ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

町で見つけたオモシロごはん53…横浜 『イタリアーノ』の、カルボナーラ

2006年08月14日 | ◆町で見つけたオモシロごはん
 娘が幼稚園に通うようになってから、以前より家内の用事の際に預かる機会が減ってしまった。幼稚園が延長保育で預かってくれるおかげだが、ありがたいような、父親としては娘とふたりっきりで散歩する機会が少々減ってしまい、ちょっと(かなり?)残念なような。この時期は夏休みで、当然幼稚園も延長保育もお休み。久しぶりに横浜駅で、ちょっとばかり娘を預かることになった。

 この日はそれほど時間がないため、電車に乗って動物園へ行ったり、遊覧船にのったりする余裕はなく、横浜駅周辺をぶらぶらして時間をつぶすことにする。まずは自分の用事も兼ねて本屋に行こうと、横浜ルミネの5階にある書店へ。自分は旅行書、娘は絵本コーナーであれこれと眺めていると、時折寄ってきては、「これ、パパがつくった本だね」。一応、私の名前と出版社名は漢字でも読めるらしく、なかなか感心、感心。思わず何でも好きな本買っていいよ、などと言ってしまいそうになってしまう。

 そんな訳で少々気を良くしたところで、ルミネ6階のレストランフロアへ。娘に、好きな店でおやつにしていいよ、と任せることに。すると「イクラがある!」とか言いながら築地玉寿司へと歩いていったり、大きなハンバーグのサンプルにひかれてつばめグリルへと流れていったりと、任せたらおやつぐらいではすまなくなりそうだ。そこで「メニューにケーキかアイスがある店にしよう」と少々軌道修正をした結果、『イタリアーノ』というイタリアンレストランに決まった。店頭のケーキセットが気に入ったようで、いくつものケーキが並んだメニューを見ては嬉しそうにしている。

 ちょうど喫茶の時間帯で店内は買い物客で込んでいたが、奥の窓際の席へと通されてひと息。ちらりと海やみなとみらいの方も見えるので、娘は景色に夢中である。パスタを中心としたカジュアルイタリアンの店らしく、メニューによるとトマトベース、クリームベース、和風とスパゲティが種類豊富に揃っているよう。以前、娘と散歩した際に訪れた横浜駅西口の「赤とんぼ」を思い出し、カルボナーライタリアーノにデザート、ドリンク付きのセットにして、デザートとドリンクを娘に進呈することにした。娘はお目当てのケーキの予定が変更となったが、お好みのアイスに変わったので二つ返事で了解してもらいひと安心。何にせよ、この頼み方だとちょっと割安で済むのもありがたい。

 デザートとドリンクも一緒に持ってきてもらい、リンゴジュースとジェラートは娘に、自分はスパゲティにとりかかり、思い思いのランチ、おやつタイムである。スパゲティは思ったより量は少なめだったが、塩辛めの生ベーコン「パンチェッタ」がたっぷりで意外に食べ応えがある。クリームソースが少々ゆるめで、何だかスープスパゲティのよう。クリームソースのパスタは好みだが、比べると「赤とんぼ」のカルボナーラのようにトロリとした感じのソースのほうがいいかもしれない。大き目の卵黄を麺にからめては、娘のペースに合わせてのんびり頂く。
 
 自分は遅い昼食、娘はおやつを楽しみ、店を後にするとわずかなお散歩の時間は残りが少なく、おもちゃ売り場で時間をつぶしてタイムオーバー。家内と合流して、改札で名残惜しくお別れ、仕事に戻るのが少々面倒だが、例によっておやつのアイスにご満悦の様子の娘を見て、気合い一新、がんばろうか?(2006年7月28日食記)

魚どころの特上ごはん35…淡路島・福良 『オキフーズ』の、淡路の魚介を使ったかまぼこ

2006年08月13日 | ◆ローカル魚でとれたてごはん
 淡路島の近海は海峡や早潮の箇所が多いため、沿岸では身が引き締まった魚介が揚がることで知られる。主な漁獲は鯛とハモ、タコで、いずれも「鳴門鯛」「福ハモ」「明石ダコ」と、名だたるブランド魚ばかりだ。この日はお昼に大鳴門橋記念館のレストラン「うずしお」で、鯛を使った創作料理を頂き、夜は休暇村南淡路で、郷土料理であるハモのしゃぶしゃぶを出される予定。1日にして、これらブランド魚のうちの2つを味わえるというのが、なかなか豪華でありがたい。

 食後に大鳴門橋記念館の劇場で、郷土芸能の人形浄瑠璃を見学した後、一行を乗せたクルマは南あわじ市の中心である福良へとやってきた。淡路島南部屈指の漁業の町で、案内人によると、ここも主な漁獲は鯛とのこと。本場だけに底引き、刺し網、定置網など様々な漁法でとれ、釣りでとったものが傷がなく品がいいという。1.5キロほどの大き目のものが味がいいそうだが、旬は「桜鯛」とも称される春先だから、今はやや季節はずれのよう。ほかにも、今夜頂くハモを狙った延縄漁、またフグの養殖は島で屈指の規模など、さすがは淡路島の3大漁港のひとつにも挙げられるだけある。

 宿は町の南端の高台にあるため、クルマは海沿いの道を走りそのまま宿へと向かう… と思ったところ、途中を折れて市街地の細い道に入り、とある施設の前で停まった。クルマを降りると中から、白衣を着た人が数名、ニコニコと出迎えてくれる。見たところ水産加工品の加工場のようで、宿へ入る前に見学していくらしい。中へ入ると「どうぞ、味を見てみてください」と試食用の皿が差し出され、天ぷらや蒲鉾が数種類並んでいてうまそうだ。味見すると腰がグイグイと強く、身の味がしっかりと濃いのが分かる。「どれも地魚で作った練り物です。じゃこ天と青のり天、タコ天で、魚のいい味がするでしょう」。この『オキフーズ』は明治40年創業の蒲鉾メーカーで、案内していただく代表取締役の沖さんは4代目。タコかまぼこに鱧かまぼこ、瀬戸内のほたるじゃこをつかったじゃこ天にのり天など、地元産の魚介を生かした製品にこだわっているそうである。

 沖さんの話によると、店の前身は蒲鉾や天ぷら、ちくわなど練り製品を扱う「沖蒲鉾店」。福良では古くから、網を使った鯛やハモ漁が盛んだったという。その際、狙いの鯛やハモと一緒に、グチやエソなどといった雑魚もたくさんかかってしまう。この店の初代は、それらをカマボコに加工して売り始めたのだ。材料は漁のお目当ての「ブランド魚」と対照に、小魚や骨の多い魚など、商品にならないものばかり。これをミンチにして、でんぷんを加えてから油で揚げ、新聞紙でくるんで売っていたのだという。

 説明を聞きながらふたつ3つ、天ぷらや蒲鉾をつまんでいると、一行に配られたのはビニールの手袋。試食の後は、何とかまぼこを自分で作ってみることになった。かまぼこの作り方はまず魚の内臓を取り、圧縮機にかけて皮や骨を分離させて身だけをとり分け、2~3%の食塩と、つなぎにでんぷんを加えてすり身をつくる。これを成形してから蒸し上げると出来上がり。一貫して手作りにこだわる独自の製法は、今も当時のままという。体験するのはこのうち、すり身を鯛の型にはめて上に文字を書くところまでである。まずは配られたすり身を、空気の穴ができないように軽く練る。すり身に塩を加えてあるのは味付けではなく、弾力を出すため。近頃はカマボコの需要が増え、地物の魚以外にも北海道やアメリカでとれたスケソウダラも素材に使っているという。

 続いて沖さんの手本を見ながら、練ったすり身を手のひらでそぎとって、鯛の型の中へと盛っていく。絵柄が複雑な鯛の頭が手前になるようにして持つのがコツで、尾から頭に向かってすり身をならすとグッと入れやすいのだとか。見よう見まねでやってみたが、ピタッと型に入り大成功。型を外すと、中からは透き通るように純白の鯛が現れた。色はもちろん漂白ではなく、スケソウダラと鯛の自然の色という。「仕上げに、絞り器で好きな文字を書いてください」。鯛かまぼこは主にお祝いの品で、「寿」「祝」などを文字を書くことが多いとか。何と書こうか考えた結果、自分の名前からひと文字。上村の「上」と書いてぐるっと丸で囲んで、丸上印の鯛かまぼこの完成である。

 この後蒸してもらい、明日帰る前にいただけるとのことで、これはいいお土産ができた。考えてみればこれだって、素材は雑魚だけれども鯛は鯛? 淡路周辺の海は、ブランド魚だろうが雑魚だろうが、平等に恵み豊かな海域なのである。(2006年5月23日食記)

町で見つけたオモシロごはん52…秋葉原 『肉の万世』の、シンプル・ボリュームの万かつサンド

2006年08月12日 | ◆町で見つけたオモシロごはん
 地下鉄の末広町駅から地上へ出ると、やや先に原色鮮やかなネオンがきらめくビル街が見えた。中央通りを、その秋葉原電器街方面へ向かって歩いていく途中、沿道に並ぶショップの数々。パソコン、アニメ、ゲーム、DVDと、さすが「オタクの殿堂」だけに、なかなか濃ゆい感じのお店が軒を連ねている。興味本位で覗いてみたくなるが、何やらアニメキャラの美少女のポスターがドン、と貼ってあったり、パソコンの部品らしい用途不明なパーツがびっしり並んでいたりと、一見ではちょっとなじめなさそう。これだけ同じ業種の店が集まっているのに、どの店も同様にそこそこ賑わっているのが不思議だ。

 クロスフィールドやダイビルがオープン、つくばエキスプレスが開通するなど、近頃注目の秋葉原に久しぶりにやってきた。かつての電気街の印象からホビーの街のイメージが強くなり、街を歩いていると変貌振りにかなりとまどってしまう。銀縁メガネになんとなく長髪、スニーカーにザックといった「電車男」ルックの人たちもいたるところで見かけ… などと書いている自分もTシャツにショルダーバッグと、結構周囲になじんでいるかも?

 この日は知っている作家の昔の鉄道紀行を探しに、鉄道専門店にやってきた。目当ての鉄道グッズショップに向かって中央通りから1本裏の通りに入ると、こちらのほうがさらに人通りが多く賑わっている。パソコンショップや居酒屋の人があちこちでビラを配っており、中にはメイド服を着た女の子の姿も。噂の「メイド喫茶」の呼び込みらしく、確かにかわいいがテレビや雑誌で見るのに比べ、生で見ると少々どぎつい感じもしてしまう。歩いていてふと気づいたが、周辺には意外とラーメン屋が多い。濃厚トンコツの「ぼんしゃん」が人気の「九州じゃんがら」、食材にこだわりボリュームあるトッピングの「典座」など、このエリアをはじめ秋葉原は知る人ぞ知るラーメン処なのだとか。店頭を通り過ぎながら覗いてみると、食事時には早いのにどこも結構な混雑、中には行列が出来ている店もある。ラーメンもまた、確固たるマニアが存在するジャンルだから、秋葉原になじむのかもしれない。

 あたりを何往復もしたが、目当ての店は仮移転したらしく見つけられず、あきらめて改めて出直すことにして秋葉原駅へと向かうことにした。ラーメン屋をいくつか見かけたから食事をしていってもいいのだが、この日は家で食べることにしてあるから断念。何かアキバらしいテイクアウトを仕入れていくのも面白いと思い、思いつくのは「おでん缶」か。そもそもは秋葉原のチチブ電機の店頭に設置された自販機で売られていたこの缶詰、ドラマ「電車男」で取り上げられるなど注目度が上がったおかげで、近頃は界隈のほかの電気屋の店頭や食品店でも扱われるようになった。チチブ電機で売っている定番のは「天狗缶詰」というメーカー製で、つみれ、大根、牛スジプラス各5つのネタが入った計3種。加えてイワシの缶詰の大手である銚子の信田缶詰が「銚子風」を発売するなど、おでんにコアなマニアがいるかどうかは知らないが、アキバ名物として定着してきているようである。

 ひと缶買ってビールのつまみに、どうせ買うなら元祖のチチブ電機の自販機にしよう、と探し歩いてみたものの、不案内な秋葉原の路地に再び迷ってしまい、いつしか万世橋のたもとにたどり着いてしまった。橋を渡って少し歩けば神田駅だし、今日のところは手ぶらで引き返すか、と思った手前にそびえる『肉の万世』に、絶好のテイクアウトがあるではないか。万世の名物といえば「万カツ」、つまりカツサンド。東京駅から新幹線に乗るときや、羽田空港での「空弁」ではよくお世話になるが、本店で買うのは初めてである。玄関をくぐってすぐ脇にあるビアレストランにも惹かれるが、そのまま直進してショップの精肉デリカコーナーへ。ソーセージやサラミ、チーズに並び、一角にカツサンドの小箱がつまれているのが目に入ってきた。

 肉の万世の創業は昭和24年。精肉加工と、ステーキにしゃぶしゃぶやすき焼きといった肉料理の老舗であるこの店、カツサンドも昭和30年ごろからやっている古くから根強い人気を誇る品だ。ほかヒレカツサンド、ハンバーグサンドとそろう中で、人気はこの「万かつサンド」が一番。平日でも4~500個、週末には1000個近く売れることもあるという、いわばアキバグルメの草分け的存在である。サンプルの箱の中には、正方形のサンドイッチが6つ、整然と収まっている。ハンバーグサンドも買おうか迷ったが、ここは定番の味をしっかり味わおう、とカツサンドを1箱購入。

 帰ったらさっそくカツサンドとビールで晩御飯だ。揚げたてのカツにソースをまぶし、マスタードを塗ったパンではさんで、6つに切ってできあがり。極めてシンプルなカツサンドだが、厚めのカツは柔らか、パンにソースがしっかりとしみ、渾然一体となっていてこれがうまい。ソースはケチャップとウスターソースをベースに、数種の香辛料を混ぜた万世のオリジナル。酸味が強めにピリッと効いた風味は、冷めてもおいしいようにと出し始めた頃から変わらぬ味だとか。ひとつひとつの見かけは小さいが、食べてみると結構なボリュームで、この1箱で充分夕食代わりになった。再訪した際にはお目当ての本とおでん缶を買って、さらにアキバの路地裏へと迷い込んでみようか。とはいえ、パソコンは未だにエクセルがうまく使えず、アニメもガンダム以前に宇宙戦艦ヤマト世代(年がばれるか?)の私にとっては少々ヘビーな街かも?(2006年7月27日食記)

町で見つけたオモシロごはん51…横浜・みなとみらい 『ガーリックジョーズ』のコース料理あれこれ

2006年08月11日 | ◆町で見つけたオモシロごはん
 ちょっとした臨時収入があり、たまには家内とうまいものでも食べに行こうか、なんて気になった。日頃好き勝手に、ひとり全国各地に出かけてはあれこれ食べ歩いているから、こんなときぐらいはご機嫌をとっ… ではなく、感謝の意をこめてご馳走しても悪くないだろう。例によって、腰をあげたのは夜の9時過ぎと遅い。みなとみらい周辺で、まだオーダーストップに間に合いそうな店を探してグルメガイドをぱらぱらめくり、いくつかの店にめぼしをつけていざ出発。クルマは国道16号線を磯子から根岸、本牧と夜の湾岸ドライブとしゃれこんで、30分ほどでクィーンズスクエアの地下駐車場へと滑り込んだ。

 クィーンズスクエアはショッピングビルやオフィスタワー、ホテルやホールが集まった複合施設で、地下鉄の駅も直下にあるみなとみらい屈指の人気スポットである。レストランはいくつかのビルに分散していて、少々迷いながら巨大なアトリウムに沿ったエスカレーターで地下1階へ。候補の店が2軒並んでおり、四川風麻婆豆腐の「陳麻婆豆腐店」とどっちにするか少々迷う。結局、明るい店の雰囲気にひかれて『ガーリックジョーズ』へ。お互い辛いもの好きで、要は唐辛子にするかニンニクにするかで迷っていたということか。

 どこか南国風の明るいムードの店内は、アメリカ西海岸の農家をイメージしているとのことで、案内してくれたお姉さんの元気な応対も気持ちいい。アットホームな応対のおかげか、こんな時間なのに店内には結構家族連れの姿が。ベビーカーの子供もいるけれど、ニンニク料理を食べて大丈夫なんだろうか。そしてメニューにはもちろん、ニンニクを使った料理の数々。「ニンニクを使った無国籍料理」と銘打つだけに、タイ風やメキシコ風、イタリアンに和風まで、様々なタイプのニンニク料理であふれている。あれこれ頼んでみんなで取り分けて食べるのがここのスタイルで、以前来たときにも頼んだ、ニンニクたっぷりのガーリックステーキは外せないな、と思いながら、ふたりしてメニューを検討。うまいことに2名用のセットもあり、お互いの希望の料理もバッチリ入っているようだ。プラス私はジントニック、家内はサングリアを頼み、最初に運ばれてきたタコのスペイン風カルパッチョを肴に、まずは乾杯。

 ガーリックブレッドにガーリックピザと、運ばれてくる料理はどれも香ばしいいい匂いが漂っている。ニンニクを使った料理と聞けば、あの強烈なにおいが気になるかもしれないが、店で使っているニンニクは青森県田子町でつくられている国産。料理によって調理法を工夫して、単にニンニクの個性ばかり強調するのではなく、見事にアレンジされている。ガーリックブレッドはバケットにガーリックバターがのっていて、「パンの切れ目からバターを中に押し込んで食べてください」とお姉さん。表面はパリッ、中はジューシーで、ニンニクの旨味がじわっと染みていてうまい。ガーリックピザは薄めの生地で、トッピングはなんとニンニクの小片のみ。それにしてもニンニクの香りは食欲があおられるようで、本命のステーキが来る前にパッと平らげてもまだお腹に余裕がある。

 それぞれドリンクもお代わりし、あれこれと話も盛り上がってきたところで、いよいよこの日の主役が登場。「熱いのでお気をつけください」とお兄さんが持ってきた鉄板では、大振りの肉がまだジュージューと音を立てている。250グラムのステーキの上にはガーリックペーストがたっぷり、さらにその上には揚げたガーリックチップものっていて、かかってこいやっ! という勢いである。ふたりがかりでいざ、突撃。中身がほんのり赤いぐらいの焼き加減で、口に運ぶと肉汁がたっぷり、そしてガーリックペーストの香りがグッと立ち上がってくる。さらにガーリックチップをガリッといけば、身も心もニンニクに染まってしまったような気分。思ったほどニンニクの刺激が強烈でない分、トッピングをたっぷりのせては口へ運び、とどんどん進む。少々満腹気味の家内の分もちょっと引き受けて、熱いうちにすっかり平らげてしまった。

 ガーリックブレッドにガーリックピザを食べて、仕上げにはさらにニンニク焼き飯と、ニンニク一色のご飯物を3種堪能。これだけニンニク料理を食べているのに、焼肉屋に行ったときほど強烈な匂いがしないのは、さすが調理法に工夫があるようだ。一説に「付き合いの深いカップルはデートで焼肉を食べる」というが、結婚10年目の夫婦はたまのデートでニンニクたっぷりのステーキをいっちゃっても、全然へっちゃらか?(2006年7月23日食記)

町で見つけたオモシロごはん50…横浜ベイサイドマリーナ 『サムチョイズ』の、ハワイ名物ロコモコ

2006年08月04日 | ◆町で見つけたオモシロごはん
 以前にも触れた横浜ベイサイドマリーナは、首都圏にオープンしたアウトレットモールの中でも希少な成功例だろう。ひと頃のように、週末ともなれば国道16号線を折れたところから駐車待ちのクルマで大渋滞、といったことはなくなったが、いつ訪れてもまずまずの賑わいを見せていて、地元のへビーユーザーとしてはホッとする。アウトドアグッズならモンベルにティンバーランド、普段着ならリーバイスやエディーバウアー、フォックスファイヤーあたりが手ごろで…。通ぶって列挙してみたけど、別に高級ブランドではなく、そこそこの価格のブランドじゃないか、と分かる人には分かるか? こんな手ごろな価格帯のブランドが豊富なのもありがたく、自宅からクルマですぐということもあり、ちょっとした日用雑貨を気軽に買いにいくことがよくある。

 夏休みに入るとすぐ、子供のサッカーの合宿があるため、この日も夕方に思い立ち、みんなで練習着やカバン等の買出しにやってきた。ナイキにリーバイス、アディダスと、スポーツギアのアウトレットショップを何軒もはしごして、小1時間もすれば必要なものはすべて揃えることができた。用も済んだし、それでは帰って夕食にするか、と思ったら、ここのレストランで食べる! と子供たちが騒ぎ出す。そういえば前日の夕食も、みんなでひと皿100円均一の回転寿司で豪遊と、夏休みに入って少々外食グセがついてしまったか。外食の連チャンは、教育上よろしくないな、と頭では思うものの、本音を言えば買い物でくたびれたし。一同、足は自然にレストラン棟へと向かっていく。

 レストラン棟はアウトレットモールから通りを隔てて立っており、ヨットハーバーを望む絶好のロケーションである。店舗は10軒ほどと少ないものの、ニューヨークスタイルのチャイニーズレストラン、カジュアルイタリアン、アメリカンダイニングに何とスシバーなど、個性と味の良さはオープン当時から変わらない。お気に入りの店が数軒ある中、今日は行ったことがない店にしよう、と選んだ店は『サムチョイズ』。店頭のショーケースにずらりと並ぶ、ボリュームたっぷりの丼物メニューが、空腹を刺激してくれる。丼物といっても白い丼のごはんの上には、ハンバーグに目玉焼き、カルビステーキ、唐揚げなど、洋風丼というか、洋食屋のランチをひとつの器によそったみたいというか。初めてなのは私だけで、家内と子供たちは以前に来たことがあるらしく、おのおの好みの「丼」を選んでいる。

 その名も「ロコモコ」というこの丼、ハワイの言葉で「ロコ=ローカル」「モコ=混ぜる」という意味だそうで、いわばハワイのローカル丼か。10種類ほど揃うロコモコの中から、ビールのつまみも兼ねて鳥唐揚げのロコモコを注文する。セルフサービス式で、ヨットハーバーを見渡す窓際の席について待つことしばし。カウンターで受け取り、その場でタバスコやマヨネーズなど調味料を好みで振りかけて準備完了だ。ハイネケンの缶を空け、子供たちのジュースと乾杯。

 ごはんの上に唐揚げと目玉焼き、上にマヨネーズがかかっているなんて、少々奇抜な料理かな、と思いながら唐揚げをつまんではごはんをかきこみ、ビールを飲んではまた唐揚げ。カツ丼や海鮮丼といった和風の丼とは趣が異なるが、ボリュームがありタバスコのおかげでスパイシー、食べるにつれ食欲がガンガン湧いてくるようだ。ちなみにこのロコモコ、ハワイ島のヒロにあるレストラン「リンカーングリル」で、1950年ごろに誕生したとされている。レストランの近くの公園で、フットボールに興じて腹をすかせた高校生に出した「ハンバーグ目玉焼きのせ丼」が起源といわれ、安くてボリュームがあるため若者に受け、ハワイ全土からアメリカへと広まっていったそうである。レストランを経営していたリチャード井上夫妻は日系2世のため、丼飯の上におかずをのせる日本やアジアの食文化と、かかわりがあるという説もあるとか。いずれにせよこれぞアメリカン丼、といった感じの、パワフルな料理である。

 お腹がすいていたのか、子供たちは先にあっというまに平らげて、店の外のデッキへ出て行って追っかけっこをしている。窓の外のたそがれのヨットハーバーを眺めながら、残りのハイネケンをグイッ。各国のブランドが集まったアウトレットを覗いた後、ハワイアンフードを味わって、始まったばかりの夏休みはすでに海外旅行に行った気分満喫か?(2006年7月17日食記)