ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

動物愛護と暴力

2015年06月25日 | 社会・政治

 昨今、動物愛護ということが叫ばれるようになりましたね。

 動物愛護の元祖は、おそらくわが国の犬公方が出した生類憐みの令ではないでしょうか。
 わが国では、天下の悪法のように言われていますが、海外ではけっこう評価されているようです。 

 生類憐みの令と言いますが、実際にはそういう名前の法律もお触れもなく、徳川綱吉がいくつも発した殺生を禁じる令を総称しているようです。 

 また、時代劇などでは犬ばかりを保護したように描かれていますが、もともとは老人や病人、子供などの人間の弱者を保護するように、というのが主眼でした。
   しかも罰則は無かったそうです。
 ところが罰則が無い故に守る者が少なかったため、しだいに罰則を設け、犬猫や家畜のみならず、ハエや蚊を殺しても罰せられるという悪法に変わっていったようです。
 しかし、巷間言われるほど厳しい取り締まりがあったわけではなく、運用は緩かったようです。

 生活保護や厚生行政が発達していない時代においては、これは画期的なもので、特に人々の意識を変えることになったようで、そのことが外国で評価される理由と言えましょう。
 それまでは、行き倒れの病人やけが人をほったらかしにするのが当たり前だったのが、他人と雖も助けるという風潮が生まれたことは喜ばしいことですねぇ。

  それはおそらく、戦国時代には考えられなかったことだろうと推測します。
   百姓ですらわずかな利益を求めて落ち武者狩りをしたり、戦場で倒れている兵隊の武器を奪ったりしたと言いますし、野盗、追いはぎ、ごろつきが半ば公然と闊歩していたことでしょう。
 戦国時代の日本は、それぞれの戦国大名が自国の領土を保護しているだけで、日本全体を統治する政府は存在せず、言わば無政府状態のようなものだったと考えれば、当たり前のことです。

 強い権力が無ければ、秩序は保たれません。 

 それを思うと、中東などの紛争地帯の秩序はどうなっているのか、庶民の日々の暮らしはどうなのか、誠に心もとないかぎりと言わざるを得ません。 

 公権力の支配が及ばない地域では、時と場所を問わず、暴力が跋扈し、人の命は軽く扱われます。 

 その点、わが国には強力な政府のもと、警察、軍隊、税務署、麻薬取締事務所、税関など、権力を行使できる組織が整えられ、犯罪とは縁の無い生活を送っていても、息苦しいような感じさえ覚えます。 

 頼もしいと思う反面、西部劇に登場するガンマンや旧満州の馬賊に憧れるような、男の子らしい心性が、自分の中に眠っていることに気づき、愕然とします。 

 世界でも高く評価される徳川綱吉の人間愛に満ちた精神を称揚し、おのれの中に眠る暴力への志向を封じ込めなければならないと、自戒を込めて痛感します。

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