正月明け翌週の1月13日に、鎌倉山「檑亭」を訪れた。広大な敷地に歴史的建造物を多数移築した料亭で、海側に開けた斜面の庭内を散策するだけで、鎌倉の奥座敷に来た趣がある。食事処の建物は、横浜市内の養蚕農家から移築したとあり、太い梁が錯綜する高い天井が、それを彷彿とさせる。
オーダーしたのは「椿御膳」という、季節限定のミニコース。前菜はアンキモやイイダコといった海の幸で、自家製の塩辛がこれだけでとっくりが空くほどの濃厚さ。小鉢はねっとりと香り高い胡麻豆腐、煮物はあっさり炊かれたひろうずとカボチャなど炊き合わせで、いずれもひと味抑えめの品の良さが、遅い昼ごはんにありがたい。
そして檑亭といえば、そば。蕎麦会席を標榜しているだけに、更科系の白いそばは口当たりがサラリ、のどごしがみずみずしい。天ぷらは大エビ2本ほか、シイタケが肉厚で香り高く、さすがは料亭の天せいろ、といった充実である。コースにはグラスワインもついており、料理をいただきながらの一献の締めにこのそば、との流れもうれしい。
満足、ほろ酔いで店を出ると、斜面の先に広がる七里ヶ浜と、ちらりとそびえる富士山も望めた。これぞ日本の新春らしい風景を眺めつつ、せっかくなので食後は庭園を歩いてみましょう。
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