名古屋のローカルごはんといえば、味噌カツとかきしめんあたりが挙がるが、これらは今や全国区の「ブランドローカルごはん」。同じ質問を地元名古屋の人にすると、結構挙がるのが寿がきやのラーメンだとか。デパートのフードコートなどに見られる、あっさり味のシンプルなラーメンで、正統派名古屋めしよりちょっと手軽な、普段使いの名古屋ローカルファーストフードなのだろう。
栄の繁華街で夕食の店を探していると、コックキャラ人形君が迎えるカレースタンドに出くわした。懐かしのカレールーのメーカー「オリエンタルカレー」の直営店で、若い人にはなじみはないが、昭和30年代に流れていた「♪オ〜リ〜エンタルカ〜レ〜ー〜」のCMソングを覚えている、年配の方もいらっしゃるのでは。
店内には当時のCMの写真や、ブランドロゴ入りの宣伝用バスの白黒写真などのパネル展示が施され、昭和レトロを彷彿させる。カレーはチキンやビーフのルーに、卵やカツなどをトッピングするスタイル。メニューで惹かれた赤ウインナーカレーは、これまた懐かしのタコさんにする真っ赤なウインナーがのっており、レトロものミックスということでこれを注文した。
オリエンタルカレーはそもそも、当時調理に手間がかかったカレーを手軽に広めるため、小麦粉にスパイスを加えた「即席カレー」を販売展開していたメーカーだ。本部は愛知県稲沢で、ここのほか東海圏に数店を展開しているという。オールドファンには知られたブランドカレーが、名古屋では寿がきやと同様に、チェーン系ローカルごはんなのかも。
たっぷりのウインナーはジョッキのアテにもありがたく、肉っぽさを感じないチープな食感に、子供の頃を思い出す。カレーソースは3種あり、選んだオリジナルの「マース」はマンゴー、りんご、干しぶどう、スパイスの頭文字の略で、フルーツ系の丸さがきつめのスパイシーさをひき立てる。個性は強くない分、いつだったか家で食べた気がする、穏やかなテイストに思えてしまう。
帰りに店頭を見たら、レジ横でルーやレトルト、コック君キャラのストラップ、さらに柄にコック君が刻まれたカレースプーンまで、関連商品が各種売られていた。工場見学で最後に立ち寄る売店を思わせ、さすがは「ものづくり名古屋」のメーカーゆかりのローカルカレーか?