ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

笠岡ラーメン お多津@笠岡

2015年02月21日 | 旅で出会った食メモ
岡山は笠岡に来たら、食べずに帰れないのが当地のラーメン。親鶏のガラを使った醤油ベースの中華そばで、「笠岡ラーメン」との銘柄もある。訪れた駅のそばの「お多津」は、旬の鮮魚ダシも加わっているのがウリ。ローカル魚エクスプローラーとしては、飲み締めにすすらねばなるまい。

店は旅館の1階にあり、醤油ベースの澄んだスープをすすっだ途端、瀬戸内の魚群にダイブしたよう。アテで覚えのあるような小魚たちが、入れ替わり立ち代わり舌に香っては泳ぎ去る、底引き網の水揚げを思わせるおもちゃ箱的な味わいがいい。麺はパッキリ歯切れの良いストレート、チャーシュー代わりに親鶏モモの醤油煮がのるのも定義である。

小ぶりの丼でスープ多目が定義なのもありがたく、しっかりすすってごちそうさま。今日1日の食を振り返るに、明日の朝はランは必須だな。

ローカル魚でとれたてごはん…岡山・笠岡 『魚串 ねぶと屋』の、魚串

2015年02月21日 | ◆ローカル魚でとれたてごはん
笠岡のカブトガニ博物館の展示の中に、カブトガニの生息地や生態が紹介されていた。内湾に生息して沿岸の海底部でゴカイや貝を捕食するというから、シャコやアナゴやエビ類といった底引き網の漁獲と変わらない。世界で4種しかない希少種なことに加え、干拓や埋め立てによる環境悪化もあり、昭和46年に生息域の神島水道が天然記念物に指定された。が、サルエビやガサエビやシャコといった、見かけがインパクトある魚介が味覚になるこの海、条件次第では瀬戸の珍味となっていた可能性も、なきしにもあらずだろう。

笠岡は市街周辺には大きな漁港はなく、干拓して狭まった湾の周囲に小規模な漁港が点在している。博物館からの帰りに、干拓された細い湾を見ながら美の浜漁港へ寄ると、漁港は小さいながら中型の底引き船が停泊している。さすがにカブトガニはかからないだろうが、種々様々なエビや貝や小魚が水揚げされる賑わいを、ちょっと思い起こしてみる。

宿で軽く夕食を食べたが、魚どころだけにもう少し地魚を攻めてみたい。調べたら「魚串(ととくし)」というオリジナル魚料理を出す店が、駅の近くにある。その「ねぶと屋」の戸を開けると中は焼き物の煙で霞むほど。真鯛、カキフライ、特大メバル、タコ唐揚げママカリ酢漬けなど、瀬戸内定番の品々が、炉の後ろのボードを賑わせている。

魚串とは名の通り、瀬戸内をはじめとする鮮魚の串焼きで、その日の仕入れ次第で魚種はおまかせという。待つ間ボードを見直したら、博物館への行きのタクシー運転手が「まだ早く出回ってない」と言っていた、アナジャコがあるではないか。唐揚げを即オーダーすると、くるっと丸まった赤い背で、ヤドカリのようなザリガニのような愛敬がある。甲羅のバリバリ香ばしさ、たっぷりついた身の濃さは、漁開始間もない生命力に満ちているよう。エビの香味とジャコのほっこりさを足したような、瀬戸の甲殻類オールインワンの魚介である。

そして焼き上がってきた魚串はハマダイ、タチウオ、鯛で、ハマダイ以外は瀬戸内ものとお姉さん。味付けはそれぞれ素材に合わせてあり、鯛はバジル風味で香味と鯛の白身のガチ勝負。身のほのかな淡白さを、香草の青い香りで純粋に感じられる。タチウオはしっかり塩がしてあり、白身の乳製品甘さをグッと引き出している。伊豆もののハマダイは素材そのままの味で、キュッと締まった身のかむと出る旨みが後を引く。鳥でも豚でもモツでもない、これぞ瀬戸の串焼きだ。

瀬戸内沿岸の魚介は速潮と富栄養のおかげで、生息海域に応じた味の個性が強いという。唐揚げに魚串に味わった個性派魚介からすると、同海域のカブトガニも甲殻類的な味の想像がつくような気もする。そういえば天然記念物の指定は海域であって、カブトガニ自体ではなかったようだし…って、海の化石様に何という思いを巡らすことやら。

高松屋旅館の夕食@笠岡

2015年02月21日 | 旅で出会った食メモ
カブトガニの動態も堪能したし、笠岡オプショナルステージもコンプリート。とはいえ倉敷岡山は泊まり慣れてるから、「用もない街にあえて泊まり無理やり旅気分に浸る」でここいってみよう。

宿をとったのは、駅前の高松屋旅館。久々に畳敷きにコタツのほのぼの宿で、料理をつけたら瀬戸内の魚介が数品出された。メインはサワラのつくりで、春からが旬でまだ早めだが、口当たりがふわりと瑞々しいこと。厚めの切り身は脂もしっかりのっていて、瀬戸内の王者たる刺身の貫禄は相変わらずである。

同じく底魚の代表であるアナゴは、白焼きした後に蒲焼のタレをつけて焼いてある。山椒の香りと甘いタレはウナギの蒲焼そのものだが、細身の身はシコシコ弾力があり、ふっくら柔らかなウナギとは対照的。山椒で土の香りが消え、力強い白身の旨みが立っている。これは瀬戸ならではの酒の肴だ。

17時30分と晩ご飯早めにしたのは、この後笠岡名物のアレも食べとかねばと。「用もない…」の街の夜は、いつも長くなりがちだ。

笠岡てくてくさんぽ2

2015年02月21日 | てくてくさんぽ・取材紀行
明日の倉敷ステージを前にちょいと時間ができ、やってきたのは岡山の西端に近い笠岡。ほとんどの人が脊髄反射で、あの生き物が浮かぶのでは。てな訳で、その名もカブトガニ博物館を訪問。生態の展示の中でも、入口の大水槽での実物が興味深い。

カブトガニはオスメスが連結して行動する生態で、メスがオスをおぶって行動する。後ろのオスが行動の司令塔で、メスの動きはオス任せ。水槽で動いているのを見ると、直進してガラスにぶつかりジタバタしてるメスを、オスが押して追い立ててるような、巧みに向きを制御しているような。また食事はメスが先に済ませ、満腹したらオスが食べる順なのだとか。

ご夫婦の方々、さあご自身のご家庭に照らし合わせてみましょう。