ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

秋の旅路でおひとり朝酒@太地 byFb

2012年10月19日 | ◆ローカル魚でとれたてごはん

 紀伊田辺からの始発電車に乗り、紀伊半島先端の串本を回り込み、やってきたのは捕鯨の町・太地。朝9時から営業の料理屋、その名も「くじら家」で、クジラを肴に思いがけず朝酒になった。

 刺身やベーコンもいいけど、捕鯨地ならではのローカルなアテを頼んだら、骨剥と潮吹き味噌煮が出された。ネーミングからの連想通り、骨剥は骨にへばりついた肉を剥がしたもので、いわばクジラ中落ち。潮吹きは皮に近い、潮の吹き口。

 骨剥は見た目が大和煮缶のイメージだが、肉の味がしっかりする。繊維のほぐれ感がサラリ、脂は固く食感がゴリゴリ。クジラ特有の臭みがあり、おろし醤油でいくと中和され食べやすい。潮吹味噌煮は角煮風でクセがなく、脂もスッキリしていて、かむごとにクニクニ溶ける。よく動く部位だから、柔らかく味が深い。

 ともに希少な部位かと思ったら、「クジラはマグロやカツオなどより図体が大きいから、それなりにとれるよ」クジラは全部食べられます、と店のおばちゃんは胸を張る。骨剥はゴンドウクジラ、潮吹きはミンククジラを使っていて、ゴンドウクジラは捕獲規制対象外の種のため、今も太地の湾で追い込み漁をやっているという。

 これぞ太地のローカル魚、と言いたいが、クジラは魚じゃなかったな。