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社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

在職老齢年金の歴史④

2018-07-16 23:35:55 | 年金

在職老齢年金について、内閣府が見直しを訴えという記事が7月13日付の日経新聞に載っていました。「内閣府がまとめた60歳代の就業行動に関する分析結果によると、働いて一定の収入がある高齢者の年金を減らす「在職老齢年金」がなかった場合、フルタイムで働くことを選択する確率は2.1%上昇し、人数換算で14万人分の押し上げ効果があるとした。内閣府は「制度によりフルタイム就業意欲が一定程度阻害されたことが示唆された」として、制度の見直しが重要と訴えている。」

14万人分の押し上げ効果とはまたかなりのものという感じがします。在職老齢年金は今後廃止という流れは確実のようです。

前々回のブログで、平成6年改正前の在職老齢年金の支給停止基準の表を載せたのですが、平成6年の改正で就労を促進するための見直しが行われました。ある意味この改正によりそれまでの在職老齢年金の所得保障の考え方から転換が図られたものと思います。改正内容は、まず在職中であると2割停止、賃金と年金の合計額が月額22万円に達するまでは、賃金と年金を併給し、22万円を超えても賃金が34万円までは、賃金が2増えれば年金を1減額し、賃金が34万円を超えた場合には、賃金の増加分だけ年金を減額する仕組みでした(数字は改正当時)。

①在職中(被保険者)

支給停止基準額=2割(8割支給)

②基本月額22万円以下、かつ、標準報酬月額34万円以下

支給停止基準額=2割+(標準報酬月額+年金月額-22万円)×1/2

③基本月額22万円以下、かつ、標準報酬月額が34万円超

支給停止基準額=(34万円+基本月額-22万円)×1/2+(標準報酬月額-34万円)

④基本月額22万円超、 かつ、標準報酬月額34万円以下

支給停止基準額=標準報酬月額×1/2

⑤基本月額22万円超、 かつ、標準報酬月額34万円超

支給停止基準額=34万円×1/2+(標準報酬月額-34万円)

 
その後平成15年4月より実施された、総報酬制の導入その他の改正により支給停止基準額が見直され、平成16年の改正で在職中の2割停止が廃止され、更に若干の数字の変更を経て現在の支給停止基準に至っています。昭和61年の改正時に60代後半の在職老齢年金は廃止されていたので昭和61年以降ここまでは60歳代前半の在職老齢年金の変遷です。

65歳以上の在職老齢年金はというと、昭和61年に一回廃止されたものの平成12年の改正で、「高在老」の導入を行い60歳代後半の在職老齢年金制度が復活しました。その後、平成16年の改正により、それまで70歳以降は給与収入額に関係なく年金を全額支給する仕組みであったものを廃止して、在職者である場合は65歳以上の仕組みによる支給停止基準を適用することとした。なおこの改正時点では、昭和12.4.1日以前生まれの70歳以上は適用しない扱いでしたが、平成27年にこれらの者も含めて適用する改正が行われています。

これまで本当に改正が多かった在職老齢年金ですが、どのような役割があったのか、ここまで改正が多かったのはなぜなのかという点について考えましたので次回は触れてみようと思います。

本当に毎日暑いですね。カーっと暑い夏が好きと公言していた私ですがさすがに「ちょっとこれは…」という感じです。まだまだこれから夏は長いですしね。

祭日にもかかわらず今日は授業があり出席したところいつもの半分以下の出席率でした。アメリカの連邦法と州法の関係の授業だったのですが、非常に面白かったです。先日のEU法の仕組みもとても面白く、やはり勉強するとなんだかんだ色々と興味の範囲が広がるような気がします。暑い中出席した甲斐がありました。

来週は連合会の委員会の関係で韓国に行くことになっており週末不在になります。そのためブログもお休みさせて頂きますのでよろしくお願いします。

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