ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

俄かウィスキー(ただし、安酒)党宣言!

2016-04-09 08:52:31 | 暮らし

 きっかけは、公演の差し入れにニッカのリッチブレンドをもらったことかな。それまではもっぱら焼酎、その前はひたすら日本酒。おっ、ウィスキーいけるじゃん、これがことの起こり。次のシニア4期生の本公演にゃ、かつての女詐欺師が、ウィスキー片手に殺し屋をくどくってシーンまで書いてしまった。その時の詐欺師が手にしていたのは、クリスタルボトル入りの高級ウィスキーと思いきや中身はトリス!自分の嘘つき人生を嘲笑いつつ「違うの。私が、トリスなの。私自身がトリスなのよ。・・ううん、そんなこと言ったらトリスに失礼。ごめん、トリス(グラスに謝る)」自身の中身の安っぽさを振り返る。まっ、悪くないセリフだ、とは思った。が、そう言えば、トリスって学生時代以来飲んでないなぁ。そうか、今の僕にゃ、トリスが分相応、ウィスキー、結構口に合うってわかったことだし、ここは一つ、ウィスキーに鞍替えすっか。

 で、安ウィスキー飲み始めてみると、焼酎ほどじゃないけど、結構いろんな銘柄が出てるってことを知った。ほんじゃまずいろいろ飲み比べて、コストパフォーマンスととも自分に合った酒を見つけよう。トリスならブラック、クラシック、ニッカはクリア、ブラック、リッチブレンド、キリンのボストンクラブ、富士山麓、宝酒造の凛、あっちを飲み、こっちを舐めして楽しんだ。でも、まぁこんなもんだよな、しっかり酔えるのと翌日の酔い覚め快調、焼酎みたいに梅干し入れたり、ウーロン茶で割ったりする必要もないから、よし、ウィスキーの安酒で行こう、そう諦め半分、納得半分で晩酌ウィスキーの夜々が続いた。

 途中、生意気にちょっとばっかし高給取りになりつつある息子が、誕生日だか、父の日だか知らんが、ニッカのカフェモルトとカフェグレーンなんぞ贈ってきて、安酒は体に悪いぞ!なんどと大きなお世話だったが、飲んでみると、たしかに美味い!うーん、ウィスキー、おぬし、奥が深いぞ!未知の世界を覗き見た心境だった。が、こんな、1本、5、6千円もするもの、飲み続けられるわけあるまいが。なんせ、貯蓄なし、資産なし、ちょぼちょぼ年金、かろうじて持ち家、なんてジジイには別世界、どこか遠い国のおとぎ話だ。知識としちゃ、持ってんだ、もっともっとバカ高い酒があって、それが、美酒礼賛の対象になってるってことは。まっ、そこそこ飲める、安く酔える、翌日残らない、こんなもんでいいんだよ。

 ところが、転機は今一度!それまでは、マッサンの影響か、ジャパニーズ限定だったんだが、酒屋の反対側の陳列棚を見て、おおっ、と目を引かれた。結構安酒あるじゃんか、スコッチでもバーボンでも。バーボンはともかく、スコッチって言ったらみんな高級品、箱に入った贈答品のイメージしかなかったが、なんと、1本1000円を切るものまである。これ、お試しだぞ、仮に安かろう悪かろうでも、酒は酒、アルコールはアルコール、酔えないことはないだろうし、目がつぶれることもないだろう。当たり前だ、戦後闇市のバクダンじゃないんだから。

 あれこれ悩んで、買っていったのは、ウィルトンハウスってやつとベルってスコッチウィスキー、それとヤマヤ一押しのバーボンベンチマークとジムビーム。いいぞ、いいぞ、なんか楽しくなるね。日が暮れるのを待ちわびて、いよいよウィスキータイム到来。1本、1本、利き酒なら利きウィスキー。結果は、驚き!の一言。まず、ベルだ。予想をはるかに超えて、美味い!香りも豊か、味もまろやか、ええーっ、これが1000円ちょっと!さすがスコッチ。さらに、ベンチマーク、こっちはかなり強烈!焦げ味が口中に突き刺さる、でも、これもありだ。ウィルトンハウスは大瓶が安かったから買ったが、なんか汗臭い香りと味で今回限り、ジムビームと割って飲むなんて素人の罰当たりでなんとか最後まで飲み過ごそう。

 そうか、そうか、スコッチもバーボンも、安酒でも、かなりレベルの高いやつがあるってことなんだ。輸入ウィスキー=高級品、こんなのは高い関税がかけられて、庶民から遠ざけられていた昔のお話しだったんだ。僕のウィスキー脳は1960年代止まりだったんだ。どちらも伝統あるんだ、安くて美味い酒があって当たり前。考えてみりゃ、イギリスにだってアメリカにだって貧乏人いるわけだし、彼ら向けの安くて美味い酒がっあって当然なんだよ。これは目から鱗の新発見、わくわくしてきたぞ。

 こいつぁ楽しくなってきた。スコッチ、バーボン、かなりの種類並んでたからなぁ、あれを1本1本試していくって、なんか生き甲斐、も一つ見っけ!って感じだ。そうか、そうとなれば、ちょっとばかり勉強もしなくちゃな。めくらめっぽう手を出すのも、歳末くじ引きガラガラポットンみたいでスリルあるが、お買い得、お値打ち品の情報を得た上で買ってくるって方法も重要だろう。よしっ、まず注文だ、アマゾンだ。「ウィスキー完全バイブル」「スコッチ三昧」の2冊。

 昨夜は、ウィスキーのあれやこれや眺めながら、我が家の安酒コレクションをとっかえひっかえして舐め続け、よし、次回はこれを買おう、こいつはいつか飲んでみなくちゃ、高いシングルモルトも飲んでみたいもんだなぁ、などと気づけば翌日。村上春樹の「もし、僕らのことばがウィスキーであったなら」なんてエッセイ集?関係あんのかないのかわからんが、注文してみたり、ウィスキーは明らかに、一つ世界を広げてくれた。

 ただ、問題は、本で紹介される酒のほとんどが、とても手の届かぬ高価な品々だってことだ。おい、だれか、安ウィスキー限定の案内本、出しちゃくれないか?うん?売れるわけないか、本買うくらいなら酒買うもんな、安酒飲みは。

 

コメント
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