T.NのDIARY

写真付きで、日記や趣味をひとり問答で書いたり、小説の粗筋を纏めたブログ

「華族夫人の忘れもの」を読み終えて!

2011-09-20 08:46:54 | 読書

 平岩弓枝の「新・御宿かわせみ」の第二弾。

 前シリーズの「御宿かわせみ」では捕物の推理過程の中で、様々な人間の生きざまを描かれていた。人間の逃れられぬ性まで洞察し哀感漂う作品が多かったが、今回はただ単なる探偵ものに終わっていたり、二つのことを混在させているもの等もあり、第三弾の購入に戸惑っている。

「華族夫人の忘れもの」

 源太郎の妹・花世の紹介で、公卿華族の春日井第三夫人(蝶子)が召使に身の回りのものを運ばせて「かわせみ」に数日宿泊することになった。

 麻太郎が居留地の患者宅からの帰り、居留地では見かけない品のある日本の女性と目があい、相手の女性も数回振り返り、四度目に軽く腰をかがめて会釈をした。しかし、麻太郎は全く思い出せなかった。

 居留地のバーンズ先生の家の近くで、先日見かけた春日井夫人から、知り合いが発作を起こしたので往診してくれと人力車を二台用意してきた。

 行き先はしだいに昔、麻太郎が住んでいた八丁堀組屋敷のほうに行き、夫人がある場所で車を降りて、先生はこの辺りに在った格子戸の家を覚えておいでですかと問いかけられた。

 しかし、麻太郎は、格子戸の家が多かったことを覚えていて返事ができずにいて、それよりも病人の家は何処にと言うと、春日井夫人は、私は先生を騙しました、御免なさいと言う。

 麻太郎は声を失い、腹が立って黙って背を向けて歩いた。

 数か月たってバーンズ先生たちと精養軒で食事をしていると、春日井夫人が麻太郎のそばに寄ってきて、白い封筒を手渡された。

 帰宅して中身を見ると、養父母の通之進・香苗が持たせてくれた御守袋だった。そして、子供の時に子供同士の喧嘩をしたときに、失くしたものだった。

 相手の子供たちのリーダーにお蝶という女の子がいたことを思い出したが、顔の記憶は無かった。しかし、格子戸の前に娘が立っていたことが浮かんできた。

「士族の娘」

 麻太郎は、花世からの頼みで花世の先生の友達のアメリカ人夫妻に古代裂屋・入川を紹介した。

 入川の亡くなった主人は表具師で維新時に古代裂、軸、襖絵などを只同然で手に入れ品物は豊富だった。

 店は娘のおみちと士族の娘で大奥に勤めていたお秀が住込みで営業を担当していて、品物を守るために用心棒も住込みで雇っていた。

 その用心棒は二人の女を別々に手玉に取っていた。

 そんなある日、お秀が二人刺殺した。

 警察の取調べに、お秀は、用心棒が自分を裏切ったからでなく、おみちが用心棒と夫婦になったからでもなく、士族の娘という私の身分を愚弄嘲弄したので堪忍なりがたく二人を処刑したと言う。

 源太郎は、士族の娘という誇りがどんな逆境にも耐え忍ぶ力があると信じていたが、そうではなく、用心棒から妾になれ、また、おみちから泥棒猫と罵倒されても、「入川」から出ていく勇気がなかったのだ、これが本心だと言うと、麻太郎も同感だと言う。

「牛鍋屋あんじゅ」

 ある日、築地の運上所(税関)近くに、男の水死体が上がった。身元が中々判明しない。

 そんなある日、子供に独楽回しを教えたことが契機で、源太郎たちは、その子供の母親で最近繁盛していると言う牛鍋屋あんじゅの女主人・お安と知合いになる。その女は鉄問屋の与土屋商会の社長・金之助の妾であった。

 水死体のそばで見つけた印銀のかけらから、佐渡の相川で働いていた乙助だということが解り、お安、金之助も同郷の知合いということが解りだした。

 乙助は、与土屋商会を訪ね、金之助が留守だったので、与土屋商会の一人娘で金之助の妻のお志津に金之助の昔の悪事をばらしたので、お志津は、乙助に毒酒を飲ませ、金之助が人力車で川まで運び水中に投げ落とした。

 その後、お志津は自分の体が弱く頼りにしている金之助に妾がいることを知り、お安を呼び出し毒殺した。そして帰宅した金之助に、あなた、また死んでしまったの、ええ、私が殺したましたと言う。

 麻太郎たちの手当てが早くお安は助かり、佐渡に帰っていった。

 牛鍋屋あんじゅは味が落ち客足が遠のいたそうだ。

「麻太郎の休日」

 麻太郎は、ある休日、所用のため出かけた。

 途中、血相を変えて走ってくる知合いの若者と出会い、今、親父をピストルで撃って家を飛び出してきたのだと言う。

 彼は河内屋信兵衛の嫡男・勘吉で、麻太郎が勘吉を連れて河内屋に行くと信兵衛はピンピンしていた。弾が入ってなかったのだ。

 妻とも別居している昔の武士堅気の信兵衛が嫌いな勘吉の将来についてかわすみで話すことにしていたが、麻太郎が用を済ませてかわすみに行くと、勘吉の弟が急病で、別居している母親も戻ってきて、勘吉も帰ったとのこと。

 勘吉の弟は口から血の泡を出して足を痙攣していた。河内屋の掛かりつけ漢方医の麻生宗太郎も来た。

 宗太郎は、信兵衛がいつも服用していた万年青を子供にも効くだろうと同じ分量を服用させた事を知り、解毒させて助けることができた。信兵衛の性格も変わったようだ。

「春風の殺人」

 源太郎の父の知人の寄居忠兵衛は武士から武器商人になって成功した人だ。

 源太郎は、忠兵衛から跡取りがいないので、昔、手切れ金を渡して別れた吉原芸者だった愛人の子を探してくれないかと依頼を受けた。

 探してみると、二人の兄弟芸者のどちらかがその娘であることが解った。

 その一方の八重丸が自分がそうだと積極的に自分を紹介し関係者を連れて忠兵衛と会った。その噂は柳橋一帯に広がった。

 数日して忠兵衛は儂の子でないといい、横浜に帰っていった。

 何日かして、八重丸は春の凄い風に足を取られて大川に落ちて死んだ。

「西洋宿館の亡霊」

 ある日、かわせみの娘の千春は、るいが留守の時に仏壇の中から思いがけもなく父・東吾の遺書を見つけた。

 そこには麻太郎の出生の秘密が書かれていて、東吾と清水琴江という女性の間に生まれた子で、東吾の実子であることを知った。

 千春は麻太郎が血の繋がらない従兄と思い慕っていたが、異母兄であることと知って動揺した。

 千春は麻太郎が住む鶏の館を訪ねるが、高山氏の病気見舞いで横浜に行き留守だった。千春は物に憑かれたように新橋駅に行く。偶然にも源太郎が千春を見付けて横浜に同伴する。

 横浜でも麻太郎が留守で時間待ちのためホテルに行く。そこで父・東吾の名前を利用した事件に巻き込まれ、毒を飲まされる羽目にあった。しかし、宗太郎まで心配して来て無事回復した。

 

 

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 祝・敬老! | トップ | 文庫本購入! »
最新の画像もっと見る

読書」カテゴリの最新記事