ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

旅で出会ったローカルごはんbyFb…奈良公園『東大寺絵馬堂茶屋』の、茶粥

2012年10月15日 | ◆旅で出会ったローカルごはん

 奈良の郷土めし・茶粥を味わおうと店を探したが、思いのほか苦戦した。朝粥のノリで朝食にしようとしたら、どの店も11時過ぎから。しかも料理や椀が組み合わせられたセットやコースしかなく、値段も数千円となかなか張る。茶粥は本来、特産の大和茶を用いた家庭料理で、地元では朝食で手軽に常食されていると聞いたのだが。

 一方、茶粥は東大寺二月堂のお水取りの際、練行僧への食事に供したとの説があり、いわば寺の常食でもある。そこで一般の料理屋をあきらめ、東大寺境内の茶屋を調べたら、朝粥は無理だが単品で供する店を発見。二月堂の前にある『東大寺絵馬堂茶屋』では、茶粥と漬物、小鉢ひとつでわずか500円。

 「器が熱いですよ」と運ばれてきたやや大振りの茶碗には、番茶にやや砕けた米粒が沈んでいる。口の中で程よくほぐれ、茶の香ばしさがパッと立つ。見た目はお茶漬けと似ているが、粥なのでちゃんと米から炊いていて、舌にもお腹にも優しい食感。この茶屋では、炊く前に米を軽くフライパンで炒ってあり、さらりと心地よい食感に仕上がっている。

 付け合わせの香の物は、昆布・柴漬け・梅干しとある中、ベストマッチはやはり、奈良漬け。塩気が酒の風味でマイルドになり、清々しい粥の味を程よく補完してくれる。前述の3つは比べると強過ぎで、奈良漬けは茶粥用に生まれたのでは、と思うほどの出会いの妙だ。