気を感じながら暮らす

からだや自然について思うことなどを気ままに

シルクロードのタバコ

2009-10-30 09:55:03 | 中国

 二十数年前にシルクロードを旅した。そのときに吸ったタバコの味が忘れられない。上海からウルムチ(新疆ウイグル自治区)行きの汽車は三泊四日も乗りっぱなしだ。その汽車の中でウイグル族のおじさん二人と知り合った。私はおじさん達に気に入られ、食堂車で白酒(アルコール度数の非常に高い酒)をご馳走してもらったり、なにかと親切にされた。そのおじさん達が吸っていたのが巻きタバコである。新聞紙を適当なおおきさに切った紙の上に葉っぱをのせて、クルクルッと巻いて、最後に紙の端をなめると、それが糊のようにくっ付くのである。おじさん曰く、タバコを巻く紙は、(中国語の新聞より)ウイグル語の新聞(雑誌)が良いと。私ももらって試してみると、タバコの葉によく馴染み、葉の味を邪魔しない。それはウイグル族のプライドだけでなく、おそらく紙の質が上質でなかったから反ってタバコには良く合っていたのではなかろうか。

 そのタバコがいたく気に入った私は、自分でもタバコの葉を買った。道端で山盛りになった葉から選んで買うのである。葉によって味も強さも違う。私が好んだのは、黄色い葉のもので、少し甘い味がした。その葉を持ち歩き、外でも宿でも吸いたくなったら、クルクルッと巻いた。フィルターなんてものは無いから、口の周りや右手の指が黄色くなってしまった。

 私は二十代半ばまでタバコを吸っていた。カラダのことを考えて止めたのではなく、味を美味しく感じなくなったから。もし今、あのウイグルのタバコが手に入るなら、悩むことなく吸うだろう。しかし、あの時と同じように美味しく感じられるだろうか。ココロが変わり、カラダが変わったのに、味覚が変わっていないとどうしていえるだろうか。


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