ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

町で見つけたオモシロごはん55(番外編)…東京・1週間毎日、300円でお昼ごはんにチャレンジ!

2006年08月18日 | ◆町で見つけたオモシロごはん
 先週は岡山から四国の松山、四万十、高知と魚を求めてぐるりと巡り、来週は家族で修善寺に遊びに行く予定。旅費の出費がかさむ中、予想はしていたが、狭間の今週は節約生活を強いられる。それにしても、困窮しているのは昼飯代だ。今月の手持ち残金から、修善寺で余裕を持って遊べる額をキープして、1日当たり使える金額を割り出すと、お昼の予算は1食わずか300円! 都内でそんな金額で食事できるところなんてあるんだろうか、と思いながら、半ばゲーム感覚、半ば体のいいダイエットに、「デフレ飯」探しにチャレンジしてみた。

●月曜日@八丁堀
 安い昼飯といって真っ先に思い浮かぶのは、立ち食いそばだ。事務所の近くの『小諸そば』はよく使うのだが、いつもはカツ丼や親子丼のセット、かき揚げそばなど、それなりにボリュームあるものを食べている。それでもせいぜい400~600円と安さは折り紙付き。さらに店頭の品書きから「底値」のメニューを探したところ、かけ・もりが210円と、これは予算内である。
 この日は35度を超える暑さなので、「もり」でそばを頼んだところ、お兄さんはゆであがった大ザルのそばに水をぶっかけて、はかなげにひとつかみせいろにとりあげて「はい、お待ちどう」。普段お昼に1000円近くかけていることを考えれば激安だが、2、3箸たぐってつゆに漬け、ズッといくともうごちそうさまとなってしまった。大盛りは50円増しで、それでも予算内だったから悔やまれる。
 夕方までお腹がもちそうになく、結局隣のコンビニでパンをひとつ追加する。「昔ながらのコッペパン」というこの品、かつて給食で食べた懐かしいパンにあんとバターが挟んであり、量は菓子パン屈指。98円也で、この日は結局合計308円と、8円オーバーとなってしまった。

●火曜日@新橋
 京橋から、打ち合わせで永田町へ行くのだが、地下鉄代160円も惜しい。定期があるので宝町から新橋へ出て、さらに手持ちのバスカードを使って都バスで永田町へ向かうコースをとった。
 お昼は乗換の新橋で。再び立ち食いそば屋を探すが、地下街の「日本亭」ではかけが280円、地上のガード下にある「ポンヌッフ」(←フランス語で「新しい橋」の意味とか)に「富士そば」、さらに「ゆで太郎」と、目に付く店を覗いて歩いたところ、かけやもりで300円台が底値の店もあるなど、意外と相場が高めだ。大盛りにするとぷらす100円のところもあり、立ち食いだから安い、という訳でもないらしい。ここはサラリーマンの町なのに…。
 気になったのが「ポンヌッフ」で見かけたカレーで、ご飯モノで300円の値段はなかなか魅力的だ。ここで決定、入口をくぐりかけたところで遠くに見えたオレンジの看板、『吉野屋』があるではないか。このごろ牛丼再開で話題になっているが、苦境の時期を支えた豚丼が290円と予算を割っていたのを思い出す。すると「プレーンカレー」なるメニューも同じく290円とあり、さっき一瞬カレーの気分になったこともあり、これに決定。
 出てきたカレーは名の通りプレーン、つまり具が何にもない。牛丼の具や牛焼肉など、トッピングを選べる仕組みらしいが、今日のところは予算を考慮してプレーンで頂く。牛丼の具をのせると、吉野屋発祥の地である築地名物の「合いがけ」になるな、と思いつつひと口。具はないけれどルーはかなり辛目、スパイシーで、ご飯がどんどん進む。さすがご飯ものは腹にたまり、値段の割りにかなり満腹、満足できる一品だ。

●水曜日@四谷
 出がけに自宅最寄り駅前のスーパーで、調理パンのワゴンセールをやっているのを見かけ、カレーパンを半額で調達した。仕事先でバナナも1本もらったので、おかげでわずか60円なりのお昼ご飯となった。カレーパンといっても、話題の激辛唐辛子「ハバネロ」入りで、食べ始めは普通のカレーパンと同じようで何ともないのだが、途中からしびれ、というか痛みに変わってくるほど強烈。ある意味食べ応えがあるので満腹感はあるのだが、攻撃的な辛さにどうにも耐えられず、結局ペットボトルのウーロン茶を買うことに。それにしてもウーロン茶1本が、このパン2個分よりも高くつくとは。半額のパンで浮いた予算が、おかげで行って来いになってしまった。

●木曜日@三田
 慶応大学の学生街ならサラリーマンの町・新橋よりも安い飯屋があるのでは、と期待して、昼どきに慶応通りへとやってきた。以前ブログで書いた高級立ち食いそばの店も健在で、この日は通過。定食屋や昼営業の居酒屋のランチなどが豊富に目を引くが、安いといっても600~800円ぐらいはする。普段なら大喜びのお得品でも、今週の大貧民的金銭感覚からすれば、王侯貴族の食事ぐらいに思えてしまう。
 意外にチェーン・ファーストフード系の店が少なく、わずかに見かけた長崎ちゃんぽんのリンガーハットでは底値のチャンポンが380円。そんなに高かったっけ? 期待していた吉野家は見あたらず、仕方なく駅へ戻ろうとしたところ、ライバルの『松屋』があった。牛めしのほかにカレーもあり、ライバルに対抗してか値段も290円と同額だ。
 そして出されたカレーを見て感激した。量は吉野家と互角だが、ちゃんと具、しかも鶏肉入りのチキンカレー! それに味噌汁まで付いているとは。牛丼チェーンライバル対決カレー編、量では文句なしに松屋に軍配があがる。

●金曜日@八丁堀
 月曜日と同様、八丁堀でお昼となり、このあいだ食べた量が足りないそば以外に何かないか歩いてみる。「やよい亭」は、ご飯おかわり放題が魅力な定食チェーン。店頭のメニューをひととおりさがしたが、あいにく300円台でも食べられるメニューがない。八丁堀駅方面へと歩く途中には、新大橋通りにはやりの讃岐うどんも見かけた。それなら安いと思ったら、一番シンプルな「ぶっかけ」でも400円もする。本場高松なら、セルフの店だとひと玉わずか数十円のところもあるらしいが。
 八丁堀周辺はは飲食店が少ない分、テイクアウトの弁当屋を結構目にする。「オリジン弁当」、「ほっかほっか亭」など、のり弁やしゃけ弁なら200円台で買えそう。もっともこの炎天下では、公園で広げて食べると汗だくになりそうだ。
 結局、八丁堀をぐるり一周した上で、再び『小諸そば』に戻ってきてしまった。月曜のことを思い出し、予算をフルに使うベストの組み合わせを検討した結果、かけ210円+大盛り50円+生卵30円=290円。さらにとり放題のネギをこれでもか、とばかり載せ、上からは七味をたっぷりかけ、スパイシーネギ卵大盛りかけそばのできあがりである。少々お行儀が悪いが、空腹の前では遠慮も何もない(注・上の写真はこれ)。

…そんな塩梅で何とかケチケチで5日間しのいだおかげで、旅の予算に余裕ができた。来週は修善寺でのんびり夏休み、名物・十割そばが楽しみだ。とはいえ1枚1000円以上もするらしく、金銭感覚は、この1週間で養ったものをしばらく維持した方がいいかも?(2006年8月14~18日食記)