昨夜はDVD鑑賞をしました。
「ガタカ」です。
遺伝子操作によって優秀な遺伝子を持って生まれた者が適正者とされ、優遇される近未来。
遺伝子操作を経ずに生まれた者は神の子とも不適正者とも呼ばれ、差別されます。
知力・体力ともに適正者は不適正者を圧倒し、不適正者は単純労働などの賃金の安い仕事にしか就けません。
不適正者として生まれた主人公は、幼い頃から宇宙への夢をふくらませていました。
憧れは、宇宙開発を一手に担うガタカに入社し、宇宙飛行へ飛び立つこと。
しかし遺伝子検査で面接にも進めず、ガタカの清掃員になります。
夢を諦めきれない主人公は、適正者でありながら事故で下半身不随となった元オリンピックメダリストの血液や尿を提供してもらう契約を闇で結びます。
報酬はガタカに入社した後に得られる収入の25%。
適正者の遺伝子サンプルを提出してガタカ社に入社した主人公は、涙ぐましい努力と、提供されつづける遺伝子情報を駆使して、ついに宇宙飛行士に選抜されます。
しかし、ガタカ社で殺人事件が起こります。
警察は全社員の厳密な遺伝子検査を要求してきます。
エリート刑事は主人公の弟で適正者。
不適正者の兄と適正者の弟との激しい対立。
不適正者ながらガタカに勤める美女との恋。
元オリンピックメダリストの適正者と主人公との奇妙な友情。
波乱含みの展開で、飽きさせません。
そして、近未来が舞台なのに、19世紀を思わせる古風でスタイリッシュなファッションやインテリア。
暗くて美しい映像が雰囲気を盛り上げます。
成功を夢見て犯罪を犯す主人公の存在そのものの切なさが、「砂の器」などの松本清張作品を思い起こさせます。
しかし私は、オリンピックでは金メダルを当然視されながら銀メダルに終わり、下半身不随となって役に立たなくなっても高いプライドを維持しつづける遺伝子情報提供者の素っ気ない描き方に心を動かされます。
SFとしても、サスペンスとしても、また心理劇としても楽しめる第一級の娯楽作と見ました。
ガタカ [DVD] | |
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