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OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

保育園の送迎に係る通勤災害について

2015-12-27 22:45:17 | 労働保険

通勤災害の定義は労災保険法第7条第2項及び第3項において以下の通り定められています。

2項 通勤とは、労働者が、就業に関し、住居と就業の場所との間を、合理的な経路及び方法により往復することをいい、業務の性質を有するものを除くものとする。

3項 労働者が、前項の往復の経路を逸脱し、又は同項の往復を中断した場合においては、当該逸脱又は中断の間及びその後の同項の往復は、第1項2号の通勤としない。ただし、当該逸脱又は中断が、日常生活上必要な行為であって厚生労働省で定めるものをやむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合は、当該逸脱又は中断の間を除き、この限りでない。

さらに上記「日常生活上必要な行為」は、労災則第8条において以下の通り規定されており、日常生活上必要な行為の最中である「逸脱・中断中」については通勤災害と認められないものの、その前後については通勤災害が認定されることになります。

労災保険法第7条第3項 の厚生労働省令で定める行為は、次のとおりとする。

一   日用品の購入その他これに準ずる行為

二   職業訓練、学校教育法第一条 に規定する学校において行われる教育その他これらに準ずる教育訓練であつて職業能力の開発向上に資するものを受ける行為

三   選挙権の行使その他これに準ずる行為

四   病院又は診療所において診察又は治療を受けることその他これに準ずる行為

五   要介護状態にある配偶者、子、父母、配偶者の父母並びに同居し、かつ、扶養している孫、祖父母及び兄弟姉妹の介護(継続的に又は反復して行われるものに限る。) *平成20年4月1日より追加されました。

 ところで「保育園への送迎」については上記逸脱・中断の規定の中には含まれていないので、送迎の前後または送迎中の事故については通勤災害と認められないかというとそういうわけではありません。

共稼ぎの場合の保育園の送迎についてはそもそも通勤として「合理的な経路又は方法」として通達(平成27.3.31基発0331第21号)で以下の通り認められており、「逸脱・中断」にすらならない、ということになります。

「合理的な経路及び方法」とは、当該移動の場合に、一般に労働者が用いるものと認められる経路及び手段等をいうものである。・…(略)…さらに、他に子供を監護する者がいない共稼ぎ労働者が託児所、親せき等にあずけるためにとる経路などは、そのような立場にある労働者であれば、当然、就業のためにとらざるを得ない経路であるので、合理的な経路となるものと認められる。

平成19年の労働保険審査会の決定でもそのような判断になっています。

平成19年労第364号(通勤災害関係事件)・取消「夫婦共稼ぎの請求人が出勤の途中で保育園を経由する経路は、特段の合理的な理由があるとして、原処分を取り消した事例」

http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/shinsa/roudou/08/rousai/txt/73.txt

いよいよ今年もあと数日になりました。今日は休日出勤をするスタッフに付き合って事務所で溜まっていた仕事を片付けました。来年がスタートすると色々とご依頼頂いているセミナー等のレジュメを作ることになるため、溜まっていた情報誌類を整理して資料を準備することもできました。

明日は事務所の納会で、業務を早めに終えたら事務所内で料理のとても上手い永年姉と慕っているスタッフの手料理と持ち込んだお酒や参加費用の代わりなのか送られてきたシャンパンなどで締めるのがここ10年近くでしょうか慣わしになっています。顧問先から頂いたネクタイ・ストールから郵便局の景品をくじ引きしたり、私も小さなプレゼントをみんなにプレゼントをしたりでなかなか楽しい会になります。これをやってしばらく年末年始のお休みです。私の新年のスタートは4日の渋谷区の新年会からです。また忙しい1年になりそうです。

ということで来週はお正月(1月3日)なのでブログはお休みさせて頂きます。今年も有難うございました。良いお年をお迎えください。


平成27年度年度更新(労務費率の改正について)

2015-04-12 21:43:05 | 労働保険

平成27年度の年度更新についてはすでに事務組合加入の企業分から事務作業を開始しています。今回は消費税が8%に上がったことに伴ういくつかの注意点があります。先日うちの事務ミーティングでも話題に出たため少し整理しておきたいと思います。以下一括有期事業の年度更新についてです。

まず「労務費率」とは何かというと、建設事業では数次の請負によって行われるのが常態であり、労働者へ支払われる賃金総額を正確に算定することが困難な場合は、請負金額に対する賃金総額の割合(労務費率※)を用いて、労災保険料を計算することができます。簡単に言えば、請負金額に対する賃金総額の割合がどのくらいの比率なのかを算出したものが労務費率だと言えます。

①平成26年4月1日から消費税率が8%となったことに伴い、建設の事業で労務費率を用いて賃金総額を算出して保険料を計算されている事業では、平成27年度労働保険年度更新(平成26年度確定・平成27年度概算)時の賃金総額の算出に当たって暫定措置が適用されます。

・・・要するに平成27年度の年度更新については請負金額を108分の105に引き直すことにより、5%時代に決定された従前の労務費率を用いる(暫定措置)ことになります。平成26年度の確定保険料算定基礎の賃金総額の計算時に用いるということは大幅な変更がない場合※はそのまま概算保険料の計算時にも同様の額を使うということになるため「平成27年度労働保険年度更新(平成26年度確定・平成27年度概算)時の賃金総額の算出に当たって暫定措置が適用」ということになるわけです。

  【賃金総額の算定に際しては、請負金額(税込)に105/108を乗じて得た額(円未満の端数は切り捨て)に旧労務費率を乗じる

  ※大幅な変更がない場合とは、賃金総額の1/2以上2倍以下の賃金見込となる場合をいいます。

②平成27年4月1日から労務費率を改定し、暫定措置が廃止されます。従って、平成27年4月1日以後に事業を開始する事業の概算・確定保険料の申告に当たっては、賃金総額の算定に際して、請負金額(税抜き)に新労務費率を乗じるということになります。

…ここで注意しなければならないのは新労務費率を乗じる場合は消費税抜きの請負金額を用いるということです。

以下リーフレットに詳しく書かれています。

〇消費税率の引上げに伴う労務費率の暫定措置について他

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000045632.pdf

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000080741.pdf#search='%E5%B9%B3%E6%88%90%EF%BC%92%EF%BC%97%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E3%80%81%E5%8A%B4%E5%8B%99%E8%B2%BB%E7%8E%87'

〇労務費率表平成27年4月1日改定

http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11401000-Roudoukijunkyokuroudouhoshoubu-Rousaikanrika/0000068069.pdf 

 蛇足ではありますが、消費税を含まない請負金額を使う場合に新労務費率を使うことになるわけですが、試しに計算してみました。

既設建築物設備工事業  旧労務費率22%→新労務費率23%  例えば請負金額10,000,000円の場合、

旧労務費率計算の場合 10,800,000(消費税8%含む)×105/108=10,500,000  10,500,000×22%=2,310,000円

新労務費率計算の場合                    暫定措置なし         10,000,000×23%=2,300,000円

今後やってみたいことはいくつかあります。その中でもずっと気になっているのが合同事務所を作れないか、ということでした。昨日BBクラブの幹事会の後の飲み会でちょっとアイディアがひらめきました。開業支援やメンター制度なども今の社労士会の中ではとても必要であることを支部運営の中で実感してきましたし、もう少しそのあたりの構想を練ってみようと思っています。


安衛法における事業場の単位

2015-03-04 01:23:46 | 労働保険
今日は支部の今年度最後の研修で安衛法の講義を受けました。内容はもう少し具体的な事例を聞いてみたかったのですが社労士試験向けの安全衛生管理体制の各要件などのお話で、講師時代に講義で話していたことが間違っていなかったという確認はできました。研修をご依頼する際に講師と打合せをしてかなりニーズを伝えたつもりでしたし、こちらからご質問を10個弱お送りしていたのですが、やはりなかなかニーズをお伝えすることは難しいものですね。
 
事務所に戻るとちょうど安衛法のご質問が来ていました。監督署の臨検で「安全衛生推進者」を選任する必要があると指摘があったとのことでしたが、その事業場は事務部門であり本業の現業部門とは別の場所にあるためその他の業種として「衛生推進者」の選任で問題ないように思いました。「安全衛生推進者」は安全管理者選任業種の規模10人以上50人未満の際に選任します。安全管理者選任業種に該当しない場合の規模10人以上50人未満の事業場の場合は「衛生推進者」の選任で足りるとされています。
 
事業場の解釈としては、昭和47年9月18日発基第91号通達の第2の3「事業場の範囲」で示されています。
 
その中で、労働安全衛生法は、事業場を単位として、その業種・規模等に応じて適用することとしており、事業場の適用範囲は、労動基準法における考え方と同一です。
 
つまり、一つの事業場であるか否かは主として場所的観念(同一の場所か離れた場所かということ)によって決定すべきであり、同一の場所にあるものは原則として一つの事業場とし、場所的に分散しているものは原則として別個の事業場とされています。
 
例外としては、場所的に分散しているものであっても規模が著しく小さく、組織的な関連や事務能力等を勘案して一つの事業場という程度の独立性が無いものは、直近上位の機構と一括して一つの事業場として取り扱うとされています。
 
また、同一の場所にあっても、著しく労働の態様を異にする部門がある場合には、その部門を主たる部門と切り離して別個の事業場としてとらえることにより労働安全衛生法がより適切に運用できる場合には、その部門は別個の事業場としてとらえることとしています。
 
この例としては、工場の診療所などがあげられます。なお、事業場の業種の区分については、「その業態によって個別に決するもの」とされており、事業場ごとに業種を判断することになります。例えば、製鉄所は「製造業」とされますが、その経営や人事の管理をもっぱらおこなっている本社は「その他の事業」ということになります。
 
就業規則も36協定も1つの事業場として届出しているということで別の場所にある現業部門と同じ業種になるという考え方は納得できず、是正内容を修正できないか今後監督署に働きかけることにしました。
 
この労基法・安衛法の事業の考え方と、徴収法の労働保険料の一括(継続事業の一括)とは異なる考え方です。労働保険料の一括をしていたからと言っても労基法上や安衛法上の一括がされているわけではありません。労働保険料の一括納付の申請をしているからと言ってもそれはあくまでお金(労働保険料)の払い方の問題のみであり、就業規則や36協定は上記通達の事業の考え方により届出をそれぞれの事業所において行わなければならないことになります。
 
先週末金曜日から日曜日までの3日間ベトナムのハノイに東京会の研修旅行で行ってきました。ベトナムはかなり昔に「サイゴンから来た妻と娘」を読んでからずっと憧れていたのでとても嬉しく、楽しんで参りました。ところが日曜日の日本に着く際に羽田上空で春の嵐に見舞われ2度着陸を試みるもどうしても降りることができず成田に降りる羽目に。その2度の着陸の試みの際の機内の揺れは尋常ではなく私の周りでも気分が悪くなる人も続出し、生きた心地がしないとはこういうことを言うのねという感じでした。ちなみに生まれてこの方「乗り物酔い」を経験したことが1回しかない私は気分の方は全く大丈夫でした。
 
結局成田では給油のみをして再度飛び立ち羽田に今度は特に大きな揺れもなく着陸したのが11時半過ぎで、荷物を取り出し税関を通って外に出たら既に電車もモノレールは終わっておりタクシーを30分待って家に帰りました。タクシーはその後さらに並んだ人が多かったらしく3時まで羽田で飲んでタクシー乗り場に行った人はまだ200人待ちだったとか。
 
そこでこれまで法人化してから盆暮れなど予定通りの休み以外ほとんど休んだことがなかったこのブログを日曜日に更新できず今日の更新になりましたことお詫びいたします。まあ生きて帰れましたので良かったです。
 
 

平成26年度年度更新ポイント

2014-06-23 01:04:57 | 労働保険

いよいよ年度更新と算定が佳境に入ってきました。今や社労士は一番忙しい時期といって良いと思います。支部の研修もこの時期はまだ開業して日が浅い会員を中心にした年度更新と算定の実務的な研修が中心です。

とはいえそれぞれ毎年細かな部分で変更があり油断できないなといつも思います。今年の年度更新のポイントは、一般拠出金の変更と消費税の変更だと思います。ベテランであっても必ず研修等で確認した方が良いと思います。

1)一般拠出金について

まず一般拠出金は、平成26年4月1日より一般拠出金率が次のとおり引き下げられることとなりました(環境省告示第111号)

一般拠出金率  0.05/1,000(平成26年3月31日まで)→改正後一般拠出金率  0.02/1,000(平成26年4月 1日施行) 

しかしこれが一筋縄ではいかず、申告事由(年度更新、事業廃止など)が生じた時点により、適用する率が定まるため、平成26年度の年度更新時における一般拠出金の算定の取扱いは、以下の通りとなるのです。

1 事業継続の場合・・・申告事由が年度更新(平成26年度)であるため、平成25年度の賃金総額に新拠出金率(0.02/1,000)を乗じた額で算定します。 

2 平成25年度中に事業を廃止した場合・・・申告事由が廃止(平成25年度)であるため、平成25年度の賃金総額に旧拠出金率(0.05/1,000)を乗じた額で算定します。

3 平成25年度中に事務組合委託(又は委託解除)となった場合等については、事務処理上、申告事由前の旧労働保険番号は一旦廃止の扱いとなりますので、平成25年度の廃止申告に係る一般拠出金は、平成25年度の算定期間における賃金総額に旧拠出金率(0.05/1,000)を乗じた額で算定します。

 ①  個別事業場が平成25年度中に事務組合に事務処理を委託した場合

 ② 事務組合委託事業場が平成25年度中に委託替えをした場合

 ③事務組合委託事業場が委託解除し、個別成立した場合 

なお、委託替え等以降事業が継続している場合については、委託替え等以降の部分は平成25年度の賃金総額に新拠出金率(0.02/1000)を乗じた額で算定します。また、単独有期事業に係る一般拠出金率は平成25年度中に終了した事業は0.05/1000、平成26年度以降に終了した事業は0.02/1000となります。

2)消費税について

消費税が関係するのは請負による建設の事業のいわゆる特例による賃金総額の算出方式です(賃金総額=請負金額×労務費率)。この請負金額は消費税を含む金額なのですが、労務費率はまだ消費税が5%に対応した数字であるため、5%に割り戻して計算する必要があるということになります。 

しかし、請負金額に108分の105を乗じる暫定措置を講じることになっているのは施行日である平成26年4月1日以降に終了する事業とされていますので、基本的には確定保険料の計算には影響はありません

概算保険料については100分の50以上又は100分の200以下である場合は直前の保険年度に使用した賃金総額により計算することになっています。従って大幅な変更がない限りは確定保険料の算出で使用した賃金総額を使えばよいということになり、今年度は影響はないということになります。

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000044597.pdf#search='%E6%B6%88%E8%B2%BB%E7%A8%8E%EF%BC%98%25%E3%80%81%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E6%9B%B4%E6%96%B0'

忙しい中でも、日々の暮らしは丁寧に行きたいと思っています。例えば洋服の季節の入れ替えは順々にきちんとしておき、季節が廻ったときに新たな気持ちで気に入っている洋服に袖を通したいと思います。仕事が忙しくてそういう身の回りのことが雑になると、結局仕事もうまく回らない状態になってパンク寸前ということがこれまでもありました。ですから毎日の生活はやはり大切にしていかなければならないといつも思っています。


労災保険 業種を変更する場合

2014-02-02 21:19:26 | 労働保険

最近の世の中の動きは本当に速いと思います。社労士業務だってこの10年間の間にずいぶんと拡大してきており、当初業務の中心は手続きと考えていたものが相談業務が中心となり、さらに大きな企業の手続きになったり、またセミナー中心の仕事になったり、給与計算の依頼がどんどん来たりと、それぞれの社労士の中心業務は変化していくのが通常だと思います。年金中心に仕事をして行こうと考えていたが成年後見人の分野に進出して行こうと考え始めている社労士もいるかもしれません。

企業においても、ここまで世の中のスピードが速いとなると主たる事業が変化していくのは当然と言えます。そもそも歴史のある企業であれば労災保険の成立は30年前、40年前という場合もあると思います。その頃のその企業の主たる事業と今の事業では当然変わってきていることはあると思います。しかし年度更新時に見直しをするなどの決まりはありませんので、会社が自主的に点検していく必要があります。

今回事業再編を機に事業の種類変更をしたい、昔は確かにこの事業であったが現在はほとんど行っていない事業になっている。事業再編前までは各事業所で事務作業を行っていたがこれを機に事務作業を本社で取りまとめて行いたいと考えている、どのようにすれば良いでしょうかということでのお話がありました。労働保険の継続事業の一括を行うための要件として、「労災保険率表に掲げる事業の種類を同じくすること」というものがあります。きちんと実態に合わせている事業所ですでに事業の種類を変更の手続をしているところもあったりすると「事業の種類が同じではない」事業ができており、一括申請ができない、という状況になっていたりします。

事業の種類の変更は「労働保険名称所在地変更届」によって行います。変更前と変更後の欄に事業の種類を記入して届出ることになります。東京労働局に問い合わせたところ、証明書類は、現在主たる事業が何かわかるものということで、登記簿謄本だと明確には分からないため会社概要の記載されたリーフレットなどが良いが特にこれと決められているわけではないとのこと。メリット制も引き継げるようです(実際手続を行う際は管轄の労働基準監督署に問い合わせてください)。証明書類については、以前は売上などを見ていたように思ったのですが要件が緩やかになったような気がします。

http://hyogo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/hourei_seido_tetsuzuki/hourei_youshikishu/roudouhoken/form_sample/b13.html

事業の変更を行うタイミングですが、確定保険料から新たな事業の保険料率での精算を行うことになるとのこと。概算保険料の計算から変更後の料率を使うことはできないそうです。例えば平成26年7月の年度更新時に事業の変更をしたい場合には、(もちろん実態に合わせてということになりますが)平成25年4月にさかのぼり名称所在地変更届を作成・届出し、それにより事業の種類の変更をしておくことで平成25年度の確定精算及び平成26年度概算保険料の計算が変更後の保険料率で可能になるということです。概ね3カ月くらい時間を要するとのことですが、今なら今年度の年度更新には間に合うとのことでした。

今週末は、2月5日のOURSセミナーの準備をしておりました。今回はすでに70人のお申し込みがあり定員に達しましたので締め切らせて頂きました。本当にありがとうございます。良い内容にしなければいけません。頑張ります。


労働契約の終了 希望退職

2013-11-04 20:19:47 | 労働保険
今週末、11月8日(金)に行われるOURSセミナーのテーマは「労働契約の終了」です。
労務管理セミナーということで「採用から労働契約の終了」まで、法改正セミナーをはさみ約3年間7回にわたり開催してきました。
 
今回は退職や解雇、雇い止め・定年とトラブルになりやすいテーマを取り扱うほか、4月の労働契約法改正で加わった無期転換や雇止め法理における雇止めなどの具体的な規定の方法なども取り上げる予定です。労働契約法改正は、まだ実務でそれほど多くのケースを取り扱っているわけではないのですが、少しずつ契約社員就業規則を見直したり、社内セミナーで講師をさせて頂いたので、イメージが少しずつできてきた感じがします。
 
今回のセミナーの中では、例えば早期退職優遇制度と希望退職の違いなども整理します。人件費を削減するために高い給与が支給されている50歳以上の社員に退職金の上積みなどの優遇措置を提示して退職者を募るある程度余裕がある中での早期退職優遇制度に対して、希望退職は経営状態が厳しく人員削減を目的としたものという位置づけになります。この希望退職の離職した場合に受ける基本手当の資格は、特定受給資格者になります。
 
特定受給資格者の範囲では以下のように整理されています。
(10) 事業主から直接若しくは間接に退職するよう勧奨を受けたことにより離職した者(従来から恒常的に設けられている 「早期退職優遇制度」等に応募して離職した場合は、 これに該当しない。)
 
具体的には、
①企業整備における人員整理等に伴う退職勧奨。なお退職勧奨が事業主(又は人事担当者)より行われ離職した場合が該当

②希望退職募集(希望退職募集の名称を問わず、人員整理を目的とし、措置が導入された時期が離職者の離職前1年以内であり、かつ、当該希望退職の募集期間が3か月以内であるものに限る)への応募に伴い離職した場合が該当

人員整理を目的として、募集期間が限定されていることがポイントになります。

そんな感じで、退職関連の色々な考え方を整理してセミナー準備をしてみようと思います。

11月2日・3日は渋谷くみん祭でした。今年も社会保険労務士会渋谷支部ではブースを出して、労働相談・年金相談・骨密度測定を行いました。昨年に10年ぶりにブースを出してだいたい要領分かっていたつもりだったのですが、今年も骨密度測定は大盛況だったため、並んでいただく方法とか測定時間帯の決め方など色々と上手く行かない点もありました。長い待ち時間でも私が「すみません~。不慣れなもんですから」などとお声をかけると、「一度測定してみたかったので待ってるわ」などお年寄りの方が皆さんとても優しく(可愛らしく)、こちらが楽しい気持ちにさせられました。

2日間ほとんど立ちづめだったので疲れてしまうかも、と思っていましたが今日はOURSセミナーの準備もある程度終わらせることができたので、また明日から気持ちを新たに頑張れそうです。 


顧問の労災保険と雇用保険について

2013-07-07 23:49:52 | 労働保険

社長や役員が退任後会社に残るケースというのは少なくありません。その場合は顧問という名称で、給与が支払われているということになることが多いと思いますが、その場合の顧問について労働保険や社会保険の加入についてはどのように扱うべきかという点が問題になってきます。

これまで顧問先企業でも様々なケースに出くわしてきましたが、今回少し整理しておく方が良いかなと思い調べてみました。

社会保険についてはほぼ問題はなく、というのも厚生年金・健康保険ともに、社長や役員であろうが顧問であろうが労働者と同様、通常の労働者の概ね4分の3以上の所定労働時間であれば被保険者になる(逆に4分の3未満であれば被保険者にはならない)ということになります。

それに対して労働保険については、所定労働時間がたとえ週1時間であっても適用になる労災保険と週20時間以上で被保険者になる雇用保険はともに労働者が適用対象になります。そこで問題になってくるのは労働時間と労働者であるかどうかと2点です。労働時間で考えると、週所定労働時間が20時間以上である場合労災・雇用に加入し、20時間未満であれば労災だけに加入するということになりますが、果たしてその前提となる「労働者」であるのかどうかという点が問題になります。

特に通達でもそのあたりにふれているものはないようでしたので、監督署に問い合わせてみたのですが、顧問が労働者ではないということになるのは「自分で自由に出社時刻を決めている場合」というところが判断基準になるという回答でした(通達等が出ていないのでそういうルールで運用しているということになるのだと思いますが)。やはり社長や役員経験者が自由に出社時刻を決められるという状態で出社しても労働者には該当しないであろうということで、労災・雇用両保険ともに適用せずということになるそうです。

逆に言うと顧問といっても毎日きちんと始業終業時刻が決められている場合は労働者に該当し、社長や役員になったことにより適用されないものとされていた労災・雇用について再取得等することになるわけです。社長や役員経験者がそのような形で労働者に戻るということは実際はあまりないと思いますが。

「自由に出社時刻を決めている」ということになると「フルフレックスタイム」も同じことなのですが、そこは顧問ということで労働保険未加入を認められるのはそれまでの経歴なども見ていかにもと説明できる必要があるということになるでしょうか。

いずれにしても現段階でははっきりした判断基準等はないと言えそうですが、調査等できちんと説明ができるように常識の範囲内で運用していくということになると考えます。

暑くなりましたね。夏は洗濯物はすぐ乾くし、寝具なども簡便で何かと効率的なので大好きです。結構こんがり焼けてしまう方なのですが、日焼けすると風邪をひかないということを聞いたことがあり日焼けについてはあまり気にしていません。夏の到来にちょっとワクワクしているこの頃です。


高年齢者雇用安定法改正による離職証明書の変更について

2013-04-07 02:49:20 | 労働保険

 高年齢者雇用安定法の改正により、4月1日から離職証明書の定年による離職部分の離職理由欄の変更が行われました。

これまで定年による離職と継続雇用の基準に満たず離職した場合等契約期間満了の離職理由は「定年、労働契約満了等」とひとまとめでした。今回、高年法の改正が行われたことにより、「定年」と「契約期間満了等」に考え方を分けて、定年によるものの離職理由を詳しくして選択することになりました。

定年の場合に、以下のケースは「事業主の都合による離職以外の離職」になるということです。基準や解雇事由等に該当したために定年で離職した場合は、事業主都合にはならないということだと思います。

①定年後の継続雇用を希望していなかった

②希望していたが就業規則の解雇事由等に該当し離職した

③継続雇用の基準に該当しなかったため離職した

また、継続雇用制度の更新時の契約期間の満了による場合には、従来から離職証明書の理由欄にあった契約更新の確約・合意あり、更新等しない旨の明示あり、直前の更新時に雇止め通知あり等を選択することになっています。こちらも基準や解雇事由等に該当したために更新されなかった場合は、事業主都合にはならないということになっているようです。以下東京労働局のHPにあります。

http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/var/rev0/0084/1107/2013311111955.pdf#search='%E9%9B%A2%E8%81%B7%E8%A8%BC%E6%98%8E%E6%9B%B8%E3%80%81%E6%94%B9%E6%AD%A3'

今後65歳までの継続雇用期間中の契約期間満了による離職でも、事業主の都合による「解雇」なのか、事業主の都合による離職以外の理由の「契約期間満了」なのかということを正確にしていく必要が出てきており、明確に離職理由の区分をして管理をして行こうという意図があるのだと思います。そのためには、再雇用規程などにきちんと解雇・退職事由を継続雇用しない理由として定めておき、契約期間満了の理由として明確にしておくことが肝要かと考えます。

今日は大学のさくら祭というOBの集まりがあり、体育会テニス部の総会も行われる予定でした。講師を卒業してから日曜日に行われるさくら祭に出れるようになり、毎年結構同期以外の先輩や後輩に合えるのを楽しみにしていたのですが、今年は嵐のため中止となりました。それでも嵐もすっかりおさまり、夕方吉祥寺に出かけて同期の女子会だけはできました。卒業後木曽に旅行しタラの芽の天ぷらが美味しかったという話など、たわいのない話をしてリラックスできました。いつも仕事中心で、仕事の人間関係の中でほとんどの時間を過ごしていますが、こういう時間も大切にしなければいけないですね。


中小事業主の労災保険特別加入 承認日

2012-06-02 22:42:03 | 労働保険

労災保険は、本来労働者のための保険です(労働者の業務上および通勤災害に対する補償です)。

しかし、中小事業主等(代表取締役やその他の役員)で、作業の実態や業務災害等の発生状況などからみて労働基準法の適用労働者に準じて保護するにふさわしい者に対して、特別加入を認めています。

作業の実態や業務災害等の発生状況が労働者に準じて保護するにふさわしいことが必要ですが具体的には通達で定められています。

特別加入申請書の「業務の内容欄」に所定労働時間を記載して、その範囲内または労働者の時間外労働に応じて就業していることが必要なのですが、事業主の立場において本来行われる業務を行っている場合は認められないことになっています。また、通勤災害については、一般労働者の場合と同様に取り扱われます

私は、事業主としての仕事をしている時に遭遇した災害についての補償がないとしても、中小事業主の特別加入はしておく方がよいと思います。何といっても通勤災害については労働者として同様の補償があるわけですし、やはり中小事業主の場合は事業主も労働者と同じようにその事業の仕事をしていることが多いと思いますので、業務上として認定されないケースの方が少ないと思うのです…自分のことを考えると仕事中であればほぼ100%業務上と認められると思います。ちなみに特別加入はOURSが法人化した3年以上前に申請しました。

ところで特別加入の場合、都道府県労働局長の承認が必要なのですが、この承認は「申請日の翌日から起算して14日範囲内の特別加入申請者が加入を希望する日」となっています。

労働保険事務組合にその会社の労働保険の事務処理を委託(社労士を通じても可能です)していることが中小事業主の特別加入の条件になっていますが、この事務処理委託の申請を4月1日にしたとして、その日に一緒に事務組合に特別加入の申請をすると、最短でも翌日4月2日の承認になるため1日の空白ができてしまうことになります。

せっかく特別加入するのだからその1日に事故にあわないようにしてくださいね…と言って事業主さんと笑い話にしたことがありましたが、事前に事務組合に持ち込んでおけば空白はできないようにしてくれるそうです

受講生OBがスカイツリーのチケットをプレゼントしてくれましたので行って参りました。夕方早目に仕事を切り上げて5時ころ着いたのですが夜9時ころまでいろいろなスカイツリーを見ることができて堪能しました。

少し曇ったりしていたので、渋谷や品川は目の良い私にもちょっと厳しかったですが、両国や浅草や友達の住んでいる佃島までよく見えました。 事務所のみんながうらやましそうだったのでお土産にサブレーとソラマチでワンピースとジャケットまで購入してしまいました。


出向者の年度更新について

2012-04-29 21:51:02 | 労働保険

以前は5月の連休前に年度更新(労働保険の概算保険料と確定保険料の申告納付)を終わらせようと必死でやっていましたが、平成21年度の改正後は社会保険の算定と同じ7月10日が期限となり、事務所では東京SR(事務組合)委託企業分のみ以前と同じような時期に行っています。

そんな中で在籍出向者の労働保険料の支払い方でこれまでにはなかった質問を受けて新しい発見がありました。

在籍出向者の場合は、出向先で働き、出向元から給与が支払われるという形態が一般的だと思います。その場合、一般的には労災保険は出向先で、雇用保険は出向元で保険料を支払うことになります。

その場合の雇用保険における根拠は、主たる賃金を受ける一の雇用関係(行政手引20351)である出向元で被保険者となっているため出向元で労働保険料の基礎となる賃金総額に含めます。労災保険については出向先で負担するという根拠は「出向労働者に対する労働者災害補償保険法の適用についてS35.11.2基発932号」の以下の通達にあります。

出向労働者が、出向先事業の組織に組み入れられ、出向先事業場の他の労働者と同様の立場(ただし、身分関係及び賃金関係を除く。)で、出向先事業主の指揮監督を受けて労働に従事している場合には、たとえ、当該出向労働者が、出向元事業主と出向先事業主とが行なつた契約等により、出向元事業主から賃金名目の金銭給付を受けている場合であつても、出向先事業主が、当該金銭給付を出向先事業の支払う賃金として労災保険法第二五条〔現行徴収法第一一条第二項。以下同じ〕に規定する事業の賃金総額に含め、保険料を納付する旨を申し出た場合には当該金銭給付を出向先事業から受ける賃金とみなし、当該出向労働者を出向先事業に係る保険関係によるものとして取り扱うこと。

つまり出向元から受ける賃金を出向先から受ける賃金とみなして出向先の算定基礎である賃金総額に含めて計算するということです。労働保険料の計算をする際出向先は出向元から出向できている労働者の賃金額の数字をもらうことになります。

それでは出向先と出向元両方から賃金を受けている場合は?…この場合出向先賃金に出向元からの賃金を含めて賃金総額とするということになります。要するに出向元A社で30万円、出向先B社で10万円の賃金を受けている場合は出向先のB社で40万円を算定基礎に算入することになります。これは上記通達アンダーライン部分から読み取れます。

企業からのご質問はさらに応用編です。2つ以上の企業に出向している場合で出向元だけでなくそれぞれ出向先から賃金が出ている場合①それぞれの出向先から支払われる賃金額をそれぞれの出向先の算定基礎に入れておけばよいのか、②それともその人が他の出向先で受けている賃金をすべて合計した額をそれぞれの算定基礎に含めるのか、というご質問です。要するに出向元A社で30万円、出向先B社で10万円、C社で10万円の賃金を受けている場合です。これは労働局に確認しました。答えは②でした。そのようなケースは初めてだが上記通達からすれば合計額をそれぞれの出向先の賃金総額に含めて欲しいとのこと。要するに出向先のB社で50万円、C社で50万円を算定基礎に算入するということになります。確かにその人の稼ぎを補償するという労災の目的からすれば、他の出向先で働いている分も合算しておかなければ補償額が少なくなってしまうことになりますので、そうしておく必要がありますよね。

働き方が多様化すると手続は非常に複雑になりますね。ここが社労士の腕の見せ所と思います。役所に聞く前に必ず法趣旨に立ち返り仮説を立ててみると業務が格段に面白くなります。

連休に入りいきなり暖かくなりましたね。週末に支部の総会が終わりホッとしました。連休前半は予定していた衣替えを実施して、連休明けのOURSセミナーの準備をするつもりです。後半は小淵沢に行きこれから色々な客人を迎えられるように準備してからまた母を連れて山を見に行く予定です。ということで来週はブログをお休みさせて頂きます。良い写真が取れればその次の週にアップしたいと思います。


特定理由離職者とは

2012-01-08 16:59:00 | 労働保険

「特定理由離職者」の制度は、平成20年の改正で雇用保険法に規定されました。今後この扱いについて話題になるかもしれませんので復習もかねて取り上げてみたいと思います。

この特定理由離職者とは以下の2つの受給資格者を言います。

1.期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、契約更新がないことにより離職した者 

 …更新を希望したにもかかわらず、更新されなかった場合に限る←ここがポイントです。更新を希望していない、またあらかじめ更新はないと言われていた場合は該当しないのです。また、3年以上被保険者であった期間雇用者など特定受給資格者に該当する場合は除かれます。

2.正当な理由のある自己都合により離職した者

  …病気・妊娠・出産・育児・家族の看護・配偶者の転勤で別居生活が困難等正当な理由の自己都合で離職した場合

この特定理由離職者は、当時派遣切りなどで話題になった非正規労働者を救済するために作られた制度であり、雇用保険法に恒久的に定められました。

特定理由離職者は、以下の「①受給資格要件の緩和」と「②所定労働日数の拡充」が特徴です。※1と2どちらの理由で特定理由離職者になっても3か月の給付制限期間はありません。

①受給資格要件の離職日以前2年間に被保険者期間が通算して12カ月以上必要とされるところ、離職日以前1年間に被保険者期間が通算して6か月以上あれば満たされる。

②特定理由離職者のうち1の「期間の定めのある労働契約が更新されなったことにより離職した者」については、平成24年3月末まで特定受給資格者とみなされる。…特定受給資格者とみなされるということは、給付日数が一般の受給資格者の場合より手厚くなります。

一般の受給資格者が年齢と被保険者であった期間に応じて90日~150日に対して、特定受給資格者(倒産解雇等により離職を余儀なくされたもの)は90日~330日です。…例えば30歳以上45歳未満の場合算定基礎期間(被保険者であった期間)が5年未満であれば90日と一般の受給資格者と同じなのですが、算定基礎期間5年以上10年未満の場合は一般の受給資格者が90日・特定受給資格者(特定受給資格者とみなされた特定理由離職者も含む)180日と給付日数がかなり異なってくるのです。

②の扱いは平成24年3月末までとされていますが、労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会で検討されており、その報告では「平成26年3月31日まで延長すべきである。」とされていますので延長される可能性大です。

参照はhttp://www2.odn.ne.jp/ourszkn/index.html(平成24年1月9日分です)

(またこの中で平成25年3月末までの措置とされている高年齢雇用継続給付も検討課題にあがっていますが、こちらはどうなるかはもう少し時間がかかりそうです)。

お正月はあっという間に過ぎていき4日から事務所で一人準備したにもかかわらず、 5日、6日は怒涛のように忙しく過ぎていきました。しかし6日の事務所の新年会はホッコリした年初めの良い会となり、なかなか好調なスタートを切れたように思います。 来週からいよいよ本格的に仕事がスタートしますね。まずは体調を整えて張り切っていきましょう。


平成24年度労災保険率について

2011-12-18 14:35:41 | 労働保険

平成24年度から適用する労災保険率改定案が、以下のように厚生労働省から示されています。

[労災保険率の改正案]
○ 労災保険率を、平成24 年4月1日から平均で5.4/1,000 から4.8/1,000 へ0.6/1,000 引下げ
○ 引下げ:35 業種 据置き:12 業種 引上げ:8業種
○ 最低(金融業・保険業など)2.5/1,000~最高

その他メリット制適用対象の拡大案が労働政策審議会で「妥当」と答申されたのを受けてのものです。

OURSの顧問先企業等に影響のある保険料率の改定は概ね以下のとおり変更になります。

交通運輸事業                 5/1,000→4.5/1,000

倉庫業・警備業等              7 /1,000→6.5/1,000

ビルメンテナンス業             6/1,000→5.5/1,000

通信業、放送業、新聞業又は出版業  3/1,000→2.5/1,000

卸売業・小売業、飲食店または宿泊業 4/1,000→3.5/1,000

金融業、保険業又は不動産業        3/1,000→2.5/1,000

その他の各種事業は、3/1,000のまま変更なしです。

特に最低の2.5/1,000はちょっと驚きです。会社経営にとって人数が多ければ労災保険率の改定は結構大きな影響があります。 東日本大震災の影響で増えると考えていた場合意外な感があるかと思いますが、今回の労災保険率には大震災の影響は反映されていません。労災保険率は過去3年間の業務災害・通勤災害に係る災害率等を考慮して厚生労働大臣が定めることになっていますが、東日本大震災の影響については次回の改定である27年度の改定率に反映させるそうです。       

個人的には、警備業・ビルメンテナンス業の業界のセミナーで、「事故を減らさないと労災保険率は上がってしまうのだ」というお話を今年1月にさせて頂いたのですが、来年度は少し下がるようですのでよかったと思っています。

次の平成27年度の改定時には、東日本大震災の負担分をしっかり受け止められるようにそれぞれの企業は頑張っていかなければなりませんね。以下参考のHPからの抜粋です。

 労災保険料を算出するための労災保険率は、厚生労働大臣が55の業種ごとに定め、過去3年間の災害発生率などを基に、原則3年ごとに改定しています。厚生労働大臣は今月5日、労災保険率を現行より平均で0.6/1,000引き下げることなどを内容とする「労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」を労働政策審議会に諮問していました。  「労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」(PDF:321KB)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001y630-att/2r9852000001y676.pdf

昨日支部で行う小学校の年金授業が終わり事業日程も今年分は終了しました。小学校5年生に年金の話は難しいかなと心配していましたが、小さな背中がしっかりと授業を聞き入っている姿を見てやってよかったと思いました。事前に担当の支部会員と模擬授業をして「こんな質問が出るかな」と想定したのですが、それよりはるかに高度な質問も出たりして、小さな頃から年金というものに少しでも触れることはやはり大切だなと実感しました。

 また今日は講師時代の八重洲と、FAST1年目のクラスの忘年会でした。久しぶりに会ったのにあの頃と皆全然変わっていなかったですし、最近山に少し登り始めたという話を私がしましたら、山登りはまかしとけ、というメンバーもいました。まずはみんなで高尾山にでも登れれば楽しいですね。私もついていけるよう鍛えておかねば。


住宅手当についての考察

2011-07-10 22:07:14 | 労働保険

 住宅手当というのはなかなか奥の深い手当だと思います。ちょうど春から顧問先企業の賃金制度の見直しをしている中で先日の打ち合わせで取り上げられたのですが、住宅手当というのはなかなかいろいろな意味で面白い手当です。

そもそも一定の住宅手当は、労働基準法で割増賃金の算定基礎に含めなくてもよいものと規定されています。「一定の」と書いたのは、住宅手当と名がつけばすべて割増賃金の算定基礎から除外できるかというとそういうことはないからです。割増賃金の算定基礎から除外される住宅手当とは、「住宅に要する費用に応じて算定される手当をいう」とされており、具体的にいうと住宅に要する費用に定率を乗じる額としたり、住宅に要する費用を段階的に区分して費用が増えるに従い額を多くして支給するもの、とされています(平成11.3.31基発170号)。算定基礎から除外できない例としては、全員一律に定額で支給することとされているものや、住宅以外の要素に応じて支給されるもの(たとえば扶養家族がいれば2万円、いなければ1万円など)、住宅の形態ごとに一律に定額(賃貸であれば2万円、持ち家であれば1万円)で支給することとされているものとされています(同上)。

しかし色々な企業から賃金規程の改定の仕事や、就業規則のチェックの仕事をいただいて見ると、割増賃金から除外できないとされている「賃貸なら2万円・持家なら1万円」という定め方はとても多く、むしろ借りている家賃に応じて定率を支給するという住宅手当はほとんど見たことがないという気がします。

それなら違法かというと、そうとも言えないのです。というのも住宅手当は、平成11年10月1日から割増賃金の算定基礎に算入しなくてよい賃金として追加されたものなのです(労働基準法施行規則第21条)。 そこでそもそも割増賃金の算定基礎に含めていたものを今さら除外はできないということで今も算定基礎に含めているケースもママあります。また、それまでは、割増賃金の算定基礎に含めなければならない賃金とされていたので、支給基準の定め方も算定基礎から除外することを意識したものではなかったわけです。従って、通達から見ると除外できないケースの基準のものも結構あったわけで、除外できなかったということもあります。にもかかわらず除外しているとするとこれは修正していかねばなりません。

 ということで算定基礎から除外しているケースといないケースが混在している住宅手当の支給額の決定要素としては、2011.2に労務行政さんの労政時報に調査報告がありますが、①世帯構成(世帯主・扶養家族の有無など)65.8%、②住宅形態(借家・自家・親元など)25.4%、③地域・都市46.5%、④役職・資格13.5%、⑤その他(家賃の金額・年齢など)9.6%、⑥一律同額13.2%と圧倒的に「世帯構成による」です。確かに世帯構成により人数が多くなれば広い家が必要=家賃がかかる、ということで理屈は通りそうですが、やはりこの場合は割増賃金の算定基礎から除くわけにはいきません(…やはり家賃の金額によるは少ないです)。

さらに、夫が世帯主であったのに、夫の会社には住宅手当等がなく、妻の勤める会社は世帯主であると住宅手当が出るということで妻を世帯主に変更したり(これはまあ仕方ないとしても)、親元に住んでいるのに親から子に世帯主を変更したりと、怪しい行動といっていい状態も起こります。そういうことを考えるとやはり住宅手当はそろそろ廃止でもよいのかなあという気がしてきます。

先日メンタルヘルスのセミナーで、「うつ」は女性の方が倍くらい多いのに、「うつによる自殺者」は男性の方が多いということを聞きました。医者である講師の先生によると、女性は「しゃべる」ことにより発散できるが男性は「男は黙ってサッポロビール(…この先生同世代か?)」となかなか自分の気持ちを話すことができないからだそうです。ということは女性の場合聞いてあげることでかなり解決する部分があるということ。私にとっては、話を聞いていながら手を打たないというのは結構難しい~と思います。しかし確かにそうだなあという気もします。「聞き流しの技術」磨いてみたいと思います。


東日本大震災 労災死亡給付適用の特例

2011-05-29 23:15:16 | 労働保険

 東日本大震災は、平成23年3月11日14時46分に起こりました。たいがいの人はその時仕事をしていた時刻ではないかと思います。先日ある会合での労基署の署長のお話では「今回の震災については死亡した方もまた行方不明の方もたくさんおられますが、その中の相当数の方が仕事中であったと考えられ、今後労災申請が今まで経験がないくらい増えるのではないかと思います」とのことでした。

労災法の死亡給付の適用についてはあくまで法的に「死亡」が確認できなければ支給されないのですが、「東日本大震災特別財政援助法」が成立し、その関連通達で労災保険法等の死亡給付適用がスピーディーになされるための特例が示されました。確かに今回のように行方不明になった場合、死亡が確定していなくても一定のルールの元に死亡に関する給付である遺族補償年金などができるだけ早く受けられることが必要です。

労災法にはそもそも、死亡の推定(労災法10条、法附58条4項)」の規定があります。船舶や航空機の事故の時に行方不明になった労働者の生死が3か月わからない、また死亡は3か月以内に明らかになったが死亡の時期が分からないといった場合には、その船舶等の沈没等の日に死亡したものと推定されることになっています。ただこれはあくまで「船舶や航空機の事故」の際のみに適用される規定です。

それなら今回のような震災の場合はどうなるのかといえば、特別法としての労災に規定がないため一般法の民法30条2項を適用することになります。民法30条2項の特別失踪は「失踪期間は危難が去ってから1年間」と定められています(下記参考を見ていただくと分かるように普通失踪は7年間を要します)。特別失踪(危難失踪)である行方不明の場合は1年後に失踪宣告が行われるまで法的に死亡が確定しない状態となるわけです。それでは残された家族にとって遺族給付を受けるのに時間がかかりすぎるということで、今回特例が設けられました。

東日本大震災の発生日から3か月間生死がわからない場合、または死亡が3か月以内に明らかになったが死亡の時期が特定できない場合についての労災保険法等の死亡にかかる給付の適用については、地震発生日に死亡したものと推定することになりました。3月11日から3か月経過の6月11日以降に3月11日をさかのぼり死亡日として推定し、労災申請をすることができるということになります。

とうとう小淵沢の家を購入しました。何人くらい泊まれるか工夫して、みんなが集まれる場所にしようと思っています。小さい家ですができるだけ大勢が泊まれるように、少し手を入れて8月には使えるようになりそうです。


(参考)

1 失踪期間は民法30条に定められており、1項が普通失踪、2項が特別失踪(危難失踪)の規定である。

  • 普通失踪 - 失踪期間は不在者の生死が明らかでなくなってから7年間(30条1項)
  • 特別失踪 - 失踪期間は危難が去ってから1年間(30条2項)。

2 失踪宣告を受けた者は以下の時期に死亡したものとみなされる。

  • 普通失踪 - 失踪期間7年が満了した時(31条前段)
  • 特別失踪 - 危難が去った時(31条後段)

 


労災保険 求償について

2011-04-24 22:40:15 | 労働保険

先日顧問先の工場で、下請け企業の社員が顧問先の社員にけがを負わせる事故がありました。それほど大きな事故ではなかったのですが、労災申請についていくつか質問があり、その中にこの事故で労災保険を申請した場合メリット制に影響するか否かという質問がありました。

この事故は下請け企業の社員が第三者となるため、第三者行為災害ということになります。第三者行為災害について労災給付が行われた場合は、給付の主体である国が加害者である第三者に対して要した費用を請求できるという求償権の行使が認められています。この求償が行われた場合は、国の給付に要した費用は補てんされることになり、労災申請をした元請企業のメリット制による労災保険率の上昇はないということになるわけです。

ただしこの求償権の行使はなかなか難しいもので、通達で以下のように取り扱いが定められています。

1)同一事業に雇用される同僚労働者相互の加害行為による災害、2)同一事業の事業主を異にする労働者相互の加害行為による災害(昭和44.3.30基発148号)、3)同一作業場で作業を行なう使用者を異にする労働者相互の加害行為による災害について求償権の行使が全面的に差し控えられている

4)事業主の下請人の加害行為による災害の場合については求償の一部が差し控えられる(昭和40.9.30基発643号)

5)雇用主以外との間に使用関係が生れる、派遣労働者の派遣先に対する国の求償についても、派遣企業の故意又は、重大な過失の場合に限り、保険給付の30%相当額を限度として求償権を行使する(昭和61.6.30基発383)

今回の件は、上記通達の3)に該当するので求償権は行使されないのではないかと顧問先に回答した上で労働局に問い合わせたところ、この通達は徴収法の請負事業の一括が行われる建設業を対象にしたものなので(ちょっと目からウロコでした)製造業については全面的に該当させるわけでもなくケースによりけりなのですとの回答でした。

結局、その後顧問先の担当者が管轄の監督署に行き事情を説明したところ、やはり上記通達ににより求償権の行使は行わない(=メリット制で保険料率が増加する可能性が高い)ということになりました。この求償については、その後調べたところによると日本の場合まず「第三者」の範囲が明確ではなく基準にあいまいさがあるようです。今後、様々な雇用形態の労働者が混在して働く状況はますます多くなるでしょうから、この第三者行為災害については的確な基準が定められる必要があり、研究してみたいテーマでもあります。

昨日は、今年事務指定講習を受ける合格者で勉強会をしました。私がヤフオクで手に入れたオーバーヘッドプロジェクターを使って書式を見ながら失敗談などを話したり、企業で実務をしている同期の合格者も参加して知識を披露してくれて充実した時間になりました。事務指定講習の問題文はよく見るとさりげない一文に結構意味があったりして、なかなか面白いものなのです。通信教育だけで解説がないのはちょっともったいないなといつも思います。

明後日の26日はOURSセミナーです。頑張ります。