ステージおきたま

無農薬百姓33年
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コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

準備万全、種まき順調、なわけないだろ!

2016-04-26 09:00:31 | 農業

 稲の種まき、完了した。事前準備も周到、天気も晴天、人手も集まり、ささっと終わる、はずだった。機械だって、機械屋さんに事前にチェックしてもらい、今回はすいすいだよ、午前中で終わるんじゃないか?なんて思惑はものの見事にすっ飛んだ。まっ、そうだろうね、我が家の種まき、そんな猫の昼寝の長閑さで終わるはずがない。

 やっぱり、種まき機だ。30年物のオールドタイマー、あちこち手を入れたくらいのことじゃ、頑として言うこと聞かない。最初に種を入れれば、あとは2か所の土入れと苗箱の補給さえしてれば、次々播きおわって出てくるはずなんだが、もうさっそく2枚目からつっかえた。箱の送りが上手くいかない。普通の田植え機と違って、ポット育苗では、30センチ×60センチの箱というより板に直径1.5センチ深さ2センチの穴が開いた特殊な苗箱を使う。1枚には14×32、合計448個のポットが付いている。この中に床土がまんべんなく入り、丸い突起が付いたローラーで穴の中だけ鎮圧し、そこに種が播かれ、最後に掛け土で覆って終了となる、ちょっと厄介な構造なのだ。その突起ローラーが箱の穴とどうも上手くかみ合わないのだ。箱の途中までは快適に鎮圧しつつ送り出してくるのだが、そこで空回りを始める。ひどい時には、箱のお尻部分がローラーに巻き込まれる。こうなると、両側の固定ばねを外して転圧ロールを緩めて挟まった箱を無理やり引っ張り出すという外科療法が必要となる。この重症に陥ること、数度、ついに音をあげて、機械屋さんを呼んだ。

 転圧部を分解し、調節して何度も箱を流しながら、タイミング合わせる。よしっ、これでいい。とのお墨付き、作業再開するも、やや改善されたものの同様のトラブル。仕方ない、応急手当!ってことで、ローラーを押さえるばねが効かないように、木片を挟み込み、ガムテープで固定?!ええーっ、そ、そんな、そんなことで上手く行くのか?半信半疑、通してみるとなんとか鎮圧して通過、ただし、最後はつまり気味なので、尽力で引っ張ることが必要、やれやれ、それでも機械か?なんて不満は言わない。君しかいないんだから、そのくらいお手伝いいたしますよ。

 作業再開、おっと、今度は床土を掃きとるロールブラシが回っていない。モーターの回転を伝える丸ゴムベルトが伸びてしまっている。うーん、どうする?新品を取り寄せれば間違いないが、届くのは数日後、これはあり得ない。このベルト切って短くして、ライターの炎であぶりつつくっつけると接着すると機械屋さんは言うのだが、さすが、そんな民間療法をする勇気はないようで、お店の種まき、貸しましょうか、ついつい弱気だ。

 ここで作業仲間のTさんが新提案、ベルトにテンション与えればいいわけでしょ、針金みたいなもので引っ張って。そうだ、それいいね、と機械屋さん。小屋中探し回って、あった!ありました。ぴったりの太い針金が!ちょうどうまい具合に曲がっている。これをベルトに引っ掛け機械の下部に固定する。ここもなんとガムテープ!いやあ、アイディアだねぇ、民間療法だね、その場しのぎ術だねぇ。さすが、日ごろから農機屋さんに出入りして、中古機械を修理するのが趣味というTさんだけのことはある。

 結局、2か所で人手をかけて、引く、押すの操作を手助けすることでどうにかこうにか続けて、夕刻前には終了することができた。プールの準備の方は万全、3人の男たちでスムーズに200枚の苗箱を並べ終えた。さて、水やりだ。なんせ旧式の種まき機、水まき装置など組み込まれていない。ホースで丁寧にかけてやるしかない。が、ここでまたもや、予期せぬ食い違い。散水ノズルの接続部分のねじ山がバカになっていて何度回しいれても外れてしまう。プラスチックだかなぁ、何度も着脱していて山が削れてしまったのだろう。弱った。水が撒けない。ここで、またもやTさん。ねじ込み部分にビニールの切れ端を巻き込めば、なんとか漏水しないかも知れない、おおっ、またもや在野技術、応急処置の極意!さっそくやってもらったら、ものの見事、水漏れが止まった。凄い!こういう知恵って本当に大切だ。でも、こういうやりくり算段の工夫ってどんどん受け継がれなくなってるよなぁ。IT化とか進んで、機械はもう素人の手の届くところから遠く離れてしまったから。壊れれば、すぐに買いなおす、これが当たり前の世の中、人間の創意工夫でやりくりする、古い農業機械にはそんな人間と機械との共存世界があったんだよ。旧式機械をいつまでも使い尽して行く、って、ものを大切にって意識以上に重要な事柄を孕んでいるような気がする。おっ、結構重要な原理を会得したみたいだぞ!

 

コメント
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