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OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

期間の定めのある契約 3年以上

2010-09-05 22:28:52 | 労働保険
 先週は今月9日に行う労政時報セミナーの準備をしました。今回は2010年度前半の法改正の再チェックという1日がかりのセミナーなので、かなり丁寧に準備しました。労基法や育休法の改正内容とそのあと発生した実務における疑問点や留意点などを中心に取り上げますが、それだけでなく実務担当者として漏らしてはいけない細かい法律の改正も説明していく予定です。雇用保険の改正も取り上げる予定にしており、オマケとして特定受給資格者・特定理由離職者の説明をしようと準備する中で、契約期間満了として扱われるケースとそうでないケースをA4判にまとめてみました。

 事務所内ではいつも雇用保険の喪失原因について期間満了になるのかならないのかよく話題になっており、労務管理の相談中心に担当して手続きに少し疎くなっている私としては小耳にはさんではいても問題点が良く分かっていなかったと思います。今回まとめる作業の中で、そこに「雇止め」がどのような役割を果たすのかというところがポイントなのだとよくわかりました。また、「雇止め」は契約更新の期待権の有無において解雇の法理の類推適用にも影響する大切なポイントであり、雇用保険の実務と労務管理コンサルについて両方の重要事項が関連付けられるようになりました。
 今回のまとめは事務所のスタッフに色々教えてもらって、またずっと年下の特定社労士を取得する際同じグループで一緒に勉強した女性社労士にも貴重な意見をもらっての知識の結集となりました。


 基本の考え方は、「契約期間の定めのある労働契約の更新があり、雇用された時点から3年以上雇用された場合は、契約を反復更新することを常態として雇用されている場合とし、『その契約を打ち切る時期があらかじめ明らかにされていて』、その時期に離職した場合は、原則として「契約期間満了として取り扱うが、これ以外の場合は、離職証明の事情により「事業主都合」また「任意退職」に分類する。」というところにあります。

 要するに3年以上雇用された場合は、『その契約を打ち切る時期があらかじめ明らかにされていて=雇止めの意思表示がある(今回の契約を持って更新しないなど)』の場合は契約期間満了と扱われる。雇止めの意思表示がなければ、自己都合でない限り事業主都合の離職(=解雇)となるわけです。また3年未満の場合は「雇止め」は離職区分に影響がないということになります。なかなか図表がないと理解いただけないかと思いますが、大事なことですので折々この点については触れて行こうと思います。 

9月に入りましたが本当に暑いですね。今日はうちの近所は「さんま祭り」でした。毎年朝から昼過ぎまでずっとさんまに長蛇の列なのですが、私はいつも終わった頃に出かけて行き100円のスダチのつかみどりに挑戦します。しかしタイミングを逃すとスダチがなくなってしまった年もありなかなか家を出る時間帯が難しいのです。しかし、今日はあまりに暑そうだったのでゆっくり行ってみたにもかかわらずスダチがだいぶ余っており、本当は片手なのに両手ですくってよいとのこと。ラッキーでしたがやはりあまりの暑さに例年より出足が悪かったのかなとちょっと寂しい気がしました。
 写真は今年の夏八方尾根に登ったのですがその時撮った白馬山です。初めてスマートフォンで撮ったのですがなかなかPCに取り込むすべが分からず、やっと今日成功しましたので嬉しくて載せてみました。
 

労災保険率について

2010-04-19 01:11:59 | 労働保険

労災保険率の変更を申請するために、今週顧問先企業の担当者の方と監督署に行く予定にしています。

労災保険の保険料率は労災保険率適用事業細目表をもとに決められます。この労災保険率適用事業細目表を見ながら労災保険率を決定するのは、これまでの私の経験から行くと結構大雑把であったと思っています。新しく立ち上げた会社の労働保険の保険関係成立届を提出に労働基準監督署に行った時に、どのような事業が主たるものかを説明して決めていくのですが、細目表に載っていない場合も多くあり、その場合でも「その他の各種事業」であれば保険料率は同じであるためそれほど神経質に決めてこなかったという感じがありました。

ただ、平成18年の改正により労災保険率の「その他の各種事業」は4つに区分されました。①通信業、放送業、新聞業又は出版業、②卸売業・小売業、飲食店又は宿泊業③金融業、保険業又は不動産業、④その他の各種事業と区分され当時の概算確定保険料申告書で企業が自己申告又は修正できるようになっていたと思います。その際、それまで同じ率でくくられていたもののうち「卸売・小売等」だけ若干高い率になりました。現在も同じようにその他の各種事業のこの4つのうち「卸売・小売等」だけ4/1000であり、それ以外の3つは3/1000になっています。

4月1日の労働基準法の改正により、時間外労働が60時間を超えた場合に割増賃金を5割以上とすることになりました。しかしこの適用は中小企業には猶予されます。猶予される中小企業の概念は日本標準産業分類よります。事業の判断基準が同じ労働法規でありながら異なるものを使うことはおかしなことだと思うので統一して欲しいとは思うのですが、そう言っても無力なもので変わるわけもなく、ただ企業にとって業種の整合性をこの機会にとる必要があると考えてセミナーなどでも何度かお話ししてきました。

どう考えても情報産業であるのに、当初の労災保険の新規適用の際に登記簿謄本にソフトの販売とあったためだと思いますが卸売小売等に分類されており、ここまで卸売小売等の労災保険率を適用してきたというケースがあり、相談業務だけを委託されていたために、こちらもそれについて深く考えず特にアドバイスもしていませんでした。

しかし労災保険率は本来その他の各種事業としての率より高いものが適用になっていますし、労災保険率の適用と同じ卸売・小売ということであれば130人の企業ですから、中小企業に該当せず労基法の改正で5割の割増賃金の適用を猶予されないことになります。

そこ今回の変更申請になったわけです。労働基準監督署には、主たる売り上げや従業員の業務の配置等が分かるもの(必要資料は各労働基準監督署に確認してください)などを持参していくことになります。

雇用保険率も改正で上がりますし、適正な労災保険率にしておくことは企業にとって大切なことだと思います。

風邪をひいてからスポーツクラブに行くのを少しお休みしていましたが、また今週から復帰しようと思っています。マシンを少ししてプールで50メートル歩いて、50メートル泳いでサウナに少し入って(熱いのがあまり得意でないので)来るのですが、なかなか気持ちがいいです。朝など急いで駅まで走っていくときも身が軽くなった気がします。また今週もがんばりましょう。


平成22年度 雇用保険率について

2010-01-24 23:36:34 | 労働保険

平成22年度の雇用保険率について、調べようとするとなかなかヒットしないものですね。厚生労働省のホームページは何か調べようとしても難しいような気がして仕方がないのですが、私だけでしょうか?

平成22年度の雇用保険率については以下に載っています。http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000003nnz-img/2r98520000003nqm.pdf

平成22年4月1日からの雇用保険率は、15.5/1000になる予定です。

内訳としては、失業等給付に係る部分が12/1000・2事業に係る部分が3.5/1000となります。

負担割合としては、2事業分を事業主が負担するので、被保険者が6/1000・事業主が9.5/1000になります。

雇用保険の決定の仕組みは、労働保険料徴収法に規定されている弾力条項によります。法改正をせず財政状況に応じて原則の保険料率である16/1000から変更することになります。今回の改正については、失業等給付に係る保険料率は原則16/1000のところ12/1000に引き下げという表現を使っていますので非常に分かりにくいと思います。あくまで引き下げになるのは原則の保険料率からであり、昨年と比べてではありません。

昨年は失業等給付に係る部分は特例により平成21年度に限り8/1000でした。さらに2事業分も弾力条項の発動により3/1000でしたので雇用保険率は11/1000と非常に低い率でした。

今回は2事業分も弾力条項の発動が停止され原則の3.5/1000になるので、雇用保険率は15.5/1000になるというわけです。

もともと11/1000が15.5/1000になるわけですから、なんだか引き下げといわれると釈然としませんよね。引き下げというのは、原則の保険料率から引き下げられているということです。雇用保険率が平成21年度と比較して引き下げになるわけではありません。書いている間も頭が混乱しそうなのでこの辺で・・・。

 


法律の政策的効果

2009-11-02 21:05:08 | 労働保険
2008.07.25(No.10)
 だいぶご無沙汰してしまいました。冬の終わる頃から夏のこの季節までは、毎年とても忙しく、今年も例外ではなく事務所一同頑張って仕事をしていました。いよいよ社会保険労務士試験も残すところ後1か月ということになり、一般常識セミナーの準備で労働関係の各種統計を再度確認していたのですが、数字を見ていると政策的効果というのは結構現れているものです。年齢階層別完全失業率は平成19年平均で見ると55歳以上の数値が非常に良くなっています。景気の状況もあると思いますが、やはり平成18年4月施行の高年齢者雇用確保措置が効果を発揮しているように思います。この制度は、制度施行2年前くらいまでは企業では反発が非常に強くありましたが、法改正が決定し施行1年前になると各企業ともきちんと検討をはじめ、制度導入企業は従業員51人以上規模企業で91.3%(平成19年6月現在)となっています。日本企業の意識の高さの現われだと思います。継続雇用制度における賃金水準も、制度導入当初は各企業ともやや低めに設定していたと思いますが、順調に60歳以上の労働者の受け入れが行われ、このところ賃金水準も少し高めに設定する企業が多いように感じています。そのような企業努力がこの数字に表れているのかと思うと、ある種感慨のある数字でもあります。


平成19年雇用保険法改正

2009-11-02 20:59:15 | 労働保険
2007.09.17(No.04 )
雇用保険法が10月より改正されます。一番の改正点は、おおざっぱに言えばこれまで6箇月勤務して退職すれば基本手当(失業給付)を受けることができたのが、改正後は特別の事情がなければ1年以上の勤務が条件になることです。
特別の事情とは、特定受給資格者としての退職で、これまでどおり6箇月間勤務することで基本手当を受けることができる場合です。特定受給資格者とは、倒産や解雇等いうなれば非自発的に退職を余儀なくされた場合の資格でしたが、改正後はさらに正当な理由での自己都合退職者で6月以上1年未満勤務したものが加わります。
これまで、退職理由によって3箇月は受給を待たなければならない給付制限のあるかどうかの差はありましたが、受給資格が発生するしないの有利不利が生まれてしまうことはありませんでした。
以前は「一身上の都合」という退職理由が一般的でした。平成13年の改正で特定受給資格者という一般より給付が手厚い資格が登場したため、退職理由について正確に把握することに神経を使うようになりました。今回改正では、さらにトラブルを避けるためにも、会社は被保険者との間で、退職理由を詳しく正確に共有しておく必要がますます高まったといえます。