休職期間を通算することとする規定を設けるわけですが、この3カ月は1年以内とする場合もあり、当然その期間が長い方が通算を厳しくみているということになるわけです。

また通算されるのは「同一又は類似の疾病」とする場合がほとんどです。この「同一又は類似の疾病」の判断は誰がするのかという点が気になったわけです。会社が判断するとすれば、会社は医学的知識が必要ということになりますので通常は無理であると思います。やはり産業医等が行う、又は診断書によることになるのだと思いますが、同一の疾病の判断の場合健康保険法の傷病手当金の際の判断基準になる「社会的治癒」の考え方も考慮に入れる必要があると思います。

1月号の月刊社労士に社会保険審査会の採決事例が載っており、そこに「社会的治癒」のことが以下のように書かれていました。

ところで、社会保険の運用上、医学的には当初の傷病が治癒していない場合であっても、社会的治癒として認められる状況が認められるときは、再度発病したものとして取り扱われる。そして、社会的治癒があったといい得るためには、その傷病につき医療(予防的医療を除く。)を行う必要がなくなり、相当期間、通常の勤務に服していることが必要とされていると解するのが相当である。

この記事では何か月間の出勤が社会的治癒として認められたのかは具体的には書かれていませんが、生命保険会社の方から概ね6か月間と聞いたことがあります。さらにこの件の場合はその間欠勤がなく、夜勤も務め、リーダーにまで任命されています。さらに医療内容から見ると、抗うつ薬と睡眠薬・精神安定薬を服用し「何ら症状のない時期が続き、治癒とみなしえると考えます。抗うつ薬の維持療法、精神療法は簡易な形で維持しました」という医師の指導下において、予防的医療の範囲と認めえる治療を受けながら、従来と同様の勤務ができていた、いわゆる社会的治癒と認められる状況にあったとするのが相当である、とされています。結論としては、本件傷病は既決傷病が一旦社会的治癒した後に、再発した別傷病と認めるのが相当であるとし、法定給付期間を超えた請求であるとして新たな傷病手当金を支給しないとした原処分は取り消されています。

休職の場合の、「同一又は類似の疾病」の判断についても傷病手当金の判断が生きてくると思われ、「社会的治癒」の考え方は念頭に置いておくことが必要だと思います。

先週は全国社会保険労務士会連合会の主催する「倫理研修」の講師を無事務めることができたので、今週末はかなり心の負担が軽くなりました。会員に倫理を講義するというのはかなり荷の重い仕事で、昨年は年末年始にかなり時間をかけて準備をしました。しかし準備をする中で自分自身業務の中で体験してきたこと、資格取得校で講義した社労士法の内容の一つ一つの意味、今まで知ろうとしなかった社労士会の規程や綱領ことや、企業の倫理感の欠如が発覚したのちの状況、他士業の倫理についてなど多くのことを学べたと思います。TACで教えていたころと同様できるだけ自分の学んだ内容を伝えたいという気持ちは伝わったかもしれません。皆さんうつむくことなく真剣にスライドを見て聴講頂きました。感謝いたします。やはり「教えることは教わること」なのだと思いました。

これから3月末までほぼ毎週、セミナーが色々なテーマで続きます。体調管理をしっかりして頑張ります。


親の入院

2016-10-30 15:10:12 | 社会保険

85歳になる母が家の中で転び腕を骨折したので入院をしました。これまで入院をしたことはお産の時だけということで心配したのですが入院中も見舞いに行くと寝ていることは少なく、1週間を待たずして週明け退院できるようです。その母の入院の手続きで感じたのが、高齢者医療の受給手続きの難しさです。

入院手続きをしようとして説明書を見たところ、提出書類が以下の通りとなっていました。

健康保険証等(高齢受給者証・減額認定証・限度額認定証)の提出
②入院申込書兼誓約書の提出③入院室申し込み同意書の提出

①を見たときに手元にあったのは「後期高齢者医療被保険者証」と「介護保険被保険者証」のみでした。また入院ということだったので通常の健康保険の被保険者と同様「限度額認定証」を提出することにより高額療養費の限度額基準を超えた額については病院と保険者との間で直接払いをしてもらわなければととっさに思いました。

そこで感じたのが「後期高齢者医療被保険者証」はこのうちどれにあたるのか?(回答はにあります)

また「限度額認定証」は、協会けんぽでも健保組合でも国民健康保険でもない場合どこに申請すればよいのか?ということでした。

病院窓口に聞いたところ、「限度額認定証」は、「後期高齢者医療被保険者証」に書かれている後期高齢者医療広域連合に電話で聞いて下さいということでしたが、そこには電話番号も住所も書かれていませんでした。そこでwebで検索してみたところ、どうも「限度額認定証」は必要がないということが分かりましたが、これは高額療養費、後期高齢者医療などの仕組みがある程度わかっていなければとてもではないけれども何が何だかわからなくて余計な問い合わせ等をしてしまうと思いました。

この①カッコ書きに書かれているものは何かというと、以下の通りです。

「高齢受給者証」は、70歳になると、75歳(後期高齢者医療制度に移行する)までの間、加入している保険者から交付されるそうです。ここには病院窓口での自己負担割合を示す証明書で、所得の状況などにより、1~3割負担のいずれかが記載されています。そのため、70歳以上の被保険者及び被扶養者が医療機関等で受診するときには、保険証とあわせて高齢受給者証を提示する必要があるということになります。※要するに75歳以上の後期高齢者はこれは持っていないということになります

「限度額適用・標準負担額減額認定証」は、後期高齢者医療制度では、「世帯の全員が住民税非課税の場合」後期高齢者医療被保険者証とともにを医療機関の窓口に提示することにより保険適用の医療費の自己負担限度額と、入院時の食費が減額されます。入院する際は、入院する月のうちに「限度額適用・標準負担額減額認定証」の交付申請を高齢者医療係にしてください。 「限度額適用・標準負担額減額認定証」は住民税非課税世帯を対象に交付するものになりますので、毎年、課税状況に応じて更新します。※要するに「限度額適用・標準負担額減額認定証」は、住民税非課税限度額か否か等療事前に決まっている自己負担割合により必要であったりなかったりするということになります。

神奈川県後期高齢者医療広域連合のHPには高額療養費の支給について以下の表が書かれています。 

 高額療養費 自己負担限度額

所得区分(※)

自己

負担割合

外来

(個人単位)

外来+入院

(世帯単位)

現役並み所得者

3割

44,400円

80,100円+(総医療費-267,000円)×1%(多数回該当の場合44,400円)

一般

1割

12,000円

44,400円

低所得者Ⅱ

1割

8,000円

24,600円

低所得者Ⅰ

1割

8,000円

15,000円

自己負担限度額は、個人単位を適用後に世帯単位を適用します。また、医療機関での支払いは、世帯単位の自己負担限度額までとなります。さらに以下の記載がワク囲みで書かれてありました。 

低所得者Ⅰ・Ⅱ(区分Ⅰ・Ⅱ)に該当している方は、あらかじめ医療機関に「後期高齢者医療限度額適用・標準負担額減額認定証」を提示すると、医療機関での支払いが低所得者Ⅰ・Ⅱ(区分Ⅰ・Ⅱ)の所得区分の自己負担限度額までになります。認定証は、お住まいの市(区)町村の後期高齢者医療担当窓口に申請してください。

やっとここまでたどり着いたという感じです。家賃収入がある母は低所得者には該当しないため限度額認定証は必要がない、ということになります。

結局後期高齢者の入院の場合で低所得者に該当しない場合、限度額認定証は不要ということはあれこれ見た中には書かれていませんでした。わずかに書かれていたのは一般の人は多分見ないであろう以下の厚生労働省の制度の説明資料でした。

高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成27年1月診療分から)厚生労働省保険局

※ 70歳以上の方は、所得区分の認定証がなくても、自動的に窓口での支払が負担の上限額までにとどめられます(低所得者の区分の適用を受けるためには認定証が必要です)。

 http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000075123.pdf

 入院案内の担当者に、入院案内に書かれていなかった「後期高齢者医療被保険者証」は、①のどれにあたるのですかと聞いてみたところ、健康保険証等の「等」ではわかりませんか?ということでした。ネットで入院案内を検索すると細かく書かれている病院は少ないようでした。入院案内を受けながら、「私社労士なのですがこの書き方では私でもわかりません」と言ってしまいました。高齢者の夫婦で入院手続きをする場合などどのようにしているのか心配になります。

障害者のバリアフリーについては日本は非常に進んでいるということです。これからは高齢者対応のバリアフリーも増やしていく必要があると思います。今でもトイレに行くと、流すボタンがなかなか見つからず苦戦したりします。これは年を取っていくと苦戦することが益々増えるだろうなと思います。そういう意味で社労士の業務の範囲の中で存在するバリアを見つけ出してコンサルティングすることも行っていくことも役割かもしれません。 


短時間労働者に対する社会保険の適用拡大 運用手順

2016-08-07 21:16:35 | 社会保険

先週木曜日にOURSセミナーを開催しましたが、10月1日から施行される「短時間労働者に対する社会保険の適用拡大」についてのご質問等は、私自身が実際の運用をもう少し正確、かつ具体的にイメージした方が良いのだと思うものでした。

●10月1日以降の被保険者の取得要件としては、2つのパターンがあるということになります。

1)4分の3基準・・・1週間の労働時間及び1月の所定労働日数が、同一の事業所に使用される通常の労働者の所定労働時間及び所定労働日数の4分の3以上であること

2)(4分の3基準を満たさない場合)5要件・・・①1週の所定労働時間が20j間以上、②雇用期間継続1年以上見込み、③月額賃金8.8万円以上、④学生ではない、⑤常時500人を超える被保険者を使用する企業(特定適用事業所)に勤務していること

●被保険者か否かの判定賃金と報酬月額の違い

1)上記5要件のうち月額賃金8.8万円以上については、基本給及び諸手当で判断し、割増賃金等については含まない扱いということになっています。つまり被保険者として資格取得をするか否かの判断を行う際は、実際支給されるであろう陳儀ではなく、契約書で定められた月額賃金額が8.8万円以上かどうかを見ることになります。

2)いざ8.8万円以上の月額賃金を含む5要件を満たしたことにより被保険者資格を取得する際の報酬月額は、残業が見込まれるのであれば割増賃金の見込み額を含み標準報酬月額を決定することになります。

Q&Aの表現では、「労働の対象として経常的かつ実質的に受けるもので被保険者通常の生計に充てられるものが全て含まれる。このため短時間労働者の被保険者資格の取得に当たっての要件(月額賃金が8.8万円以上)の判定の際に算入しなかった諸手当等も加味して報酬月額を算出します。」となっています。

上記を考えると、今後の運用としては被保険者資格の取得をするか否かを契約書等でまず判断したうえで、取得をする際は割増賃金等の見込みを含めた標準報酬月額を算出して取得手続きを行うという手順となるのだと考えられます。

OURSセミナーの主なテーマは、前半に改正育児介護休業法の新旧比較(H29.1.1施行)、後半に改正労働契約法でした。この2つのテーマは秋にも労働基準協会などでセミナーをさせて頂くので、当日のご質問や解説があいまいであったところを早速に手直ししてレジュメを少しバージョンアップさせました。

当日までとても忙しくて予習が思うようにできなかったことが心残りではありますが、セミナー終了後、労働情報相談センターのセミナーデビューした高橋君やビジネスガイド執筆デビューした三田村さんのお祝いと、年度更新・算定の打ち上げを兼ねて焼肉食べ放題にOURSスタッフ皆と行き、思いっきりお肉を食べて楽しい時間を過ごすことができました(結果体重1キロ増)。しばらくはセミナーもなく担当業務も一段落なので、気になっているテーマの研究をしようと思っています(忘れずお休みも取りますのでご安心を)。


短時間労働者に対する健保・厚年の適用拡大Q&A

2016-06-19 22:14:12 | 社会保険

短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大Q&Aが出ており、適用拡大の内容が大分分かってきました。

その中で、今回拡大の対象となる「特定適用事業所」については、Q&A問7に以下の通り示されています。
「被保険者の総数が常時500人を超える」とはどのような状態を指すのか?
法人事業所の場合は、同一の法人番号を有するすべての適用事業所に使用される厚生年金保険の被保険者の総数が12カ月のうち、6カ月以上500人を超えることが見込まれる場合を指します。

ところで10月の開始時点で、この常時500人には適用拡大の対象となった週20時間以上の被保険者となるべき人を含めるのか、ということですが、「適用拡大の開始当初においては拡大対象となった被保険者となるべき人は含まない」ということになるそうです。

http://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2016/0516.files/0516.pdf

さらにリーフもかなり分かりやすいものが出ています。
被保険者になる要件である「雇用期間が1年以上見込まれること」については以下の通り示されています。

①期間の定めがなく雇用される場合
②雇用期間が1年以上である場合
③雇用期間が1年未満であり、次のいずれかに該当する場合
 ・雇用契約書に契約が更新される旨または更新される可能性がある旨が明示されている場合
 ・同様の雇用契約により雇用された者について更新等により1年以上雇用された実績がある場合

なお、法施行日(平成28年10月1日)より前から引き続き雇用されている場合、「法施行日から起算して」雇用期間が1年以上見込まれるか否かを判定する。当初は雇用期間が1年以上見込まれなかったものの、契約更新等により、その後に1年以上雇用されることが見込まれることとなった場合は、その時点(契約締結日等)から被保険者となる、とされています。

http://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2016/0516.files/20160516.pdf

顧問先をはじめとして様々な会社からいろいろなご相談や案件を頂くのですが、その1つ1つを調べるのが楽しくて仕方がありません。その案件について法的な規制な定められているのか、通達や指針はないのか、一般的に企業はどのような対応をしているのか、今後の世の中の見通しから考えてどのような対応をとっておくことが望ましいのか、など色々な観点から考えていきアドバイスをさせて頂くのですが、そのすべてが自分の蓄積になっていく感じがします。

まさに「仕事をしながら勉強させて頂いている」ということです。

昔、TACの講師になりたての頃ガイダンスで、「社労士の仕事は、仕事をすることで同時に勉強できるのがとても素晴らしいと思います。」と話したのを思い出します。あれから20年以上たった今も同じ気持ちで仕事をしていることに感謝を覚えます。


短時間労働者 社会保険の適用拡大について

2016-03-27 23:29:57 | 社会保険

今年の10月から社会保険の適用基準が変わります。短時間労働者に対しての適用が拡大されることになりますが雇用保険と揃う部分が多くあります。

<適用拡大の5要件> (平成28年10月施行)
1 週の所定労働時間が20時間以上あること
2 賃金の月額が8.8万円(年収106万円)以上であること
3 勤務期間が1年以上見込まれること
4 学生を適用除外とすること
5 規模501人以上の企業(特定適用事業所)を強制適用対象とすること

上記適用拡大の5要件の他改正のための現状分析が載っている資料が厚生労働省から出ています。

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000099460.pdf

P15には賃金の月額8.8万円(年収106万円)以上であることの考え方が載っています。

週給、日給、時間給を一定の計算方法により月額に換算した額が、88,000円以上である場合をいう。
ただし、次に掲げるものは除く。(省令で規定する予定)
① 臨時に支払われる賃金(結婚手当等)及び1月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与等)
② 所定時間外労働、所定休日労働及び深夜労働に対して支払われる賃金(割増賃金等)
③ 最低賃金法において算入しないことを定める賃金(精皆勤手当、通勤手当及び家族手当)

 詳細は省令で定められるということですが、賞与と時間外が除かれるというのは少し驚きです。年収106万円の考え方の中には含まれているのかと思っていました。

また、10月から適用される「常時500人を超えるもの」に該当するか否かの、特定適用事業所の適用基準については、
・容易な雇用調整による適用回避を防ぎつつ
・社会通念上、常時として取り扱うことが許容されると考えられる範囲内として
・「1年のうち6月以上、500人を超えることが見込まれる場合」
とすることとし、具体的な考え方が上記PDFには記述があります。

以下ポイントがまとめられたリーフレットが日本年金機構から出ています。

https://www.nenkin.go.jp/jigyonushi/index.files/20160202.pdf

ここ2週間くらいめちゃくちゃ仕事を片付けたので、今週末は珍しく仕事をせずのんびりしました。親孝行を兼ねて明治座にお芝居を見に行き、今日は増えてしまったバック類を整理して、お正月に整理しきれなかった遅く届いた分の年賀状を区分ごとに整理しました。

こういうこまごまとした整理は気持ちがすっきりしてとても爽快です。事務所の中のことや社労士会の統括支部長職などとにかくこまごまとしたことの処理が毎日沢山あり、それらを上手くてきぱきとこなすことができるとやはりとても爽快です。仕事においては大きな課題に取り組む力と同じくらい雑事処理能力がとても大事でだと思っています。雑事ばかりで本来の仕事に時間がとれないということを思うこともあるのですが、雑事もきちんと処理していくこと、それも本来の仕事と考えるようにしています。

「神は細部に宿る」という言葉がありますが、仕事をしていると本当にそうだなと思うことがあります。全体像をとらえるというか俯瞰的に物事を見る方がどちらかというと好きなのですが、やはり最終的な決め手は細部にあると感じることが多々あります。そういう意味でこまごまとした事務処理も気を抜かずにと思っています。


同月得喪の場合の保険料の取り扱いについて

2016-01-31 23:59:12 | 社会保険

ここのところ法改正のセミナーを色々な場面で行わせてもらっています。内容としては派遣法と安衛法のストレスチェックが重いのですが、女性活躍推進法もそれに続きます。また若者雇用促進法やいわゆる同一労働同一賃金法もなかなか法改正の背景や趣旨を学ぶと興味深いものがあります。さらに昨年10月改正の被用者年金一元化法や今年4月に改正される健康保険法など社会保険関係の改正も実務的には重要です。

その中で気になるのが昨年(平成27年)10月1日より被用者年金一元化法により厚生年金の同月得喪の扱いの変更です。同月得喪の場合これまで被保険者期間1箇月として保険料を徴収・納付してきたのですが、改正後は共済年金の同月得喪の扱いと統一することになったためか納付不要の場合連絡があり還付されるという仕組みのようです。条文の変更としては以下アンダーラインの部分です。

※この扱いは厚生年金保険のみのことで、保険者が複数ある健康保険については同月得喪においては1箇月の保険料を徴収する扱いに変更はありません。

厚生年金保険法 第19条2項  

【改正後】 被保険者の資格を取得した月にその資格を喪失したときは、その月を一箇月として被保険者期間に算入する。ただし、その月に更に被保険者又は国民年金の被保険者(国民年金法第七条第一項第二号 に規定する第二号 被保険者を除く。)の資格を取得したときは、この限りでない。

【改正前】 被保険者の資格を取得した月にその資格を喪失したときは、その月を一箇月として被保険者期間に算入する。ただし、、その月にさらに被保険者の資格を取得したときは、この限りでない。

同月得喪があった場合には、ほとんどの場合その月は国民年金の第1号被保険者又は第3号被保険者になる、またはさらにその月内に再就職して被保険者(厚生年金被保険者=第2号被保険者)になると推定されるので、条文でいう「この限りでない」に該当し、すなわち被保険者期間1箇月としての算入はされないということになると思われます。その場合であっても従来通り保険料の徴収・納付は行い、月末の被保険者の種別を確定したのち保険料を還付することを想定しているようです。

実務的には、同月得喪した被保険者から保険料を徴収後本人に還付するというのは手間がかかり又還付できないケースや還付をする必要を会社が認識しないケースが多発しそうな気がします。還付できないケースでは会社が悩むことになり、又還付の必要を会社が認識しない場合は会社に還付されたお金が残るということになります。

そうであれば同月得喪の場合は保険料は原則として徴収しなくてもよく、例外的に徴収するケースはどのようなケースなのかもう少し具体的に示す必要があるのではないでしょうか。また企業がしっかり内容を認識して保険料の徴収をどのようにするか選択してもらうような広報をするということも必要だと思います。

同月得喪の場合に例外的に保険料を徴収するケース(何の被保険者にもならないケース)としては、60歳以上であるため第1号・第3号被保険者にならない場合や同月得喪後その月内に海外に行った場合などが考えられ、その場合は保険料の徴収・納付が必要だということになります。

改正前の条文では、厚生年金保険法ではなく国民年金法に以下の条文があり、その月の最後の種別の被保険者になると理解していました。

国民年金法 第11条の2  第一号被保険者としての被保険者期間、第二号被保険者としての被保険者期間又は第三号被保険者としての被保険者期間を計算する場合には、被保険者の種別(第一号被保険者、第二号被保険者又は第三号被保険者のいずれであるかの区別をいう。以下同じ。)に変更があつた月は、変更後の種別の被保険者であつた月とみなす。同一の月において、二回以上にわたり被保険者の種別に変更があつたときは、その月は最後の種別の被保険者であつた月とみなす。

厚生年金の同月得喪の場合に1箇月の保険料を納付後その月が第1号被保険者として確定するとどうなるのかご質問を受けて年金事務所に問い合わせたこともあるのですがはっきりした答えは返ってこず、また請求すれば同月得喪の分として納付した保険料は戻るということを他の社労士から聞いていました。しかし改正後は以下の条文が厚生年金保険法第19条5項に加わることにより、完全に最後の種別で判断することとなり同月得喪の場合の扱いは原則保険料の納付は不要となるということになったのだと思います。

同一の月において被保険者の種別に変更があつたときは、前項の規定により適用するものとされた第二項の規定にかかわらず、その月は変更後の被保険者の種別の被保険者であつた月(二回以上にわたり被保険者の種別に変更があつたときは、最後の被保険者の種別の被保険者であつた月)とみなす

BBクラブの年金に詳しい会員に聞いたところ、厚生年金保険法には上記改正後の5項の条文がなかったためなのか、従来は同月得喪の際には厚生年金保険の被保険者1箇月として算入されており、例えその月の最後の被保険者が第1号被保険者であったとしても両方でカウントされていたということです(そうだとすると請求すれば納付した保険料が戻るということとの法律上の取り扱いに対する整合性が取れなくなってくるのですが・・・)。

いずれにしても年金は複雑だからなおさら、詳しい内容の周知をしてもらいたいと思います。年金事務所や街角年金センターなど現場で仕事をしている社労士がそのあたりで実務上の問題点などをあげてもらえるととても心強いと思います。

以下が日本年金機構のリーフです。

https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/jigyonushi/oshirase/20150521-01.files/zenkoku14.pdf

昨日のBBクラブは雪が予想されたにもかかわらず140人ほどの方が集まって頂いて、またとても楽しく明るい雰囲気で充実した1日になりました。色々な会員の悩みや今の状況を聴くこともでき、私も3次会まで参加しましたので今日は殆どだらだらと1日過ごす羽目に陥りましたが、良い週末になりました。

BBクラブはいよいよ15周年を迎えたということで夏には多少のお祝いを兼ねた懇親会になるのかと思いますが、メンバーも受講生当時大学生が今や2児の母で40代となり、また会員の社労士資格の活かし方への模索も合格直後とは異なるようになりました。せっかくの国家資格ですから企業に残る選択をしてきた会員も何とか社労士資格を生かして充実した人生を送ってもらえるとよいなあと思います。

社労士の仕事も最近は様々で、従来の労働社会保険の手続・労務管理のご相談業務の他、人事管理のコンサル、ADRにおけるあっせんや、成年後見、管理職研修などのセミナー講師等その範囲は非常に広がっているので、自分次第ではサラリーマン時代から準備をしておき、定年でも早期退職でも退職後の次のステージに社労士を生かすため備えることはできそうな気がします。

最近私が社労士会で担当している社会貢献委員会の「がん患者就労支援」なども非常に意義がある仕事と思います。興味がある方はセミナーに来て頂くと有難いです。http://www.tokyosr.jp/topics/2015-topics/19391/ 


兄姉の被扶養者認定基準

2016-01-11 23:16:33 | 社会保険

明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

平成28年10月1日より、兄姉の認定条件について、「同居」の条件がなくなる予定とのことです。

健康保険の被扶養者の認定については現在、「弟妹」は生計維持関係のみで同居要件は必要とされません。しかし「兄姉」は生計維持関係と同居要件を必要とします。

TACの講師になりたての頃、兄姉についてだけなぜ同居要件を必要とするのかという質問を受けたことがあります。その時に考えたのは、やはり昔の日本では「兄(特に長男)」は家を継ぐ者として兄弟の下のものを面倒見る義務があり、そういう意味では例えば弟が勉学の都合で同居していない時でも兄の被扶養者となることができるようにしたということかなということです。昔はやはり兄弟の序列が厳然としてあったためやはり「姉」も兄弟の下のものを面倒見る立場であるという考え方であったのでしょう。しかし、今の世の中にはそれは合わないなあともその時思いました。

今回法改正セミナーの準備をしていて、平成28年10月1日より、兄姉の認定条件について、「同居」の条件がなくなる予定ということをレジュメに入れるかどうか考えてあれこれ調べていたのですが、健康保険組合はかなりこの予定をHPに載せていました。さらにネットで調べていたところ、この改正のきっかけになったと思われる「行政苦情救済推進会議の意見を踏まえたあっせん」に行き着きました。このあっせんが理由で改正されたというにはあまりにも以前のことのように思いますが、「確かに改正は必要だ」と思わせる以下の内容でした。

健康保険に係る被扶養者の認定要件の見直し(概要)-行政苦情救済推進会議の意見を踏まえたあっせん-
総務省行政評価局は、次の行政相談を受け、行政苦情救済推進会議(座長:塩野宏)に諮り、その意見を踏まえて、平成19 年2月28 日、厚生労働省に対しあっせんします。

≪行政相談の要旨≫
健康保険の被扶養者の認定に当たり、兄姉が弟妹を扶養している場合は同居の有無を問われないが、弟妹が兄姉を扶養している場合は、同居が必要とされている。
現在、私は自宅で重度の知的障害を持つ兄を扶養しているが、この制度の下では、同居するために遠距離通勤を余儀なくされるなどの支障が生じているため、重度の知的障害を持つ兄姉を扶養している場合は、同居の有無を問わないような特例措置を講じてほしい。

≪あっせん要旨≫
弟妹の場合と同様に兄姉の場合においても、あるいは重度心身障害者についてはそのこと自体をもって、同一世帯要件を不要とする方向で健康保険法の見直しを検討することが必要

詳しくは以下をご覧ください。

http://www.soumu.go.jp/main_content/000302830.pdf#search='%E5%85%84%E5%BC%9F%E5%A7%89%E5%A6%B9%E3%80%81%E8%A2%AB%E6%89%B6%E9%A4%8A%E8%80%85%E8%AA%8D%E5%AE%9A%E3%80%81%E7%94%9F%E8%A8%88%E5%90%8C%E4%B8%80%E3%80%81%E6%94%B9%E6%AD%A3%EF%BD%A4'

今年は年末からお正月にかけて休日が若干少なかったのですが、お天気も良く暖かかったとても穏やかなお正月ではありました。先週山手統括支部の賀詞交歓会も無事に終えることができましたし、この連休は少しホッとしたとともに、月末目白押し状態の法改正セミナーのレジュメもほぼ作り上げることができ、順調な滑り出しになったと思います。

箱根駅伝は事務所のお隣さんでもある青学が完全優勝ということで、おめでたいことです。5日に事務所の新年会を学校に併設されたレストランで行った際、箱根駅伝で走っていた選手がお店に挨拶に来ているところでした。

青学の監督である原監督は今や人の管理のセミナーに引っ張りだこだそうですが、2日のスタート直後にアナウンサーが言っていたのが「なんといっても勝つには先手必勝」という言葉が印象的でした。やはりとにかく先に先に前倒していくことが余裕を持ち自分のペースで行ける一番の方法ということだと思います。そのあたりもちろん1区でつまづいてしまうこともあり得ますから予定通りいかないこともあると思いますが、その場合はどこで修復するかということも先に考えておくこととして、できれば今年は先手必勝を目標に行きたいと思いました。

それでは平成28年1年間、よろしくお願いします。

 


社会保険 賞与に係る報酬

2015-11-14 23:43:13 | 社会保険

社会保険(健康保険及び厚生年金保険)においていわゆる月給である「報酬」とボーナスである「賞与」は異なるものです。賞与の考え方は法律で以下のとおり定められています。

報酬の範囲として、「通常の報酬」とそれ以外のものを「賞与」としています。法律の定めとしては賞与は以下の通りです。

「賞与」とは、賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受けるすべてのもののうち、3月を超える期間ごとに受けるものをいう(健康保険法第3条6項厚生年金保険法第3条4号)。

「報酬」は、原則として、4月・5月・6月に受けた報酬の総額を3で除して得た額(報酬支払基礎日数が17日未満の月は除きます)を報酬月額として、その報酬月額を標準報酬等級区分に当てはめ標準報酬月額を決定し、決定された標準報酬月額を元に毎月の保険料は決まります。

それに対して「賞与」は、3月を超える期間ごとに支払われるものをいい、その賞与から千円未満を切り捨てた標準賞与額(健康保険は年度の累計額540万円、厚生年金保険は1ヶ月あたり150万円が上限)を設定し、保険料の額を決定します。

平成27年10月1日から通達の改定が行われ「通常の報酬」と「賞与に係る報酬」が明確化されました。賞与の支給の方法により保険料が変わってくるため、変則的な賞与の支払い方が増えて来て考え方の整理が行われたのかなと思われます。基本的にはこれまでの考え方と変わるものではありません。

「通常の報酬」には、1カ月を超える期間にわたる事由によって算定される賃金等が分割して支給されることとなる場合その他これに準ずる場合は含まれない(健康保険法及び厚生年金保険法における賞与にかかる報酬の取り扱いについて(昭和53年6月20日保険発第72号略・保保発0918第5号年管管0918第2号平成27年9月18日)」と通達に加筆されました。

http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T150925S0060.pdf

Q&Aの但し書きによると、給与規定等によりボーナス等を分割して毎月支給する場合については、「通常の報酬」(毎月支給されるもの)には含めないこととし、保険料算定に係る報酬額の算定に当たっては、1年間のボーナス等の支給額の総額を12で除して得た額を報酬額とする等、「賞与に係る報酬」(年間を通じ4回以上支給されるもの)として取り扱うこととする。(平成27年10月1日から適用)とされています。

「賞与に係る報酬」ということで、年間を通じて4回以上支給されるものはやはり「報酬」に含めて算定の基礎とし定時決定を行うことになり、標準賞与額としての保険料の徴収はされないということになります。

以下の参考の定時決定の場合の標準報酬月額の計算を見ると分かりやすいです。

http://keikikenpo.or.jp/keikikenpo-pdf/news-20150930-1.pdf

明日は1泊で社員旅行で長崎に行って参ります。総勢12人が参加するので、1日目は9人乗りのタクシーを2台準備して市内観光をして夕食には中華街に行き、翌日は顧問先の資料館を見学後軍艦島に行く予定です。毎年日帰りでは社員旅行を行ってきたのですが泊りがけは初めてです。今年も夏は本当に忙しかったですしお疲れ様の意味を込めて楽しんで来ようと思います。


短時間労働者に対する社会保険の適用拡大について

2015-11-02 00:36:31 | 社会保険

平成28年10月から短時間労働者に対する社会保険の適用が拡大されます。現在、概ね30時間以上(通常の労働者の4分の3以上の労働時間数)で社会保険は適用されることになっていますが、それが雇用保険と同じ20時間以上で適用されることになります。マイナンバーに気を取られていたら来年の10月に迫っていることに気が付きました。

いったいどのくらいの保険料負担を事業主は覚悟しておく必要があるのか簡単に試算しておく方が良いと思います。適用拡大の条件は以下の通りです。今回学生の適用除外が明確にされたことと501人以上の企業が対象※とされています。※3年以内に検討を加え、その結果に基づき、必要な措置を講じる。

●適用拡大の条件

①週20時間以上
②月額賃金8.8万円以上(年収106万円以上)
③勤務期間1年以上見込み
④学生は適用除外
⑤従業員 501人以上の企業

当初の政府案では賃金の8.8万円は、7.8万円以上としていましたが、国会での修正協議において、①企業においては、消費税の引上げに加えて、社会保険料を折半で負担することについて配慮が必要であるという意見、②月額7.8万円以上の人から厚生年金を適用した場合には国民年金の保険料より低い負担で、基礎年金に加えて厚生年金が受けられることについて、不公平ではないかという意見があり、8.8万円以上とされた、ということです。

適用拡大があることでどれくらい保険料負担が会社にとって増えるのかを計算してみると以下の通りになります。

時給1,000円で週20時間(1日4時間×5日)働くとすると月では4時間×21日=84時間ということになりますので月額賃金は84,000円ですから②に該当せず適用になりません。

とすると月給88,000円の人の保険料がほぼ最低と考えた場合標準報酬月額は88,000円(83,000~93,000円)となり事業主負担(被保険者負担も同じ)として、

健康保険の介護第2号被保険者ではない場合4,386円(協会けんぽで東京の場合)、厚生年金8,735円の合計13,121円になります。

10人のパートさんが適用になる場合は131,210円の保険料負担の増加、100人のパートさんがいる場合は1,312,100円の保険料負担の増加になる勘定です。

いよいよ11月に入りました。今月は長崎に社員旅行に行くほか社労士会の管外研修や大阪会との意見交換会もあり家を空けることが多くなりそうです。いよいよ布団も冬物に入れ替えひざ掛けなども出して冬支度を済ませました。


夏休みこども年金教室

2015-08-09 23:04:22 | 社会保険

今年も昨年に引き続き東京都社会保険労務士会社会貢献委員会で、都内や近県にお住まいの小学生とその保護者の方を対象として、「夏休みこども年金教室」を8/20(木)、千代田年金事務所4階会議室において開催します。

この企画は昨年も8月に初めて実施して、多くの親子さんにご参加いただいて、年金額を計算をしたり前に出て演技したりととても楽しく年金を学ぶことができました。子供たちはとても一生懸命で、最後に全員に手渡される修了証をもらいに前に行くとき誇らしげだったのが印象的でした。子供の頃から年金の「世代間扶養」の考え方に触れるのは大切だと思います。

 昨年の実施風景

今年度の参加申込方法等の詳細につきましては以下をご参照ください。※ご好評により申込期限を8月17日(月)まで延長しました
http://www.tokyosr.jp/topics/2015-topics/17219/

http://www.tokyosr.jp/wp-content/uploads/2015/07/H270820_natsuyasumi_kyoushitsu.pdf

今年も開催することになり広報委員会がプレスリリースの投げ込みを行ってくれたのですが、今回は小さくではありますが8月7日の日経新聞の朝刊に取り上げられました。プレスリリースは一昨年会長からの新たな広報ルートの開発の命を受け開始しました。プレスリリースとは何ぞやから始まり、投げ込みをどのように行うのか厚生労働省や都庁に見学に行き、昨年6月に実際に自分で初めて投げ込みに行ってみて、12月に広報委員会に引き継いでもらったのですが、これまであまり目立った効果は出ていませんでした。

今回は日経に記事が出たということで効果を実感できると非常に嬉しいのですが、楽しみにしています。

https://www.facebook.com/tokyosr.jp

皆様シェアをお願いします。

東京会では広報担当なので社会保険労務士をいかに外部向けに広報して行くかをいつも考えています。やはりこれからはHPやFBなどの迅速な発信が重要だと最近特に実感しています。

また内容がなんと言っても重要です。法改正の情報と委員会の情報が中心になるかと思います。会員社労士がこれら法改正等をいち早く入手できると感じて毎日朝いちばんに確認してもらえるサイトにできればということと共にFBで情報が外部にも拡散してくのが理想だと思います。私も迅速な情報発信を頑張ってみようと思っています。

12日~16日までOURS小磯社会保険労務士法人は夏休みを頂きます。私もちょっと旅行に行って参ります。

よって来週の日曜日のブログは夏休みとさせて頂きます。皆様良い夏休みを!


協会けんぽ 介護保険料率引下げについて

2015-07-26 23:39:52 | 社会保険

先日BBクラブで法改正内容である労働法の動向の講義をした際に「オヤ?」と思ったのが協会けんぽの介護保険料率の「引き下げ」についてでした。

介護保険は近年利用率が非常に高まっており、介護保険料は値上がりする一方だと思っていました。

調べたところ、協会けんぽからは「東京支部の加入者・事業主の皆さまへ」というリーフが出ていました。

平成27年4月分(5月納付分)から、協会けんぽの保険料率が改定されます。https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/tokyo/kouhou/%E6%9D%B1%E4%BA%AC_%E6%96%99%E9%A1%8D%E8%A1%A8%E3%83%81%E3%83%A9%E3%82%B7.pdf#search='%E4%BB%8B%E8%AD%B7%E4%BF%9D%E9%99%BA%E6%96%99%E5%BC%95%E3%81%8D%E4%B8%8B%E3%81%92%E3%80%81%E5%8D%94%E4%BC%9A%E3%81%91%E3%82%93%E3%81%BD'

この介護保険料率の引き下げの影響はどのようなものであるかを調べてみたところ、NHK解説委員室 時事公論「報酬引き下げ どうなる介護」が出てきました(以下抜粋)。

介護サービスを提供した事業者に支払われる「介護報酬」が、9年ぶりに引き下げられることになりました。事業者の間には深刻な人手不足に拍車がかかり、サービスを提供できなくなるという危機感が広がっています。
  
介護保険制度では、訪問介護やデイサービス、特別養護老人ホームなどのサービスごとに事業者に支払う報酬の額を国が決めています。それが「介護報酬」です。事業者はサービスを提供して受け取った介護報酬の中から賃金を支払うので、報酬が引き下げられると賃金は抑制されやすくなります。

その一方で、非正規労働者を正社員にしたり、資格を取るための研修を行ったりするなど 政府は月収が1万2000円程度上がるようにするとしています。
  
いま、介護の現場は人手不足に揺れています。介護職員が集まらないため、事業の縮小を迫られるケースが相次いでいています。パートを含めて、およそ50人の介護職員しか採用できなかった一方、入所を待っている待機者は200人以上いて、部屋が空いているのに施設に入れない事態に陥っています。労働組合の調査によると、介護職員の賃金は月額平均20万円余りで、全ての産業の平均よりも9万円近く低くなっています。こうした職員の処遇を改善しない限り、人手不足の問題は解決しないと思います。

その他「特養(特別養護老人ホーム)」についての問題もあるようです。なぜ、人手不足に苦しむ特養の報酬を減らすのか。それは、財務省が特養は「儲け過ぎている」と見ているからです。特養は非課税でありながら多額の内部留保が存在する事に対し、財務当局や民間企業から厳しい目が向けられているからです

「超高齢社会」を乗り越えるため、必要なサービスは財政支出を惜しまずに充実させていく、そうした政策を進めて欲しいと思います。

上記の記事からすると人手不足の問題と多額の内部留保の問題の2つの問題があるということが分かります。介護職員の賃金は月額平均20万円余りということです。問題の解消のための介護保険料率の引き下げによりその狭間で介護職員の賃金がさらに低くなることのないようにしてもらいたいものです。

今週前半は1泊ですが九州に新規の契約の打ち合わせに出張に行ってきました。かなり駆け足でしたがしっかりスタッフが打合せをしてくれて、皿うどんを二回食し充実した出張になりました。

それにしてもこの暑さの中、目黒支部が目黒リバーサイドフェスティバルに参加するということで今日は差し入れに行って参りました。暑さの中かなりの人出で盛り上がっておりました。目黒支部の皆さんは冷房の効いた部屋で小林支部長が講師を務めるセミナー「マイナンバー利用開始までに企業がやるべきこと」の準備中で涼しげな顔だったのでアツアツのたこ焼きを差し入れてきました。来週は世田谷支部がやはり「せたがやふるさと区民祭り」ということです。

昔は夏祭りが普通だったのでしょうけれど、この暑さの日本での夏のお祭りはかなり体力がないと楽しめないような気がしましたのでしっかり充電します。

    


任意継続被保険者

2014-10-13 18:18:29 | 社会保険

会社の退職後の医療保険制度ヘの加入は、3つの選択肢があります。「健康保険任意継続」、「国民健康保険」、「家族の被扶養者」の3つです。

家族の被扶養者になる場合を除き、一般的には毎月納める保険料と給付を比較することになると思います。

1.健康保険の任意継続被保険者の条件は、(1)資格喪失日の前日までに「継続して2ヶ月以上の被保険者期間」があること。(2)資格喪失日から「20日以内」に自宅住所地を管轄する協会けんぽ(健保組合に加入している会社の場合は健保組合)に申請することになります。(20日目が営業日でない場合は翌営業日まで)

保険料は、被保険者時代は半分を会社が負担していますが、退職後任意継続被保険者になると全額本人負担となります。しかし、任意継続被保険者の場合は保険料の基礎となる標準報酬月額に上限が設けられています。協会けんぽの場合標準報酬月額の平均額が28万円であり、この標準報酬月額の平均額と資格喪失時の標準報酬月額と比較していずれか低い額が任意継続被保険者の保険料の基礎となる標準報酬月額になります。従って被保険者時代の標準報酬月額が高い場合にはこの上限の効果があり、全額負担してもむしろ被保険者時代より低い保険料を払えば良いということになります。

また任意継続被保険者の場合、退職後だということで傷病手当金・出産手当金を受けることはできません。以前は任意継続被保険者は全く被保険者と同じ給付を受けることができたのですが、平成19年の改正により退職者である任意継続被保険者の休業補償である傷病手当金の支給まではすることはないだろうという考えのもとに(もちろん健康保険制度の財政状況の逼迫があると思いますが)廃止になりました。

2.国民健康保険は、健康保険制度を資格喪失していることを証明すればとくに被保険者になることについて条件はありません。住所地の市区町村の国民健康保険で手続をします。

保険料については、各市区町村で計算の方法が異なるため一応計算してもらい把握したうえで1の任意継続被保険者の保険料と比較してみる必要があります。前年の収入をもとに計算しますので、退職後1年目は高く、2年目は低くなることがほとんどです。

平成22年4月から「非自発的失業者ヘの軽減措置」が実施されており、その場合保険料は離職日の翌日の属する月からその月の属する年度の翌年度末まで 30%に抑えられます。あくまで事業所の倒産、解雇等事業主の都合により離職した「特定受給資格者」と労働契約期間が満了し、更新を希望したが更新されずに離職した「特定理由離職者」が軽減対象です。

給付については現在は高齢者を除く医療制度全てが3割負担であり、市区町村にもよりますが傷病手当金などの支給はない場合がほとんどなので、1の場合と同じと考えて問題ないと思います。

週末になると台風が多いですね。台風は昔は夏休みの終わりころに来ていたと思っていたのですが最近少し来る時期が遅くないですか?それとあまりに準備万端過ぎる気がして仕方ありません。確かに日本は災害で様々な被害を受けているのでしょうがないのかもしれませんが。縮こまるのは嫌だなと思います。

先日本屋さんで見た「大人の女はどう働くか?」という本が気になり購入しましたがとても共感を覚えました。とても参考になりました。これで私もうまく割り切り、余裕を持って仕事を回し、自分の時間もしっかり持てるようになるのが夢です。本を読んだ後なのできそうな気がしています。楽しみです。

 


60歳以上再雇用時の同日得喪について

2014-06-16 00:54:43 | 社会保険

厚生年金保険の被保険者が60歳以上で定年または定年以外の理由により退職後継続して再雇用された場合の扱いについては、月変ではなく同日得喪をすることにより標準報酬を3カ月待たずして変更することができる仕組みになっています。以下日本年金機構のHPからの抜粋です。

平成22年8月末までは、定年制がある事業所に勤務し年金(特別支給(60歳台前半)の老齢厚生年金)を受けられる厚生年金保険の被保険者(以下「特老厚受給の被保険者」といいます。)が、定年により退職し継続して再雇用される場合(注)に限って、事業主は被保険者の資格喪失届と資格取得届を同時に事務センター(年金事務所)へ提出することができました。
平成22年9月からは、さらに次に該当する特老厚受給の被保険者についても同様の提出ができるようになりました。

 ①定年制の定めのある事業所において定年退職以外の理由で退職後継続再雇用(注)された場合

 ②定年制の定めのない事業所において退職後継続再雇用(注)された場合

平成25年4月からは、さらに特老厚受給の被保険者に限らず、60歳以上の被保険者全てについて同様の提出ができるように対象者の拡大が図られました。

  (注)1日も空くことなく同じ会社に再雇用されることをいいます。

これは実務上契約更新ごとに「退職→継続再雇用」としてこの扱いが認められることになっていますが、契約期間満了前に労働条件が変わり新たに契約を結ぶことになった場合にも適用があるかどうかというご質問がありました。確認したところ、やはり契約期間満了前に労働条件変更が行われた場合であっても同日得喪の扱いとなるが、その場合契約満了前に破棄された契約の終了日を証明するものが必要であるということでした。この証明については会社が証明書面を作成することになると思いますが、新たな契約書に「従前の契約については〇年〇月〇日を持って終了するものとする」というような文言が入っているのでも認められるということです。とにかく従前の契約の終了日と新たな契約の開始日が継続しているということを確認する必要があるということでした。

http://www.nenkin.go.jp/n/www/faq/detail.jsp?id=5032&faq_genre=122

サッカーは残念でした。きっと日本中がっかりしているのではないかと思います。今回のワールドカップは時間的にはちょうどよく、今日は家でのんびり休んでいたので久しぶりにゆっくり観戦しましたがなかなか選手起用や点の取り方取られ方など見ていると面白いなあと思いました。

社労士になる前は、野球は高校野球は予選大会から、また日本シリーズなどは外出中でも喫茶店に入ってわざわざ見たり(今はなき近鉄が好きでした)、ラグビーは秩父宮や国立競技場にひざ掛けを持ってよく見に行くくらいスポーツ観戦をしていました。社労士になってからは仕事一筋、日曜日に講義があったりもして、すっかりそんな時間を取れていなかったので今日はちょっと新鮮な気持ちで見ることができました。これからも厳しい状況のようですが頑張ってほしいですね。

 


被扶養者の認定について

2013-09-29 23:17:39 | 社会保険

 最近、父母を被扶養者として認定してもらえるのかというご相談が多くあります。時には父母だけではなく祖父母をということもあります。ここにきて団塊の世代がいよいよ引退する時期になったためなのかもしれません。被扶養者の認定については以下の通りです。※以下①または②に該当している場合でも、後期高齢者医療制度の被保険者等である人は除きます。

①被保険者の直系尊属、配偶者(戸籍上の婚姻届がなくとも、事実上婚姻関係と同様の人を含む)、子、孫、弟妹で、主として被保険者に生計を維持されている人

 (生計維持関係は必要・同一世帯要件なし)


②被保険者と同一の世帯で同居して主として被保険者の収入により生計を維持されている次の人
  1.被保険者の三親等以内の親族(①該当者除く) 2.被保険者の配偶者で、戸籍上婚姻の届出はしていないが事実婚と同様の人の父母および子 3.2.の配偶者が亡くなった後における父母および子

 (生計維持関係・同一世帯要件ともに必要)

「生計維持関係については以下が認定基準になります。

●認定対象者が被保険者と同一世帯に属している場合

 原則として、認定対象者の年間収入が130万円未満(60歳以上またはおおむね障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)であって、かつ、被保険者の年間収入の2分の1未満である  場合は被扶養者となります。

●認定対象者が被保険者と同一世帯に属していない場合

 認定対象者の年間収入が130万円未満(60歳以上またはおおむね障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)であって、かつ、被保険者からの援助による収入額より少ない場合には、被扶養者となります。

父母であれば、直系尊属ですから①の生計維持関係は必要・同一世帯要件なしということになります。だいたいの場合父の年金を主とする収入は180万円以上であるため父が被扶養者になることは少ないのですが、母の年金額は少なく、子が親と同居している場合や親世帯に仕送りをしている場合は生計維持関係があるということになります。この場合、夫である父が180万円以上の収入があっても、収入が少なく生計維持関係の要件を満たす母は子供の被扶養者になることができるのかということなのですが、保険者(協会けんぽ・健保組合・共済組合)により対応が異なるようです。

社会保険庁時代は、「夫である父が被扶養になれない収入があるのであれば、その妻である母のみ子の被扶養者として認めることはできない」と回答されたことがありますが、協会けんぽは母のみ子の被扶養者として認定するようです。

健保組合については対応はそれぞれの組合ごとになりますが、「父に180万円×2=360万円以上の収入がある場合は、母は子の被扶養者にはなれない」としているところがあるようです。要するに世帯で2人分の収入があると認められるためだと思われます。この基準は特に通達としては出ておらず、健保組合が独自で持っている基準だと思われますが理屈としては当然という気がします。

共済組合は各共済組合によるのだと思いますが厳しいようです。

被扶養者の認定については、家族手当の認定基準にしている会社もあります。被扶養者として認定された場合でも、父母については家族手当の対象として想定していないケースも考えられます。規程内容を一度確認しておく方が良いかもしれません。

昨日は中高4年間過ごした高校のテニス部のOB会に出席するため、のぞみに乗って日帰りで神戸に行ってきました。高校1年生の終わりに親の転勤で東京に戻りましたので、皆と卒業はしていないのですが、きちんといつも声をかけてもらえのでできるだけ出席するようにしています。40代後半で看護師になった友人の話はいつも面白くて、中高学時代と全く同じです。中高時代を過ごした神戸はだいたい2年に1回くらいは行っているので第2の故郷です。行きの新幹線は1週間の疲れが出て爆睡、帰りはあれこれ持参した資料を勉強しました。

最近学生時代から仕事を始めてから知り合った友人まで色々な友人が連絡をしてくれて食事を一緒になど誘ってくれます。忙しいことは忙しいのですが、せっかく連絡してくれて話をしたいと言われれば、これは本当に嬉しいことと大切に考えています。OB会で顧問の恩師が言っていたのは、「結局最後は人と人とのつながり」。そうなんだろうなと思います。