ステージおきたま

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嘘と知りつつ本当と信ずる頭脳!ジョージ・オーウェル『1984年』が現実に?!

2018-04-19 07:55:37 | 世の中へ

 また出てきたよ、嘘と知りつつ本当と言い張る人間!昨日辞任した福田財務次官。辞めてやるけど、そりゃ回りが騒いで仕事にならんからだと?セクハラ発言はしていない、だと?名誉棄損で裁判に訴える、だと?辞任会見から5時間後の深夜、テレビ朝日が緊急会見、セクハラ被害が自社記者と発表!

 どうしてこうも、嘘と分かり切ったことに白を切り続ける人が出続けるんだろう。元国税庁長官の佐川さんだろ、柳瀬秘書官だろ、防衛省の幹部連中だろ、そしてどん尻に控けえし大物安部首相、おっと、トランプさんも忘れちゃいけない。こうも続発すると、これはどうも時代の病なんじゃないかと思えてきた。

 実は、今読んでいる小説にこんな人たちが行き着く果ての世界が描かれていた。ジョージ・オーウェル『1984年』。

 言わずと知れた近未来小説の問題作だ。発表されたのは1949年だ。核戦争勃発後の地球、世界は三つの大国に分割支配され、そのどれもが究極の管理社会になっている。家の中はもちろん、街中のあらゆる場所に双方向性テレビジョン、テレスコープが設置され、人々の行動は徹頭徹尾管理されている。そんな強権支配の正統性を維持するために、中枢部の指令のもと、真理省の役人たちは過去、現在、未来の事実の改ざん修正に明け暮れている。

 この究極の全体主義国家で中心となる思考形式が「二重思考」。一方で真実を知りつつ、他方でそれとは反対の事柄を事実と信じていく対処の仕方だ。意図的に信じられた真実以外は、急速に抹消・霧散していく。そう、トランプ大統領のオルタナティブ ファクトだよ。この思考形式が、今、政治の世界で一気に蔓延しちまってるってことだろう。福田のセクハラ発言してません、だって、佐川の官邸忖度否定、だって、柳瀬の記憶の限り、だって、安倍の全方位嘘発言だって、最初は自分の嘘に気付いてる。いっくらなんでも頭のいい人たちだ、忘れるわきゃないよ。

 ところが、否定を繰り返し、別の事実を主張し続けていると、次第、次第に、頭の中の真実が嘘に上書きされていって、ついにはそれを本当のことと信じ始めるんじゃないだろうか。それも成り行き任せじゃなく、かなり意図的にすり替え操作をしている。二重思考の見事な活用!だから、ああも堂々と胸を張って、見え透いた嘘を主張し続けることができるんだ。あるにはあるんだと思う、真実の記憶のかけらが。でも、だんだんとぼやけて行って、自分に言い聞かせた内容が真っ当らしく頭脳を占領していく、って仕組みなんだと思う。

 『1984年』では、社会の虚構に違和感を抱いた主人公が、支配機構のインチキ性に立ち向かおうとした途端、秘密警察に連行され、激しい拷問にさらされる。2足す2は4、を否定させ、正答は5、を認めさせようと執拗に繰り返される尋問。たまらんなぁ、そんな世の中!そんな暗黒社会の一歩手前まで行きついてるってことか?

 毎日小学生新聞は、森友、加計問題の解説の末尾に、「一度うそをつくと、うそを重ねないといけなくなる。そして、うそはいずればれるということです。」と書いた。このシンプルで当たり前の教訓が生き延びる社会でありたいよなぁ。

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