ローカルごはんやご当地グルメは、その成り立ちや背景のストーリーも、関心をそそるための重要アイテムである。古くからの常食なら、興味深いエピソード満載だろうが、地域起こしや新名物づくりから生まれたものはやや苦しい。うんちくも味のうち、が旅で出会ったローカルごはんの楽しみ方だから、新参なりの面白ばなしを、もっと押し出してもいいように思う。
昨日の岡山シティプレゼンテーションでは、岡山中央卸売市場ネット合同会社で、マグロの血合肉の食用化の話を伺った。市場では、マグロをおろした後に残る血合肉が年間10トンほど出るそうで、毛細血管の塊のような部位だけに、栄養価は高いがとにかく生臭い。味噌に漬けたり牛乳に浸したりしたがうまくいかず、苦心の末、電圧をかけることで臭みの除去に成功したという。
この血合肉は「マグロ鉄太郎」という名称で販売されていて、11月18日からはこれをコロッケに仕立てた「iコロ」も売り出される。試食の揚げたてのをいただくと、衣がサクッと軽くタネもふわりと柔らか。血の匂いはもちろん、赤身魚の香りも控えめで、揚げ物の脂っこさがなくスナック感覚でパクパクいける。
担当の方によると、血合肉はヘム鉄が豊富で貧血に効果があり、材料におからも使っているため、食物繊維とカルシウムも摂取できるそう。血合もおからも、本来は捨ててしまうものだけどね、と笑ってらっしゃるが、言われてみればなかなか大した健康食だ。
血合肉という素材の珍しさ、電圧で臭みを除去する意外性、コロッケ仕立ての親しみやすさに栄養の豊富さ。食うんちくのネタにも事欠かず、市場発の新・岡山名物グルメに名乗りをあげそうだ。欲を言えば、もう少し岡山らしさが加えられると、文句なし。生産販売元には水産ほか、青果の仲卸の方もいらっしゃるから、岡山野菜やフルーツと一緒に、ハンバーガー仕立ても楽しいかも。
で、名前案は「岡山アイコロバーガー」。語呂もいいし、岡山市さんどうでしょう?