ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

ローカル魚でとれたてごはんbyFb…会津若松 『一會庵』の、ニシンの山椒漬け

2012年10月21日 | ◆ローカル魚でとれたてごはん

 オリジナルのうまい魚料理は、海なしの土地にも意外に多い。流通が発達していない時代、内陸部や山間部では、海産物は大変貴重な食材。なので、傷まないよう運ぶ工夫や長期保存するため、様々な加工技術が編み出された。

 それが予期せず、味の良さにも影響するケースも。馬に揺られて運ばれ醤油が染みる甲州の煮貝、殺菌用の葉の香りが風味付けになる奈良の柿の葉寿司など、鮮魚にない独特の味わいは、これらの地の人たちの魚への熱い「思い」の味でもある。

 会津の郷土料理、ニシンの山椒漬けに使われる魚介は、北海道産の身欠きニシンだ。北前船で新潟へ、さらに阿賀野川を船でさかのぼり、会津へとはるばる運ばれる。それを醤油と酒と砂糖、さらに山椒の新芽と漬けこんだものである。乾物にされたニシンの凝縮した旨味、殺菌用の山椒の香り付け。運搬と保存のための加工が、味の良さにうまく作用している。

 乗り換えで途中下車した会津若松駅構内の『一會庵』で、地酒「会津娘」と合わせたら、甘辛い味付けに山椒の爽やかさが加わり、辛口の酒との相性バツグン。ニシンそばにのる甘露煮よりは身がソフトで、食感はサバのスモークに似ているかも。保存を意識した加工品は、味付けが濃くなりがちだが、これはしっかりニシンを味わっている感じがする。

 「栄川」「名倉山」「飛露喜」と、カウンター越しに控える会津の地酒たちが気になり…と、内容がいつの間にか「ローカル魚」から「おひとり昼酒」に。小鉢の数切れが終わったら、焼き味噌に地鶏など、ローカルごはんのアテも気になるところ?