バイキングで全メニュー制覇を目指す上で、ポイントはちょっとずつ盛り。ひとつまみ、ひとすくいずつにすれば、割と適量でバランスよくプレートが仕上がる。自然食が売りのこちらではなおのことで、野菜たっぷりに肉魚、さらに豆や根菜と、量の割にアタリが穏やかでどんどん進む。鳥とビーツと大根の品がやたら多いな、と仕入れの都合もちょっと透けて見えたりして。
様々なキノコをぐつぐつ煮込んで、と聞けば、魔女が森の中で何やら仕込んでいる絵柄が浮かぶ。西洋の童話でのキノコ鍋のポジションは、日本昔ばなしのタヌキ汁あたりに近い、どこか妖しげなインパクトがある。7種のキノコが揃ったこの鍋、ハナビラダケという幻のキノコがビジュアルも見た目も魅惑的。種別ごとにかかる味覚の魔法、こんなまやかしなら大歓迎だ。
鎌倉山てくてくさんぽ、檑亭の庭園を下ったところにある「露庵」は、週末のみ営業の甘味処である。食事処で見かけ気になった「蕎麦屋のまかないチーズケーキ」は、生地にそば粉、トッピングにそばの実をまぶしてあり、ねっとりほどよい甘さとさっくりした食感が心地よい。使う皿やカップはここの窯で焼かれたもので、素朴な質感がこの山の甘味処にフィットしている。
店を出て耳にするのは、風にそよく木々の音と鳥の声のみ。週末の午後に喧騒から離れた時間を過ごしたいとき、またこの山の懐に身を置きに来ようかな。
店を出て耳にするのは、風にそよく木々の音と鳥の声のみ。週末の午後に喧騒から離れた時間を過ごしたいとき、またこの山の懐に身を置きに来ようかな。
鎌倉山てくてくさんぽ、蕎麦料亭の「檑亭」は、回遊式庭園となっている庭内に、さまざまな移築建築があるのも見どころの一つ。横浜の養蚕農家を移築した食事処ほか、玄関は青蓮寺、山門は西御門高松寺からと、寺院と一般家屋がいち料亭に混在しているのが面白い。
ほかにも登窯に茶室、石仏に磨崖仏に五百羅漢、竹林にあじさいに菖蒲園にススキの原に梅林に彼岸花などなど、和テイストの庭園要素はなんでも揃っているよう。季節を変えて訪れても、都度都度に古都らしい見どころが楽しめるのが、リピーターの多い所以だろう。
斜面を降る沿道には、この時期は水仙の群落が可憐な姿を見せる。十三重の塔の石塔、法隆寺夢殿を模した八角堂、茅の木の古代化石に石造の仁王像と、時代や意匠の統一感がないようでいて、まとまった庭に感じられるのがなんとも不思議だ。
下ったところに茶屋を発見、散歩途中にちょっと休んでいきましょうか。
ほかにも登窯に茶室、石仏に磨崖仏に五百羅漢、竹林にあじさいに菖蒲園にススキの原に梅林に彼岸花などなど、和テイストの庭園要素はなんでも揃っているよう。季節を変えて訪れても、都度都度に古都らしい見どころが楽しめるのが、リピーターの多い所以だろう。
斜面を降る沿道には、この時期は水仙の群落が可憐な姿を見せる。十三重の塔の石塔、法隆寺夢殿を模した八角堂、茅の木の古代化石に石造の仁王像と、時代や意匠の統一感がないようでいて、まとまった庭に感じられるのがなんとも不思議だ。
下ったところに茶屋を発見、散歩途中にちょっと休んでいきましょうか。
正月明け翌週の1月13日に、鎌倉山「檑亭」を訪れた。広大な敷地に歴史的建造物を多数移築した料亭で、海側に開けた斜面の庭内を散策するだけで、鎌倉の奥座敷に来た趣がある。食事処の建物は、横浜市内の養蚕農家から移築したとあり、太い梁が錯綜する高い天井が、それを彷彿とさせる。
オーダーしたのは「椿御膳」という、季節限定のミニコース。前菜はアンキモやイイダコといった海の幸で、自家製の塩辛がこれだけでとっくりが空くほどの濃厚さ。小鉢はねっとりと香り高い胡麻豆腐、煮物はあっさり炊かれたひろうずとカボチャなど炊き合わせで、いずれもひと味抑えめの品の良さが、遅い昼ごはんにありがたい。
そして檑亭といえば、そば。蕎麦会席を標榜しているだけに、更科系の白いそばは口当たりがサラリ、のどごしがみずみずしい。天ぷらは大エビ2本ほか、シイタケが肉厚で香り高く、さすがは料亭の天せいろ、といった充実である。コースにはグラスワインもついており、料理をいただきながらの一献の締めにこのそば、との流れもうれしい。
満足、ほろ酔いで店を出ると、斜面の先に広がる七里ヶ浜と、ちらりとそびえる富士山も望めた。これぞ日本の新春らしい風景を眺めつつ、せっかくなので食後は庭園を歩いてみましょう。