レトロでモダンなリニューアルを施した、東京ステーションホテルのオープンが間近に迫った。内覧会では皇居を眺めるパレスサイド、歴史建築の駅舎内部を見下ろすドームサイドそれぞれの部屋を見せてもらったが、1泊で2万5000円からは少々高値の花。レストランでディナーを楽しみ、バーでカクテルなどいただいた日には、軽く5万は超えそうだ。「もし泊まれたら、晩飯は部屋から景色や内装を眺めながら、カップ麺かな」との、同行者の言葉も分かる気がする。
カップ麺までいかなくても、ホテルを出て駅周辺の店で食事すれば、いくらか安くつくだろう。とは言え、非日常のレトロホテルに泊まりながら、ありきたりの店に入ってはムードが壊れてしまう。内覧会の前に昼食をいただいた、丸の内オアゾの「つばめキッチン」は、創業60年の洋食の老舗「つばめグリル」の流れをくむ店で、100年の歴史あるステーションホテルに泊まっての食事におすすめだ。
ハヤシライスやロールキャベツといった、洋食屋の定番メニューもうまそうだが、ここは看板の「ハンブルグステーキ」を注文。焼きたてのハンバーグにビーフシチューをかけ、ホイルでくるんであるため、パンパンにふくらんだのを破るとバッ、と湯気が立ち上る。しっかり蒸されたハンバーグは、ナイフを入れるとふっくら。粗めのひき肉がコクのあるシチューにからみ、思わず笑顔がこぼれるうまさだ。
このハンバーグが生まれたのは30年前で、包み焼きは香りを演出するためという。香りに深みを出すため、牛を一頭買いしてシチューには様々な部位を煮込んであるそうで、ハンバーグとの相性もいい訳か。ちなみに店名の「つばめ」は、国鉄の看板特急列車からとったとか。かつての東京駅発の列車ゆかりのレストランとくれば、東京ステーションホテル泊まりのディナーに不足はないかも。