ステージおきたま

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小さな”やったね!”の連続で明日がある:今年もハウス立った!

2016-04-14 08:39:02 | 農業

 1か月前から狙い定め、周到に天気予報をチェックし、この日しかない!と思い定めた日、見事ハウスのビニール張りが完了した。て、それほどのことでもないでしょ、知らない人は言うよね。この作業、思いの外の難事業なんだ。幅7メートル、長さ25メートルもの巨大ビニールをハウス骨組みの上に引っ張り上げ固定しなくてはならない。薄っぺらなビニールといえども30キロ近くの重さがある。こればかりはとても一人でしこしこできる仕事ではない。神さんの帰省日に合わせて計画を立て、事前準備を着実に行って本番に備える。

 ただ力仕事ってばかりじゃない。風が吹かないことが絶対条件なのだ。以前、途中から強風にあおられて、ハンググライダーよろしく宙を飛んだ、は大げさだが、もがき苦しむダイオウイカのようにバタバタとはためくビニールを、引き止め、取り押さえ、畳み込むのに七転八倒したことがあって、風恐怖症になっている。この季節、8時頃から風が強まり夕方近くまで吹き荒れることがしばしばなので、早起きして寝ぼけ半分で取り組むか、夕方、運を天に任すしかない。どちらにしても、時間に追われた厄介な作業なのだ。

 さすがに何年も続けてきて、コツもつかめ、周囲の腰板にあたる部分は事前に取り付け、屋根部分を押さえるマイカー線も片側は結わいておくなどして、当日は最後の仕上げ屋根ビニールを張る作業だけにしてある。そこまでは、一人で作業、周囲に回すビニール張りの日が強風でひどい苦労を強いられたが、なんとかやり遂げ、マイカー線固定には結わくパイプをいちいち掘り出すなど地道な苦労を積み上げて、ようやくこの日!屋根を張る。

 前日、東京から帰省の神さんの疲れを慮って、早朝の作業は取りやめ、夕方に賭けるつもりでいたが、予報に反して昼間の強風が始まらない。こりゃ、できるんじゃない?準備は万端だから、1時間もあれば終わるだろうと、慌てて仕事にかかった。

 ハウスの両端に脚立を立て、そこに上ってビニールの端を持って引っ張り上げる。いやぁ、力なくなちったなぁ!重い!めちゃめちゃ重い!不安定な足場もあって、二人で30キロを引き上げるのは至難の技だ。神さんの方はほとんど持ち上げられない。途中まで上げたところでずり落ちないようにパッカーで固定し、急いで反対側に走って、神さんからバトンタッチ、こちらも梁にあたる中心線まで引き上げ固定、またも駆け戻って反対側を、と何度か走り回ってようやく全体を覆うことができた。風に飛ばされないうちに急いで何か所も固定、ふぅー!

 片側を結わいてある数十本のマイカー線を長いロープに順次結束、ロープの中央部分に、引き上げようにさらに1本ロープを結わいて重しを付け、それを反対側に放ってなん本も釣り糸を垂らしたはえ縄漁よろしくマイカー線をずるずると引っ張り上げ、引っ張り下す。これだけでは真ん中だけしか引きずれない。今度は両側からロープを握って両端部分のマイカー線を屋根を越させる。けっこう絡まったりして苛立ちのつのる作業なんだが、今回まずまず順調にマイカー線が屋根を超えた。これを一本一本、固定して、ビニールを押さえる。数十本結束してハウス全体がきりっと押さえられ、ようやく完成!良かった、良かった。これで稲の育苗もばっちり、その後の野菜ハウスとしても利用可能となった。

 やったね!の満足感がひたひたと押し寄せてくる。塩水選と温湯殺菌が終わった時にも感じた達成感、次の”やったね!”は種まきが済んだ時だろう。さらに、田植え、除草、稲刈り、脱穀とち小さな”やったね!”を積み上げながら、収穫の喜びにたどり着く。これがきつい農作業を支えている。人生だって同じことかも知れない。一つ一つ、こつこつとちっぼけな成功を積み上げながら、大きな目標に向かって行くのだろう。ちっぽけな”やったね!”大切にしよう。

 

コメント (2)
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