ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

町で見つけたオモシロごはん51…横浜・みなとみらい 『ガーリックジョーズ』のコース料理あれこれ

2006年08月11日 | ◆町で見つけたオモシロごはん
 ちょっとした臨時収入があり、たまには家内とうまいものでも食べに行こうか、なんて気になった。日頃好き勝手に、ひとり全国各地に出かけてはあれこれ食べ歩いているから、こんなときぐらいはご機嫌をとっ… ではなく、感謝の意をこめてご馳走しても悪くないだろう。例によって、腰をあげたのは夜の9時過ぎと遅い。みなとみらい周辺で、まだオーダーストップに間に合いそうな店を探してグルメガイドをぱらぱらめくり、いくつかの店にめぼしをつけていざ出発。クルマは国道16号線を磯子から根岸、本牧と夜の湾岸ドライブとしゃれこんで、30分ほどでクィーンズスクエアの地下駐車場へと滑り込んだ。

 クィーンズスクエアはショッピングビルやオフィスタワー、ホテルやホールが集まった複合施設で、地下鉄の駅も直下にあるみなとみらい屈指の人気スポットである。レストランはいくつかのビルに分散していて、少々迷いながら巨大なアトリウムに沿ったエスカレーターで地下1階へ。候補の店が2軒並んでおり、四川風麻婆豆腐の「陳麻婆豆腐店」とどっちにするか少々迷う。結局、明るい店の雰囲気にひかれて『ガーリックジョーズ』へ。お互い辛いもの好きで、要は唐辛子にするかニンニクにするかで迷っていたということか。

 どこか南国風の明るいムードの店内は、アメリカ西海岸の農家をイメージしているとのことで、案内してくれたお姉さんの元気な応対も気持ちいい。アットホームな応対のおかげか、こんな時間なのに店内には結構家族連れの姿が。ベビーカーの子供もいるけれど、ニンニク料理を食べて大丈夫なんだろうか。そしてメニューにはもちろん、ニンニクを使った料理の数々。「ニンニクを使った無国籍料理」と銘打つだけに、タイ風やメキシコ風、イタリアンに和風まで、様々なタイプのニンニク料理であふれている。あれこれ頼んでみんなで取り分けて食べるのがここのスタイルで、以前来たときにも頼んだ、ニンニクたっぷりのガーリックステーキは外せないな、と思いながら、ふたりしてメニューを検討。うまいことに2名用のセットもあり、お互いの希望の料理もバッチリ入っているようだ。プラス私はジントニック、家内はサングリアを頼み、最初に運ばれてきたタコのスペイン風カルパッチョを肴に、まずは乾杯。

 ガーリックブレッドにガーリックピザと、運ばれてくる料理はどれも香ばしいいい匂いが漂っている。ニンニクを使った料理と聞けば、あの強烈なにおいが気になるかもしれないが、店で使っているニンニクは青森県田子町でつくられている国産。料理によって調理法を工夫して、単にニンニクの個性ばかり強調するのではなく、見事にアレンジされている。ガーリックブレッドはバケットにガーリックバターがのっていて、「パンの切れ目からバターを中に押し込んで食べてください」とお姉さん。表面はパリッ、中はジューシーで、ニンニクの旨味がじわっと染みていてうまい。ガーリックピザは薄めの生地で、トッピングはなんとニンニクの小片のみ。それにしてもニンニクの香りは食欲があおられるようで、本命のステーキが来る前にパッと平らげてもまだお腹に余裕がある。

 それぞれドリンクもお代わりし、あれこれと話も盛り上がってきたところで、いよいよこの日の主役が登場。「熱いのでお気をつけください」とお兄さんが持ってきた鉄板では、大振りの肉がまだジュージューと音を立てている。250グラムのステーキの上にはガーリックペーストがたっぷり、さらにその上には揚げたガーリックチップものっていて、かかってこいやっ! という勢いである。ふたりがかりでいざ、突撃。中身がほんのり赤いぐらいの焼き加減で、口に運ぶと肉汁がたっぷり、そしてガーリックペーストの香りがグッと立ち上がってくる。さらにガーリックチップをガリッといけば、身も心もニンニクに染まってしまったような気分。思ったほどニンニクの刺激が強烈でない分、トッピングをたっぷりのせては口へ運び、とどんどん進む。少々満腹気味の家内の分もちょっと引き受けて、熱いうちにすっかり平らげてしまった。

 ガーリックブレッドにガーリックピザを食べて、仕上げにはさらにニンニク焼き飯と、ニンニク一色のご飯物を3種堪能。これだけニンニク料理を食べているのに、焼肉屋に行ったときほど強烈な匂いがしないのは、さすが調理法に工夫があるようだ。一説に「付き合いの深いカップルはデートで焼肉を食べる」というが、結婚10年目の夫婦はたまのデートでニンニクたっぷりのステーキをいっちゃっても、全然へっちゃらか?(2006年7月23日食記)