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社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

マクロ経済スライド キャリーオーバー制度について

2019-07-21 22:46:43 | 年金
6月30日のブログでマクロ経済スライドの基本的な考え方をとりあげたのですが、その続きということで今年度発動されたキャリーオーバーについて取り上げてみようと思います。
 
そもそも年金額は、新規裁定者は名目賃金変動率、既裁定者については物価変動率を乗じて賃金や物価の変動に合わせ毎年改定率を決め改定することになっています。マクロ経済スライドというのはこの改定率に調整を加えることで年金額を抑制する仕組みです。保険料収入、積立金等と支給する年金の収支の均衡が取れるようになったときマクロ経済スライドの調整期間が終了します。
 
マクロ経済スライドによる年金額の調整は、賃金・物価が大幅に上昇しなければなかなか発動されない仕組みになっています。その大きな要因として、前年度の年金の名目額を下回らないようにする「名目下限措置」があり、物価・賃金変動率がプラスの場合のみマクロ経済スライドを発動することになっています。 また、例えば、物価変動率が0.8%、マクロ経済スライド調整率が▲1.0%の場合、調整は▲1.0%行うのではなく0.8%分のみマイナス調整をするため、年金額の改定率は0.0%(前年と同額)となります。

これまでマクロ経済スライドの発動は、賃金変動率の低迷等により平成27年度のみでした。第31回社会保障審議会年金部会(平成27年12月8日)において議論された検討課題の中で以下の検討がなされています。
〇将来世代の給付水準確保を図ることが必要
・ 物価>賃金の場合に賃金変動に合わせる考え方を徹底
 ・・・物価より賃金の変動に合わせるということは現役世代の賃金額より年金額が上昇することを避けるということで、現役世代に配慮した考え方です。
・ マクロ経済スライドによる調整が極力先送りされないよう 工夫することが重要
 ・・・マクロ経済スライドの調整を先送りするということは、マクロ経済スライド調整期間が延びるだけであり、こちらも将来世代の負担を増やさない配慮ということです。
要するにマクロ経済スライドを実施しないと、どんどん将来世代の負担が重くなるということなのです。
 
キャリーオーバー制度は、将来世代の給付水準の確保や、世代間での公平性を担保する観点から、年金額の改定に反映しきれなかったマクロ経済スライドの調整率を、翌年度以降に繰り越すこととするものです。この年金額改定ルールの見直しは平成30年4月1日から施行されましたが、令和元年度初めて実施されることになりました。

平成30年度は、年金額が据え置きだったため、マクロ経済スライドによる年金額の調整は行われず、未調整分の調整率(▲0.3%)は翌年度以降に繰り越されました。令和元年度(平成31年度)は、当年度分のマクロ経済スライド(▲0.2%)に、平成30年度に繰り越された未調整(▲0.3%)も含めて調整を行った上で、なお0.1%のプラス改定となりました。 

なお、平成33年4月から、68歳以降の既裁定者の年金については、将来世代の給付水準の確保のため、物価変動の方が賃金変動より高い場合は賃金の変動に置き換え、賃金の変動に合わせて年金額が減額改定されることになっています。 
 
 
昨日は年2回の恒例のBBクラブの勉強会でした。私の法改正は(弁解ですが修論報告が同じ週にあり)今一つでしたが、台東支部の金光仙子先生の「外国人雇用の基礎知識~改正入管法「特定技能」を中心に~」は今聞いておいてよかった、頭の中がクリアになったととても好評で、今回も良い勉強会となりました。BBクラブもとうとう18年続き、いまだ参加者が100名を切ったことがないということで、受講生OBの勉強熱心には頭が下がり、また嬉しく感じます。
 
2次会はおおかたいつも残るメンバーでいろいろな話をしましたが、当時若かった受講生も40代から50代となり、企業で働いている人は中心的な存在となり話していて勉強になることが多いです。また気楽に情報交換や相談ができるという点でも勉強会終了後の飲み会も貴重な機会になっているようです。継続は力なり。BBクラブが私の頑張ろうという気持ちの源泉になっていることは間違いないところです。
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