ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

町で見つけたオモシロごはん50…横浜ベイサイドマリーナ 『サムチョイズ』の、ハワイ名物ロコモコ

2006年08月04日 | ◆町で見つけたオモシロごはん
 以前にも触れた横浜ベイサイドマリーナは、首都圏にオープンしたアウトレットモールの中でも希少な成功例だろう。ひと頃のように、週末ともなれば国道16号線を折れたところから駐車待ちのクルマで大渋滞、といったことはなくなったが、いつ訪れてもまずまずの賑わいを見せていて、地元のへビーユーザーとしてはホッとする。アウトドアグッズならモンベルにティンバーランド、普段着ならリーバイスやエディーバウアー、フォックスファイヤーあたりが手ごろで…。通ぶって列挙してみたけど、別に高級ブランドではなく、そこそこの価格のブランドじゃないか、と分かる人には分かるか? こんな手ごろな価格帯のブランドが豊富なのもありがたく、自宅からクルマですぐということもあり、ちょっとした日用雑貨を気軽に買いにいくことがよくある。

 夏休みに入るとすぐ、子供のサッカーの合宿があるため、この日も夕方に思い立ち、みんなで練習着やカバン等の買出しにやってきた。ナイキにリーバイス、アディダスと、スポーツギアのアウトレットショップを何軒もはしごして、小1時間もすれば必要なものはすべて揃えることができた。用も済んだし、それでは帰って夕食にするか、と思ったら、ここのレストランで食べる! と子供たちが騒ぎ出す。そういえば前日の夕食も、みんなでひと皿100円均一の回転寿司で豪遊と、夏休みに入って少々外食グセがついてしまったか。外食の連チャンは、教育上よろしくないな、と頭では思うものの、本音を言えば買い物でくたびれたし。一同、足は自然にレストラン棟へと向かっていく。

 レストラン棟はアウトレットモールから通りを隔てて立っており、ヨットハーバーを望む絶好のロケーションである。店舗は10軒ほどと少ないものの、ニューヨークスタイルのチャイニーズレストラン、カジュアルイタリアン、アメリカンダイニングに何とスシバーなど、個性と味の良さはオープン当時から変わらない。お気に入りの店が数軒ある中、今日は行ったことがない店にしよう、と選んだ店は『サムチョイズ』。店頭のショーケースにずらりと並ぶ、ボリュームたっぷりの丼物メニューが、空腹を刺激してくれる。丼物といっても白い丼のごはんの上には、ハンバーグに目玉焼き、カルビステーキ、唐揚げなど、洋風丼というか、洋食屋のランチをひとつの器によそったみたいというか。初めてなのは私だけで、家内と子供たちは以前に来たことがあるらしく、おのおの好みの「丼」を選んでいる。

 その名も「ロコモコ」というこの丼、ハワイの言葉で「ロコ=ローカル」「モコ=混ぜる」という意味だそうで、いわばハワイのローカル丼か。10種類ほど揃うロコモコの中から、ビールのつまみも兼ねて鳥唐揚げのロコモコを注文する。セルフサービス式で、ヨットハーバーを見渡す窓際の席について待つことしばし。カウンターで受け取り、その場でタバスコやマヨネーズなど調味料を好みで振りかけて準備完了だ。ハイネケンの缶を空け、子供たちのジュースと乾杯。

 ごはんの上に唐揚げと目玉焼き、上にマヨネーズがかかっているなんて、少々奇抜な料理かな、と思いながら唐揚げをつまんではごはんをかきこみ、ビールを飲んではまた唐揚げ。カツ丼や海鮮丼といった和風の丼とは趣が異なるが、ボリュームがありタバスコのおかげでスパイシー、食べるにつれ食欲がガンガン湧いてくるようだ。ちなみにこのロコモコ、ハワイ島のヒロにあるレストラン「リンカーングリル」で、1950年ごろに誕生したとされている。レストランの近くの公園で、フットボールに興じて腹をすかせた高校生に出した「ハンバーグ目玉焼きのせ丼」が起源といわれ、安くてボリュームがあるため若者に受け、ハワイ全土からアメリカへと広まっていったそうである。レストランを経営していたリチャード井上夫妻は日系2世のため、丼飯の上におかずをのせる日本やアジアの食文化と、かかわりがあるという説もあるとか。いずれにせよこれぞアメリカン丼、といった感じの、パワフルな料理である。

 お腹がすいていたのか、子供たちは先にあっというまに平らげて、店の外のデッキへ出て行って追っかけっこをしている。窓の外のたそがれのヨットハーバーを眺めながら、残りのハイネケンをグイッ。各国のブランドが集まったアウトレットを覗いた後、ハワイアンフードを味わって、始まったばかりの夏休みはすでに海外旅行に行った気分満喫か?(2006年7月17日食記)