ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

児島てくてくさんぽ1

2015年02月22日 | てくてくさんぽ・取材紀行
白壁土蔵の街の最寄り駅から、衝動的にバスに飛び乗り30分ほど。瀬戸内に近い岡山県児島へとやってきた。ジーンズ愛好者なら耳にしたことあるだろうこの街には、その名も「ジーンズストリート」という店舗街が形成されている。

ジーンズの看板が入り口の目印で、サウスエリアとノースエリアに分かれ店舗が点在。シャッター商店街気味でやや活気に欠けるが、女性グループやジーンズ好らしきちょいワル系など、パラパラ歩いている。個店が中心で客がいないと入りづらい中、チラ見程度の流し見ながら歩いた。

サウスエリアでは「倉敷天領デニム」「カミカゼアタック」といった、名前からして本物・オンリーワン志向の店が並ぶ。ノースエリアでは倉敷帆布も使った店、ブッシュパンツが売りな店など、素材や扱う品を特化させた店も。雑貨もトートやポーチなど定番揃いの中、ジンベエザメをモチーフにしたポーチの店が目を引いた。用途を見たら携帯やタバコなど、サメ君の口に入るのは何でもオーケーとか。

時間とお金があれば、フィッティングして品定めしたいところ。次回はそのつもりで、合わせる服も着て訪れるかな。

手打ちうどんのおおにし@倉敷

2015年02月22日 | 旅で出会った食メモ
白壁土蔵の街で寄ったのが、堀端にある手打ちうどんのおおにし。ぶっかけうどんは当地がルーツだそうで、元祖の店の主がマージャン好きのため、打ちながら片手で食べられるよう生まれたとか。

つゆをかけまわし、ざっと混ぜてズッとやれば、麺のコシが強烈でグングン弾き返してくるほど。カツオ、海苔、ネギが薄味のつゆに合い、天かすがザクザクと食べ応えある。タコがのっているのはさすが、当地のうどん。

この店はもとは自動車屋で、新幹線が岡山に延びてこのあたりに観光客が増え始めた頃、飲食店に転じたという。いろいろな所以の建物、色々な経営元の店がひしめく中、こんな地縁の深い店もあるのだな、と再認識した。

笠岡ラーメン お多津@笠岡

2015年02月21日 | 旅で出会った食メモ
岡山は笠岡に来たら、食べずに帰れないのが当地のラーメン。親鶏のガラを使った醤油ベースの中華そばで、「笠岡ラーメン」との銘柄もある。訪れた駅のそばの「お多津」は、旬の鮮魚ダシも加わっているのがウリ。ローカル魚エクスプローラーとしては、飲み締めにすすらねばなるまい。

店は旅館の1階にあり、醤油ベースの澄んだスープをすすっだ途端、瀬戸内の魚群にダイブしたよう。アテで覚えのあるような小魚たちが、入れ替わり立ち代わり舌に香っては泳ぎ去る、底引き網の水揚げを思わせるおもちゃ箱的な味わいがいい。麺はパッキリ歯切れの良いストレート、チャーシュー代わりに親鶏モモの醤油煮がのるのも定義である。

小ぶりの丼でスープ多目が定義なのもありがたく、しっかりすすってごちそうさま。今日1日の食を振り返るに、明日の朝はランは必須だな。

ローカル魚でとれたてごはん…岡山・笠岡 『魚串 ねぶと屋』の、魚串

2015年02月21日 | ◆ローカル魚でとれたてごはん
笠岡のカブトガニ博物館の展示の中に、カブトガニの生息地や生態が紹介されていた。内湾に生息して沿岸の海底部でゴカイや貝を捕食するというから、シャコやアナゴやエビ類といった底引き網の漁獲と変わらない。世界で4種しかない希少種なことに加え、干拓や埋め立てによる環境悪化もあり、昭和46年に生息域の神島水道が天然記念物に指定された。が、サルエビやガサエビやシャコといった、見かけがインパクトある魚介が味覚になるこの海、条件次第では瀬戸の珍味となっていた可能性も、なきしにもあらずだろう。

笠岡は市街周辺には大きな漁港はなく、干拓して狭まった湾の周囲に小規模な漁港が点在している。博物館からの帰りに、干拓された細い湾を見ながら美の浜漁港へ寄ると、漁港は小さいながら中型の底引き船が停泊している。さすがにカブトガニはかからないだろうが、種々様々なエビや貝や小魚が水揚げされる賑わいを、ちょっと思い起こしてみる。

宿で軽く夕食を食べたが、魚どころだけにもう少し地魚を攻めてみたい。調べたら「魚串(ととくし)」というオリジナル魚料理を出す店が、駅の近くにある。その「ねぶと屋」の戸を開けると中は焼き物の煙で霞むほど。真鯛、カキフライ、特大メバル、タコ唐揚げママカリ酢漬けなど、瀬戸内定番の品々が、炉の後ろのボードを賑わせている。

魚串とは名の通り、瀬戸内をはじめとする鮮魚の串焼きで、その日の仕入れ次第で魚種はおまかせという。待つ間ボードを見直したら、博物館への行きのタクシー運転手が「まだ早く出回ってない」と言っていた、アナジャコがあるではないか。唐揚げを即オーダーすると、くるっと丸まった赤い背で、ヤドカリのようなザリガニのような愛敬がある。甲羅のバリバリ香ばしさ、たっぷりついた身の濃さは、漁開始間もない生命力に満ちているよう。エビの香味とジャコのほっこりさを足したような、瀬戸の甲殻類オールインワンの魚介である。

そして焼き上がってきた魚串はハマダイ、タチウオ、鯛で、ハマダイ以外は瀬戸内ものとお姉さん。味付けはそれぞれ素材に合わせてあり、鯛はバジル風味で香味と鯛の白身のガチ勝負。身のほのかな淡白さを、香草の青い香りで純粋に感じられる。タチウオはしっかり塩がしてあり、白身の乳製品甘さをグッと引き出している。伊豆もののハマダイは素材そのままの味で、キュッと締まった身のかむと出る旨みが後を引く。鳥でも豚でもモツでもない、これぞ瀬戸の串焼きだ。

瀬戸内沿岸の魚介は速潮と富栄養のおかげで、生息海域に応じた味の個性が強いという。唐揚げに魚串に味わった個性派魚介からすると、同海域のカブトガニも甲殻類的な味の想像がつくような気もする。そういえば天然記念物の指定は海域であって、カブトガニ自体ではなかったようだし…って、海の化石様に何という思いを巡らすことやら。